九百四十六生目 獅子
隊長さんと別れた。
帝国のニンゲンたち解放により人質消失に邪気アンデッドの増加が止まるはず。
やっと無限とも思えたアンデッド軍団たちに終止符をうてるだろう。
近くの都市に飛ばしたのも何も考えなしではない。
途中からやることを決めてジャグナーに連絡済み。
さっきあらためて連絡が返ってきて派遣したアノニマルース兵が突然山程来た倒れ込むニンゲンたちを見つけたそうだ。
それはそれで悲惨な光景だ……生きているけれど。
外は外で任せるしか無いが……戦局は大きく変わり隊長さんならそれを伝えられる。
それにニンゲンたちの救助も任せられる。
私達は……この上へ行こう。
階段をなんとか見つけて登る。
ついには黒の城のみとなった構成部分。
先程までとは違い随分と広い空間が広がる。
そうだな……これだけ広ければ大丈夫だろう。
みんなに少し離れてもらってと。
「よし。ダカシを……召喚!」
空魔法"サモンアーリー"!
事前に話を聞いていたダカシを呼び出し!
というより彼は……この戦いには確実に必要だ。
「……ふう。ついたか。ちょっと遅かったんじゃないか?」
「広い場所があまりなくてね……」
「まあいい、これで俺の復讐と……妹に会える」
巨大な黒いたてがみのないライオンのような姿。
しかし実態は悪魔をつけられ身体を変えられたニンゲン。
カエリラスに村を襲われ親も妹もなくした……と思っていた。
しかし前。変わり果てた力を扱う妹がカエリラスの一員として前襲ってきた。
名はアカネ。
ダカシというか兄自体の認知ができておらず非常に暴虐的で感情の起伏が極端だった。
それもこれもあのメレンという見るからに胡散臭いのにやることも胡散臭いというお年寄りやカエリラスのトップに位置するだろうダカシの復讐相手である名前のわからないアイツ……
ウロスさんの一番弟子だった彼らのせいなのは想像にかたくない。
ダカシは彼らに合いそして合法的に復讐する権利がある。
その時が来るのなら絶対に呼んでほしいと前々から言われていた。
「んじゃあ、このメンツで行くのか?」
「そうなるね」
「うわあ、なんだか俺だけ仲間はずれっぽい」
「何言ってるんだ、俺も人だ。バカ言ってないで構えろ」
む……ダカシが言うが早いか私もそれの音を聞く。
柵が階段の前後に降り代わりに周囲の壁に見えていたところが開く。
広い空間だしなにかあるとは思っていたが……
私は急いで4つ補助魔法を唱え始める。
ダカシにはかかっていないしみんなもそこまで長期的な効果が残らない。
壁だった穴からは次々とアンデッドたちがやってくる。
同時に部屋に何らかの結界。
多分中から外へ逃げることを防ぐための結界……
転移して外へというのは無理のようだ。
それはそれとしてアンデッドたちはガンガン入ってくる。
当然前の階層で戦ったような強敵ばかり。
イタ吉としっかり"同調化"しておく。
「ダカシは強化終わるまでサポート! 私やイタ吉で前へ出る! グレンくんはその剣で暴れて!」
「ああ、温存する」
「おうよ!」
「もちろん!」
私とイタ吉が同時に前へ出る!
今の位置は私達が入り口近くにいて黒い空間が広がり……
大広間の奥におしゃれな上り階段が見える。
アンデッドたちは壁から30……50……まだまだ増える。
壁からという制限がありバカデカイアンデッドは出てきてないものの数も質も揃っている。
長引けば不利か……
グレンくんは私達の背後で勇者の剣を構えている。
「なんだ、その、短剣……? シーフなのか?」
「いや、ちょっと説明するのが難しいから、見ていて!」
みんなと同じ反応をされさっそく身近に迫るアンデッド軍にグレン君が構える。
そして……両手で大きく振り抜いた!
斬られたり吹き飛ばされていくアンデッドたち。
不可視の刃による1撃は重いものにしたらしい。
両手で思いっきり振るたびにアンデッドたちが吹き飛んでいく。
「んな……なんだ!? どんな魔法だ!」
「ふふ、これがね、勇者の剣なんだ!」
「なんというか……見えない分危なっかしく見えるな。俺も戦う!」
ダカシもグレンくんをかばう形で戦闘に殴り込む。
私達も早速アンデッドたちがワラワラとやってきた。
まずは剣ゼロエネミー! それを変形させ長剣ゼロエネミーに!
全体が刃と化したそれを横向きに飛ばす!
当然直線状に向かってくればここの賢いアンデッドたちは機敏なステップで道をあける。
だからそこでちょっとカーブ。
イメージをつけるために指先2本クイッと曲げる。
イメージどおり急激に道を変えアンデッドたちを引き裂く!
ちぎれとんでもまだ動くので追撃だ!




