九百四十四生目 恋愛
イタ吉の秘策で2人カエリラス兵を倒した。
彼らが気絶して召喚獣たちも消える。
あとは……私の身体の方!
(つってもこっちも終わりだ!)
「グハッ!?」
妨害はあったもののレベル差が大きい。
イバラで強烈に腹を吹き飛ばせば容赦なく倒せる。
ドライから身体の捜査権を返してもらった。
「ああっ、くそう……!」
召喚獣も召喚士の気絶によりあっさり消える。
ラヴは顔をしかめ召喚士は必死に水を飲んでいる。
……おや?
さきほど"ロックボーン"でしとめたと思っていた2人の気配。
土や家具の下から這い出てきていた。
まだ杖を構え唱えている。
スティックのほうも"ヒーリング"を発動して自身たちを回復し始めているらしい。
剣ゼロエネミーをすぐに飛ばす。
私達もすぐに向かう。
「ほら、ボサッとしなさんな! このままでは全滅よ」
「ゲホッ、ええっ!? なんだってそんな!?」
「前よりもだいぶ強くなっているわね……彼ら……こちらも出せるものは出していきましょう」
ラヴはさすがに警戒色が強め。
後衛2人は治し中でまだ瀕死。
水をむせつつ飲み干した召喚士は大きな幅広の刃を構えつつ2人と私達の間に割り込む。
「アイツは……防ぐのがかなり得意そうだった! ローズ、ここは連携するぞ!」
「あいよ!」
確かに幅広で大きく肉厚な剣は室内で振り回すのはともかくイタ吉の尾の刃も防ぐだろう。
守りに特化し攻撃は周囲任せか。
ラヴの召喚士に向いている。
先についたイタ吉が小イタ吉の飛び込みから始まる。
お決まりの流れだがこの流れは簡単に突破はできない。
「先程も見ていたワザが通用するとでも? お前さん始めのやつは単なるブラフ――」
「それはどうかな!?」
初めのイタ吉を無視しようとした召喚士だったが。
インに踏み込まれ思いっきり鎧の隙間を噛まれる。
当然あそこも着込んであるとは言え……
「いっだぁ!?」
「バカ!!」
ラヴが叱責する間もなく私は通り過ぎイタ吉刃持ちはカエリラス兵を切り裂く!
ギリギリ大剣で尾の刃を防いだ。
だがそのあとの爪まではしのげなかった。
爪で関節の隙間などを切り裂き血が吹く。
そして最後の小イタ吉がパッと光の粉を巻けば収まる。
そして私の方も……
「「ぎゃあー!!」」
「やっと彼女らたおせた……」
そんなに長い戦闘ではないがなんだか心が疲労した感覚。
適当にイバラで連続攻撃してやれば着込んでいない彼らは物理であっさりノックアウト。
ドサリと地面に倒れ込み気絶チェック。
「ああ、ぐう、ちくしょう!」
「調子はどう?」
「痛くない! なるほどこれは……わかればマズイ……!」
残りの召喚士は大きく下がる。
というよりみんなで部屋の奥側に来たので反対に階段側近くへ。
彼女は関節部分を確かに斬られたのに平然と動け……だからこそ危惧する。
本当はあとどのぐらい動かせるのかと。
今実際は自分のうごきがどれほど鈍っているのか……
それすらもうまく理解できないからだ。
「だから……頼んだ! 恋に身を焦がし、
愛に心裂いてやれ!」
「オッケー、そうこなくっちゃね」
ラヴが全身に光を纏いわずかに浮く。
イタ吉たちと私は強く警戒。
ラヴは唇に手のひらを添えこちらに投げるように手のひらを返す。
つまり投げキッスだが……たくさんの燃え盛る唇みたいな光が飛んだ!
ヒラヒラと飛び回りあたりにバラまかれ私達の近くに来たものは急降下!
「うおっと!?」「ワッ!」
思わず跳んで避ける!
地面に当たったそれは火柱を上げて一瞬燃える。
建物に引火はしなかったが……完全に黒焦げだ。
「危ねーな!」
「なら、こちらはどう?」
今度は胸の部分で腕を交差させ爪を振るえばハート型になった斬撃が飛んでくる!
こっちは速い!
「ウッ」「おっとあぶねえ!」
私は鎧で受けイタ吉は転がるように回避。
だがイタ吉はその先で炎の投げキッスが襲ってくる!
慌てるが間に合わない!
イタ吉は炎に飲まれ……
「っぶねえ!」
すぐに飛び出してきた!
小イタ吉も一緒で仲良く少し焦げている。
うまくそらせたらしい。
だが避けた先に次から次へ燃える投げキッスが迫る!
さらに。
「さあ、休む暇なく踊り続けなさい!」
追加の燃える投げキッスに追加のハートクロー。
私は燃える投げキッスは防ぐがハートクローは1撃が重いからあまり喰らいたくない。
イバラを伸ばして先端で受け落とす!
剣ゼロエネミーは……しのばせておく。
「「わあああーっ!?」」
爆発。斬撃。また爆発。
もはや空間で安全なところなど残されていなかった。