九百三十七生目 器用
廊下でやってきたのは鎌ゴースト2体サメゾンビ3体にリボルバー持ち長身スケルトンと指揮権スケルトン。
まず私とグレンくんが斬りまくる! 勢いで押し込んでいく!
鎌があるせいとゴーストだからということで直接切り裂けないが激しい衝突で鎌にぶつけていく。
逆にグレンくんが勇者の剣を振ると1撃ごとにゴーストの体が見えない刃で裂かれていく。
物質的なダメージは狙えないからゴーストの体が切れていくのはやはり魔力系統の力が同時にあるのかな。
私の剣ゼロエネミーは逆に純粋な切れ味なので実はゴーストにほとんどダメージが入らない。
鎌はだんだんヒビが入っているが。
サメ3匹も私のイバラや剣たちの攻撃でどんどん押されていく。
リボルバーを持つスケルトンは動じずに静かに構え……
「引キツケロ……マダダ……」
私達が押し込むたびにリボルバーに力が溜まっていく。
私達もそれを見つつ攻撃優先。
意外にふたりとも敵に対して距離があってあまりインファイトではない。
そしてついには鎌が1つ砕けた!
「今!」
「……!」
素早く力のこもった銃弾が正確に2発私達に向けて放たれる。
剣たちの動きを避けながら。
私達の額へと飛んできて……
「うわっ!?」「ウッ!?」
いったぁ……! きっちり偏差射撃!
そらした先に当たってきた!
鎧を貫いてその時に弾丸が爆発。
そのまま私達ふたりは頭から転がってしまった。
いったあ……
3つ目が傷つくかと思った。
瞼と影の瞼で被害は免れたものの痛いものは痛い。
それに敵たちに改めて押し戻されてしまった。
グレンくんも痛そうにひたいをさすっている。
「うう……銃弾が頭に当たるのは死ぬかと思う……」
「気持ちはわかる……」
鎌ゴースト1体は壊れた鎌を捨て直接魔力で作った拳のようなものを。
もう一体はふらつきながらも鎌で床に座り込んだ私達に攻撃!
いそいで私達は後ろへ転がってから立ち上がる。
床を拳が穿ち鎌が刺さる。
サメゾンビたちはまだ動けるので直接かみつきに来る!
「ちょっととおるぜ!」
そこをイタ吉が駆け抜ける!
アンデッドたちの意識は当然足元に寄る。
それどころかサメゾンビは機敏に脚を振り込む!
「……?」
しかしゾンビの唸り声とともに蹴り込んだ足は空を切る。
外したわけではない。
すり抜けたのだ。
そう。イタ吉の分身だ!
「……!」
気づいた時には本物のイタ吉が駆け抜けている。
アンデッドたちの体が巨大化させた爪としっぽの刃であちこち斬り裂かれていた!
ゴーストへの通りは悪いがサメたちには効果十分。
サメたちが完全に注目対象を背後に駆け抜けたイタ吉へ変更。
私達はそのスキに立ち上がって互いにうなずく。
待機させておいた聖魔法。
「「レストンス!」」
私とグレンくんの手のひらから発せられる光がゴーストたちを包む。
どうやらゴースト系にはこの魔法がよく通るらしい。
ここらへんまで来ると単に使ってもびっくりと多少のダメージ程度だが……
もともと追い詰められていたゴーストたちに渾身の1発。
防ぐこともできずにたっぷり浄化の光をゴーストたちは浴びる。
白くなって動きが固まった今がチャンス!
グレンくんは前衛型だが魔法は使えないわけではない。
ただそれよりも勇者の剣を振るったほうが強いときが多いのだ。
あとグレンくんは強めの段階の魔法しか使えないというピーキーさもあり行動力は多いとは言え有限。
「やあっー!!」
だからお披露目の機会は少ないが出来る。
ゴーストたちに対してグレンくんが勇者の剣を振るえば不可視の刃がゴーストを両断!
私の方のゴーストも剣ゼロエネミーを回転させ4回斬りそのあと"叩きつけ"で地面へ落とす!
こうして物理も通るようになってしまう。
ゴースト系列的には致命的だろう。
こっちのゴーストも砕け砂となりチリにと消える。
イタ吉の方に向かう前に背後もチェック。
隊長さんが後ろから来た腕が剣のゾンビをちょうど斬り伏せていた。
背後はこのまま任せておこう。
イタ吉の方は……
「アイツハ疾イ。狙エルカ?」
「……!」
「ソウカ!」
イタ吉が分身を作ってサメゾンビ3体を牽制。
そこそこ大きいからサメゾンビで廊下が埋まる。
私達の向こうにサメゾンビの壁そしてイタ吉。
なので"見透す眼"を持たないグレンくんたちはガイコツたちやイタ吉が見えずガイコツたちからはイタ吉とサメゾンビしか見えていない。
これは……使える!
「グレンくん、ちょっと……」
「うん?」
イタ吉の方はたくさんの分裂で速度が甘いサメゾンビたちをおちょくりつつ斬っている。
ただ鮫肌が硬いのか致命的な攻撃に至らない。
 




