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九百五十三生目 冒涜

 パイプが繋がる先の機械を見つけた。

 いろんなことが書いてあるがこれに関してはかんたん。

 スイッチ・オフ!


 ついでにスイッチを壊……うん!?

 いきなり周囲に通常光源がつく。

 そうそれだけだけれども。


「マズイ!」


 化物の動きが急速に高まっていく!

 全身の肉を震わせ急速に泡立ち様々な肉体の器官を浮かんでゆく。

 これはもう刺激どうこう言ってられない!


 アインス!


(行くよー!)


 とりあえずスイッチは適当にペキッと破壊。

 そのまま急いで飛び立つ!


「急げ!」

「ち、力を!」

「光だ! 光を使うんだ!」


 見ると下から触手が複数本伸びてきている!

 マズイあんなのに掴まれたら……

 と思っていたらダカシからのアドバイスが!


 いちばんすぐに発動できるやつ……光神術"ライト"!

 強烈な光源を生み出し下方向へ照らしていく!

 ――うごめく邪悪と目があった。


「ヒッ」


 思わず息を漏らす。

 だがかわりに化物の触手は勢いが衰える。

 これなら!


(イヤ〜〜!! キモチワル〜〜イ!!)


 足元に絡みつこうとする触手に光を放てば撤退させられ……

 うわ多い!!


「ま、待っ――」


 強く光を放ち撤退させられる量よりも多くの触手が!

 一気に身体に巻き付いて……


「間に合え!」


 暖かくも強い光がグレンくんから発せられ私や化物を包む。

 すると私にくるんでいた触手が力抜け一気に引っ込む。

 い……今のうちだ!


 (うごめ)く化物は明らかに苦しみだし……そして奇妙な声が聴こえだす。

 それは明らかな尋常ならざる声。

 蠢き(ひし)めく化物が上げる音ではなく明確な声。

 それなのに何としも聞き取れない鳴き声。


 ……耳を思わず塞いだ。

 ただそれでも脳裏を這うような音。

 音が頭を揺さぶる……!


「ま、マズイ、これは……!」

「ろ、ローズこっちへ!」


 急いで飛んで合流。

 みんな耳を塞ぎ転がり込むように前の部屋へ。

 さっき最後に押したボタンをダカシが慌てて押すと扉が閉まっていく。


 鉄扉がしまりかけたところを触手がむりやりのびてくる!

 触手が蠢き獲物を探すかのようにさまよい目の前まで来た……が。

 部屋が明るくなるにつれ急速に触手たちが撤退していく。


 最終的に鉄扉に押されるようにして向こう側へ消えた……


「「危なかった……」」


 みんなでへたり込むハメになった。


「今の鳴き声……なんだか、助けを求めていたような……」

「そうかあ!? 気持ち悪いだけじゃねえか?」

「俺も良くはわからないけど、背筋がゾゾゾって」


 ダカシのつぶやきにイタ吉やグレンくんは否定的。

 ただ……


「私は……少しだけわかった気がする。あと……」

「うん?」


 そう……感覚的な面でもそうだが。

 あの悪魔の目……悪魔の目は肥大化していた。

 そして悪魔の目は……こちらの生物に取り付く。


「アレもきっと、元はふつうの生き物で、悪魔に憑かれここでいじられああなったんだろうなって……」

「ああ、そうか……ああ」


 ダカシは自分のことに思い当たったのか深くふかくうなずいた。

 イタ吉やグレンくんは直接ダカシの変貌を見たこと無いからかピンと来ずという顔。

 あそこまで変貌してしまった生物を元に戻すことはできるのだろうか……


 そしてそれらを気軽に実験道具として扱うカエリラスたち……

 いやラキョウすらそういえば嫌がってはいたような。

 まあ目をつぶる程度だが。


 とにかくカエリラスの研究員たち……そしてその中で私とあったことのあるメレン。

 必ず止めなければ。






 中央の部屋へ戻りパイプを追って反対側の部屋へ。

 似たような作りながら置いてある機材が違う。

 先ほどと似たような行動を繰り返しつつ扉が開くかどうかを探る。


 試行錯誤したあとなんとか鉄扉が開き中へと入る……


「43.5ってどう入力すればよかったんだ……」

「まあ、俺なんか全然わかんねえし……」

「私も今回のは複雑で……」

「あっ、もう開ききったかな」


 グレンくんが指した鉄扉が重々しく開ききる。

 全員嫌な顔をしている……

 前があれなら今回も生命を冒涜的に貶めた何かが待ち受けていそうだ。


 先ほどとは違い明るさはそのまま。

 だから……何かに対峙するとして今度は全員直視するハメになる。


 鉄扉の向こう。臭う悪臭。

 その巨体はそこにいた。

 それはまるでニンゲンのような姿だった。


 しかしその姿は私達より遥かに巨大で。

 高い足場から見て私達と頭部の大きさが同じくらい。

 だがその頭に顔はない。


 皮膚は黒くゴムのような質感を持ち口だけは確かにそこにある。

 だがそれは大きく身体のほうまで裂けて中から牙めいたものが蠢いている。

 胸部から悪魔の目だけが顔にない目にかわり私達を見つめた。

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