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九百四十三生目 掌上

 杖持ちが大きな電気玉を作り上げた。

 イタ吉と"同調化"しているのにイタ吉が正確には何しているかが伝わらないのは混乱阻止のため不必要だと思っている情報は伏せているか……

 意図的に何か隠している。おそらく後者。


 イタ吉は私に何を見せたいのか。

 とりあえず杖持ちの魔法が発動する!


「そうれっ!」


 部屋の空中に雷撃の弾が投げ込まれ設置。

 そしてそこから雷鳴のごとく響く音ともに亜音速で電撃が放たれる!


「「うわっ!!」」


 イタ吉たちは盾ゼロエネミーでガード!

 エネルギーを吸収させてもらう。

 おそらく時間かかっていたのは敵味方ターゲット。


 私自身には鎧で軽減したもののきっちり当たる。

 せっかくの"千の茨"連打が中断されボロボロながらもカエリラス兵が解放されてしまった。

 それを見たならば回復スティック持ちは即"ヒーリング"を放ち癒やす。


 もちろんヒーリングで治しきれる傷ではないものの……ピンチをまぬがれられてしまった。

 あとわりと今の雷は痛い……何が痛いかってかなりビリビリ来ている。

 少しすれば体感的に動けるだろうけれどもせっかく捕まえた敵の武器も召喚獣もカエリラス兵もみんな逃してしまった。


「ふう! 助かったよ! お姉さまの力は偉大だね!」

「これほどのパワー、お姉さまなしでは引き出せませんから!」


 なるほど……やはりカエリラス兵たちより頭ひとつ抜き出ている。

 なんとかドライが身体に力を入れ全身を震わせると電気でやられた身体の筋肉が正常動作しだす。

 ただ……魔法を唱えるのは止めなかったぞ。


 肉体の動きはドライに任せつつ電気魔法"ショック"!

 同時に"エレキシュート"!

 2種の雷撃が合計4つ魔法使いたちを襲う!


「「キャア!!」」


 む……今のは。

 確かに魔法使いたちに当たったものの直前で(エフェクト)の壁が見えた。

 軽減タイプの魔法シールドを設置してあるなあ……

 ならば重ねるのみ! のこり2つの魔法。


 土魔法"ロックボーン"2つ!

 もちろん"二重詠唱"なので合計4つ!

 骨の形をした土塊が(エフェクト)をおびて激しく回転しながら放たれる!


「次の魔法が!」

「こ、今度も速い! それに多い……!」


 避けようと走っていたものの地面から生えた刃を避ける関係上"ロックボーン"は様々な軌道から誘導させてある。

 当然屋内ではあっさり逃げ道がなくなり。


「「うわあっ!!」」


 直撃して4回も土煙をあげて粉砕!

 魔法シールド軽減があるとはいえこれで壁に叩きつけられしばらくは大丈夫だろう。

 ドライの方も順調に再度召喚獣とカエリラス兵をイバラで追い詰めている。


 あとはイタ吉の方が問題だ。

 ほんとなぜかピンピンしている。

 イタ吉たちによる猛攻で削れているはずなのだが……


「ははは! 効かないねえ!」

「あの剣は厄介だが3匹のやつらはたいしたことないな!」

「なら……仕留めようか」

「へっ、来やがれってんだ!」


 イタ吉は大口を叩き挑発する。

 敵は完全にナメているものの4匹とも刃持ちイタ吉に向かっていく。

 これはマズイのでは!?


「うらあぁーー!! ……あ?」


 だが訪れるはずの危険な未来は来なかった。

 突然彼らは動きが崩れフラつき膝をつく。

 武器を落とすカエリラス兵たち。


「な、なんだ……!? 何をした……身体が言うことを……」

「ヒザが笑う……!?」


 召喚獣たちすらも動かなくなる。

 急に震えだし威勢が一気に落ちる。

 イタ吉の笑みが狩猟者のそれへと変貌した……!


「なったな……! 見ろよローズ、もう俺たちの勝ちだ!」

「イタ吉、一体何をしたの?」

「何をしたってわけじゃあないんだがな、ちょっと体の痛みなんかを(・・・・・・・・)切った(・・・)

「痛みを……!? そうか、最後の小さいイタ吉がしていたことは……!」


 痛みとは重要な信号だ。

 痛みだけでなく辛さやしんどさを理解し伝え回復したり動きに気をつけたりする。

 イタ吉のは痛みを麻痺させるというレベルではない。


 生命力を"観察"してもわからず普段はまるで元気に動ける。

 最後小イタ吉が行った何らかのスキル……

 相手にいろんな危機感知をすべてごまかすというおぞましいものだった。


 負担を気にせず休むこと無く動いたツケは相手の攻撃を雑に受けたり身体の停止で代償を支払うこととなる。

 しかもそれまでは焦りもなく楽勝の雰囲気だった。

 かんたんに言えばナメていたあげく最後の最後でひっくり返される。


 それは心に深い痛みを与え……

 折るのだ。


「あ、あ……?」


 急激な焦りでパニックになった心とともに。

 イタ吉が振るう爪を避けられるはずもなく。

 苦戦していたように見えて最後あっさりとした勝ちだった。

 

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