九百四十二生目 秘策
杖とスティックは攻撃と回復か……
魔法は使われるとやはりいやらしい。
あの2人を自由にさせていたら不利だ……
ならば私が引きつける!
まずは! 唱えていた電気魔法"ショック"を近くにいる召喚獣へ!
「むぐっ!?」
雷撃がほとばしり召喚獣を焼くがまだ耐えている。
のこり3つの精霊による魔法枠も準備しつつ新たに私自身も唱えておく。
イバラでカエリラス兵のソードチェーンを防ぎつつ……
相手が振るった瞬間に"千の茨"だ!
細分化したイバラがソードチェーンを飲み込み別のところからカエリラス兵に襲いかかる!
「……なに!?」
連続攻撃だ!
"千のイバラ"に様々なスキルと武技を駆使しガンガン連続で叩き込む!
伸ばしたソードチェーンは他のイバラに巻き込まれまだ戻らない!
いけーッ!!
「ヤツを止め――――うわああっ!!」
「そこだっ!」
召喚獣の獣人が跳んで来て私にインファイトをしかける。
まずは強烈な蹴りからだが……
悪いがさっきもっと鋭い相手をみた!
腕に鎧をつくりそのまま蹴りをはわせる。
そらしつつ"千の茨"で分けたイバラをこちらへ向かわせる!
向こうも連撃前提だったのか片足でバランスをとり身体をひねって尾をぶつけてくる。
1歩引いてインパクト位置をズラし身体を傾け反る。
耳のすぐ上を重いムチような音が通り過ぎて……
さらに相手は正面を向いてきて拳をかざす。
(交代だ! インファイトなら任せろ)
ドライが身体の制御権を握り拳を見るに腕を交差させしっかり受け切る。
それでほんのわずか拳が止まった。
そこにイバラの1本が飛ぶ!
さて私が代わりに任されたのは"鷹目"で見ている先。
剣ゼロエネミーの操作念だ。
こういう別方向に"鷹目"を使うさいどうしても戦闘視界が確保しきれないのは気をつけねば。
状況はイタ吉大活躍と言ったところ。
さっきまでの不利から一転有利にまで覆していた。
飛び回る小イタ吉たちの能力……まだ私もちゃんと把握しきれていないかもしれない。
「小さいのが来たら一気に厄介に!」
「お姉さまに顔向けできない……!」
「攻撃が空振る、どうなっているんだ!?」
「くっ! あれ? どこへ行った!?」
これだけ多くの目があるのに正確にはイタ吉を捉えられない。
なるほどなんで刃を床からたくさん生やしたかと思ったら隠れるためでもあったのか。
剣ゼロエネミーもクルクルと動き回り常にひとりをマーク。
斬りかかって向こうが離れの繰り返しだ。
イタ吉たちはまず小イタ吉の1体が敵に襲いかかり……
「そこっ!」
このイタ吉は最後攻撃をすり抜ける。
回避行動の光出ているし私の"すり抜け回避"に近い特性がありそうだ。
そして刃持ちが近づく。
勢いついた尾の刃の1撃は重い。
相手召喚獣は最初の1匹に引っ掻いている途中。
大きく斬り飛ばした!
「グハッ!?」
壁に叩きつけられ刃持ちははまた別の相手へ。
最後の小イタ吉が召喚獣に近づき何かをして離れる。
召喚獣が反撃のつもりでだした攻撃は大きく空振り何も起きず。
「まったく!」
「まだ大丈夫か!」
「ああ! 痛みはない!」
「元気そうだね! お姉さまのために行くよ!」
召喚獣と召喚士同士だと何を言っているかだいたいわかるはず。
私はそれを近くで剣ゼロエネミー操作しつつ聞いていたが……
やはり違和感がある。
彼らは何度もイタ吉たちにあらゆる斬られ方をしている。
けれど元気で平気なのだ。
最初はまだまだ生命力があるからと思っていたが……
そもそもなぜか生命力の減りが少なすぎる。
いくらイタ吉でもここまで攻撃が浅いものばかりではない……
さっきのも大きく入ったようにみえる。
召喚獣だから生命力はわからないが……痛くないという言葉は違和感。
召喚獣だろうと攻撃は痛い。
召喚士たちも傷ついてはいるが痛くないという。
「ちっ、1発もらっちまったよ!」
「今回復を!」
カエリラス兵に剣ゼロエネミーの切り裂きがしっかり入る。
鎧の上からだが鎧のない部分から血が滲んでいるのが見えたし傷口を痛そうに手で抑えている。
だが"ヒーリング"らしき光が飛んできて癒やされてしまった。
後方2名本当に困る……!
ただやはり痛みは感じているし報告を大事にしている。
けどイタ吉の攻撃後は全て平気だと言う。
血もでないし……
何か不気味な予感がする。
イタ吉も不敵な笑みを浮かべたたかっているし……
私もとにかく剣ゼロエネミーで攻めつつ狙いを見よう。
とりあえずもう1人の後方杖持ちがついに大きな電気球を作り上げた。




