九百五十七生目 矛先
空魔法"ストレージ"で髪飾りをしまいこむ。
彼女を誘導するには十分だった。
新たに別のを唱えつつ身構える。
先が硬質化して槍のようになった触手多数。
腕がいろんな種類6本。
悪魔の目本体は中央花弁の中。
外部はどれだけ傷つけても大した効果はない。
悪魔の目を狙わねば……ただそのためにはどうするかな。
相手は大きすぎて腕が私全身よりある。
だからこの部屋は広いのか。
下手な技能より長所だった力を質量で後押し……
色々最悪だがデータを参考に調整したこと自体は嘘ではないか。
いやもう解決方法がほんっっと最悪なんだけれど!
相手は早速触手を何本もこちらに伸ばし出した。
こっちはとりあえず火魔法"フレイムボール"!
青白いとりあえず5つ。さらに"二重詠唱"の効果でプラス5。
相手はどうせ避ける気がない。
1詠唱分ずつありったけの魔力をこめて……凄まじく光が輝く!
最高威力の10発を……放つ!
まず初撃目の前にきた触手に!
槍の矛先に似た触手先へ撃ち込む!
炎が飛ぶことにも凄まじい音が鳴る。
ギュンと言う音と共に一瞬で初撃が槍へ到達。
触れると同時に凄まじい火柱が上がる!
その火柱も触手を包みこむ程度ですぐに中央へ収束する。
この瞬間炎の温度は私の扱う火魔法の中でも最高峰に達する。
全て燃やしつくすのではなくその場だけを圧倒的エネルギーで滅却するのだ。
さすがに異常を察したのか触手が引かれる。
しかし触手の矛先部分は煙を上げほぼ炭になっていた。
触手の先からさらに生えようとしているし他の触手は私に向かおうとしているが……
「そこッ!」
次々別の槍先に炎が着弾し炭と化す。
ゼロエネミーを長剣化させつつ怯んだ触手の真ん中当たりから切り裂いて……
とりあえず"フレイムボール"を全部吐き出したのでそうだな……次はこの魔法だ。
聖魔法"ブリンクスター"!
きらめく強烈な光が爆発的な衝撃を伴って多数放たれる!
こっちも最大限威力を高めた凄まじい火力。
爆発に巻き込まれた触手たちはその形を歪めさらには爆発と共に一部砕け散る。
弱った触手から長剣ゼロエネミーが切り落としてゆく!
そのまま私が距離を詰める。
だが今度は腕の射程範囲か……
当然6本の腕は同時に私を狙って振り込んでくる。
結構早い!
「危なっ!」
ためておいた魔法"ミニワープ"!
一気に距離を詰め肉弁前へ。
腕が空振っている間に4つめの魔法だ!
[アースボム 相手にくっつく土の大きな爆弾]
私の手のひらにくっつくかのように土塊が生まれる。
全力で力を込めて……"二重詠唱"だから両手ともに!
サイズだけなら私以上のこいつを叩きつける!
私の手のひらにくっついていたこの岩でできた土塊は身体をねじって振るうように叩きつけた衝撃で私から離れる。
腕がまた迫っているから緊急離脱!
とにかく急いで逃げよう!
次々くる腕を避け……危っ! うわっ!
かすった! 虎の腕か……それでも今かなりの痛みが走ったな。
なんというか腕は避けづらい。全てタイミングがバラバラというか動きが全部別で当たり前だが全て別の生き物が襲ってきているかのよう。
さらに触手たちを高速飛行で避ける。
当たり前だが空中最高速に乗るには距離がいるからこの絶妙な広さではそこまで出せない。
序速はそこまで速いわけじゃないからやはり危険なのは腕圏内。
一気に距離をとれると土塊たちが光を内側から漏らしだしヒビが入る。
そして大爆発!
重たい土塊が地魔力で吹き飛び無理やり道をこじあける!
「開いて……! あっ!?」
土煙が晴れた先。
そこには確かに岩盤を喰らい凄まじい勢いで突き刺さった岩片や勢いでめくれ壊れた肉たちがあった。
しかし……
依然として無事。
肝心の悪魔の目を引きずり出すことは叶わず。
ただ潰れた花弁たちに守られていた。
単純にレベル自体が高い……!
当然のように超回復して肉体が治りつつ有る……!
"千の茨"でさきほどよろいごと抉られた……この痛みと血は左腕からか。そこがじわじわと治りだす。
なんでさっきまで曖昧だったかというとあんまりの痛みに衝撃が全身に走り麻痺したのとそのあと脳内物質ですぐに抑えてて逃げるの優先したため。
これは……想像以上にマズイ相手だぞ。
(わたしでもげんかいがあるよーっ!)
ただこの距離ならば……
また4つとも魔法を唱えつつ長剣ゼロエネミーを構える。
……えっ!?
敵から光線がたくさん放たれるだした!?
あの花弁ただの防御策ではなかったのか!
花部分からビームレーザーが大量に放ってきた!




