表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
945/2401

九百四十一生目 溜発

 召喚獣ラヴがいた。

 特徴的なメガネですぐにわかった。

 くすぐるような加虐的な声色が響く。


「フフフ……こんなにしちゃって、すぐにバテるの?」

「うるせえ!!」


 ラヴは危険な召喚獣だ。

 なぜなら宣言が魅了。

 だからこそトバしてでもカエリラス兵を斬りつけとめているのか。


「クソッ、宣げ――」

「そこだ!!」

「グッ!!」


 イタ吉が宣言をしようとした瞬間器用に巨大化させた爪をねじ込む。

 口を閉じ息を吐いて避けねばならない攻撃に言葉を止められていた。


「イタ吉! 参戦するよ、やッ!」

「よし、倒すぞ!」


 ラヴが私を見て露骨に嫌な顔をする。

 イバラを伸ばすと素直に下がって避けカエリラス兵ともども距離を取った。


「あなたは……そう。またみんなで来ているということなの」

「ぜぇ……はぁ……よ、よし、今こそ宣げ――」

「無駄よ。彼らの仲間に私の力を弾くものがいるもの」

「な、なんだと!?」


 なるほどダカシのことか。

 今も来ていると勘違いしているならちょうど良い。

 実際私も今の姿ならばおそらく魔法と神使の力で対抗可能。


 だが賭けをしなくてすむ。


「だから……少し趣向を変えましょう?」


 ラヴが指を鳴らせばどこからともなくカエリラス兵が。

 あの観測兵らしき姿や大きな杖を持つ狙撃兵も。

 特徴的なのは……全員女性。


「なっ、まだ隠れていたのか!?」


 狙撃兵と観測兵はともかくさらに3人も……

 わかっちゃいたけど多い。

 狙撃兵たちは狙撃兵たちもで武器を変えようとしている。


「さあ、やっておしまい」

「「はい、お姉さま!!」」


 お姉さまって……

 そんなツッコミをする間もなく3人が一斉に駆け出す。

 かこまれないようにしないと……


「下にグレンたちがついたみてーだ。これで本気でやれる!」


 私もゼロエネミーを手元に戻せる!

 それまではとりあえず動き回らねば。 イタ吉の生やした刃たちは避けつつ床を蹴って敵と向き合う。


 こちらにきたカエリラス兵は1体。

 私は今きたばっかりだし普段力の気配を抑えている。

 対してイタ吉はさっきまで大暴れだったからそうなるよね。


 杖持ちと観測兵は武器を持ち替え感電を癒やし小さな杖と宝石のついたカードに持ちかえる。

 そしてこっちはっと。


「力の差を見せつけてあげなさい」


 ラヴが指を鳴らし召喚士が何やらつぶやきカエリラス兵たちが一瞬(エフェクト)に包まれる。

 "観察"したら状態異常に魅了が足され状態変化にあらゆる能力の上昇が記されていた。

 なんだそれ!? 狂信的な能力なのか!?


「アハハハ! お姉さまの愛が溢れてくる! さあ、お姉さまの前にひざまつきな!」


 私とともに走っているカエリラス兵は明らかに狂気的発音。

 舌なめずりしさっきと違って濁った瞳が向けられる。

 チェーンのように丸い刃が繋がれた武器を鞭のように振り回してきた!


 だが……こっちじゃない!


「こっちだ!」


 私は"鷹目"で背後を見て尾のイバラを伸ばす。

 先の赤い花のようなイバラが怪しく輝き影に突き刺した!

 "猛毒の花"!


「ぐうっ!?」

「あら」


 もちろん横からくるソードチェーンも忘れていない。

 他のイバラを伸ばしわざと1本斬らせつつ他の5本で叩きつけ弾く。


「召喚獣のこと、バレてたの」

「発音を伴う召喚獣は不意打ちが難しい……そう思わせておいて、事前に言っておくことで1撃程度不意打ちさせられる。そういう魂胆かなって」

「あらら、大正解」

「グゥ……!」


 背後の召喚獣も"観察"と"言語解読"しておこう。

 獣人型か。

 毒が当たった影響で苦しんではいるが(エフェクト)の身体では本来の効果はあまり発揮されなさそう。


「あたしはまだまだいける……!」

「わかったところで止めようはないだろうけど、ね! さあ挟み撃ちさ!」


 チェーンソードをスキなく振るってきてイバラでその対応。

 背後の召喚獣は尾のイバラで牽制しつつ電気魔法"ショック"を当てよう。

 電気魔法は"チャージボルト"しないと距離が浅いが部屋はそこまで広くないうえ場に電気が満ちている。


 電気魔力が環境に影響され増大化するのだ。

 かんたんに言えばしっかり威力十分の電撃を距離のある召喚獣に向けて放てる。

 放てば亜音速なので回避は困難だ。


 そうこうしている間に1階から上がって来たのはゼロエネミーと小イタ吉たち。

 苦戦しているイタ吉の元にゼロエネミーともども向かわせよう。

 2人に2体の召喚獣に囲まれているからね。


 さらに杖持ちとスティック持ちが遠くから参戦してくる。

 杖持ちは何やら唱え雷球が出来始める。

 スティック持ちは……


「くっ、痛みが……」

「大丈夫ですか? 今治すよ」


 遠くから魔法で召喚獣の解毒を……!

 せっかくのアドバンテージが消えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ