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九百三十九生目 帯電

「一体……今なにが?」

「ゾンビがいきなりイタ吉から攻撃を自ら外したように見えたけれど……」


 私もグレンくんも驚き顔を見合わせる。

 ただイタ吉だけは理解していてどや顔だ。

 イタ吉が何かした結果なのは間違いないだろう。


 次の瞬間にはサメゾンビが何かを追うように顔を大きくイタ吉からそらす。

 私も追ってみるとそこにはなにかの影。

 サメゾンビが鋭いヒザ蹴りをどこか空に放とうとしたところで……


「付いてこれるか!?」


 イタ吉が尾の刃を低く振り横回転しつつ滑り抜ける。

 支えが片足だったのにその片足が切り刻まれまだちゃんとあるとは言え当然体制を崩す。

 そのままひっくり返るように背中から倒れ刃の背びれが地面をえぐった。


「どこ見てんだ!?」


 すぐに攻撃して滑り込んだ先へサメゾンビが体を振るって尾ひれで殴りつける。

 しかしそこにはもうイタ吉がいない。

 攻撃前も攻撃後も謎の影がサメゾンビの動きを誘導している……!


 そしてまた完全に死角からの連続斬り。

 最後にイタ吉が腹の上に飛び乗りつつ強烈な蹴り。

 くの字に折れ曲がった後動かなくなった。


「イタ吉ナイスジャイアントキル!」

「イタ吉おつかれ。へー、グレンくん難しい言葉知ってるね」

「え? あ、まあ色々教わって……」


 グレンくんはともかくイタ吉は結局何が変わったのか。

 確かに強くなったが……と思っていたら。


「うし片付いたな! 砂になってるし」

「俺らなら楽勝だな!」

「あんまり出番はなかったなー」

「……え?」


 思わずポカンとしてしまう。

 イタ吉の周りに小さなイタ吉が寄ってきた……


 本来のイタ吉よりもずっと小さいイタ吉2体がイタ吉の隣に。

 しかも姿は懐かしいトランス前のものにみえる。

 か……"観察"!


[カマミタマLv.2]

[カマミタマ 3つの体は意思が常に疎通している。戦いの時は気配すら間違わせて気づいたらエモノは傷だらけだ]


 な……なんだこりゃ!?

 イタ吉が3匹……!


("私"たちと逆だな)

(おもしろ〜い!)


 ううむ……そういうところで張り合う?

 いやイタ吉って私の中身は詳しく知らないだろうし偶然だが。


「え? あれ? 分身……?」

「うわ……イタ吉が増えた」

「「分身じゃないぞ!」」


 グレンくんがなんとかサメゾンビを倒しイタ吉たちが声を揃えて言う。

 やはりそういう認識で間違いないのか。


「それがトランスした姿、ってことだよね」

「そうだぜローズ!」

「む……そっちのことは気になるが……手があいたのなら……」

「おっとわりい! すぐ向かうぜ!」


 隊長さんが抑えていたアンデッドたちが廊下ぎゅうぎゅう詰めにくる。

 こっちも近づいてくる気配……

 指揮ガイコツは……なんとか砂になっている。


 あとはもがいているリボルバースケルトンか。

 こいつ1体ならイバラをのばし……

 網をどける瞬間に連撃!


 "叩きつけ"! "ズタ裂き"! "猛毒の花"!

 "猫舌打ち"! "拷問払い"! "龍螺旋"!

 なんとか立ち上がる前に静かになってくれた。


 さあ私とグレンくんでこちらからやってくる敵を倒してしまおう!







「よっと」


 また部屋の中に入り込んで見つけた新たな別世界への道。

 正直これもなんとなく正体は理解したが……

 ならばなおさらこっちの対処が先だ。


 というわけで全員吸い込まれてやってきたわけだが……


「つーかなんつー地形なんだここは……」

「ものすごい……エレキだね……」 


 イタ吉やグレンくんが言葉をこぼす。

 そこの地形はひと目見ておかしいことに気づける。

 なぜなら岩と岩の間でたびたび電撃が走っているからだ。


 あちこちに帯電した岩がありたまに雷撃が走る。

 静電気で私達の毛も逆立つ……

 あんまり長居したくないな。


「みんな! 雷撃が来そうだったらゼロエネミーの近くへ! このぐらいの電撃は無効化してくれるから!」

「つってもよ、いつ来るんだから……」

「むう、走り抜けてしまうのが良いでしょう。建物内は安全なはず……」


 またカエリラスの拠点がある。

 さっさとあの中へ行きカエリラス兵たちを倒そう。

 私達の毛がチリチリになる前に。


 ゼロエネミーは私達の中央で待機していてもらい駆けてゆく。

 このまま行けば無事につけるはず……


「うわっ!? こわっ! 音でかっ!!」

「すごい! 全部吸っている!」


 少し高めに配置してあった剣ゼロエネミーに空気が引き裂かれる音と共にどんどん集電していく。

 ゼロエネミーが吸収したエネルギーはすべて私に換算されるのでおいしい。

 このまま進んで行きたいが……建物から光が反射している。


「窓、いるな」

「見ているな……来ますぞ」

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