九百三十五生目 休憩
召喚士は行動力を使い切りへたりこんで物陰に隠れてしまった。
かわりにプライドはバーサーカーモードへとシフトチェンジした。
解き放たれた獣。
轟く咆哮とともに振るわれる爪は力で引き裂くものだった。
「しゃらくせぇ!」
空間ごと引き裂くような光で赤黒く力強く。
イバラが薙ぎ払われるように斬り裂かれた……!
すぐ再生させる!
先程までの技量プレイと違い大きくパワーを底上げするバーサーカーモード。
今度は拳が強く輝きストレートを突き出すと大きく光線が伸び私を吹き飛ばす。
……っ! 空中受け身!
「なんて力……やっぱり前よりも強い……だけれどもこれは……」
「ちっ、今の直撃したよな……やはりだいぶ強くなってんじゃねえか」
よし今のうちに天空から剣ゼロエネミーを向かわせる。
隠れている召喚士の元へ……プライドの姿が消えた!?
あっまさか!
私も急いで召喚士の元へ向かう。
透視したこの光景……
すぐにたどり着きブレーキ。
「再召喚……!」
「他に気を回す余力はありそうだな……!」
召喚獣は召喚士の近くに再配置し放題。
バレていたのか……こっそりいったつもりだが。
おそらくは召喚士が先程の私がやっているゼロエネミー空中からの急襲に備え見張っていたんだ。
だけれども……ここまでは来た!
ゼロエネミー! いけ!
「ハッ!」
……! 何……!?
ゼロエネミーの突きを……プライドが受け止めた……!?
力とそれに傷ついても死なない体で無理やりの止め方。
少し横から攻めたから腕に穴が少しあいてそれをもう片腕で止めている。
さらに。
「ウオオォリャアァー!!」
「へへ、さすがカエリラス1の召喚がうまい俺。すげえパワーだ」
掴んだゼロエネミーを地面にぶん投げた!?
地面に激しく叩きつけられ雪が舞う。
だがそれは……!
「――ハアッ!!」
「グッ間に合――」
剣ゼロエネミーの高火力は途中からおとりと化していた。
ドライが素早く接近し最も早く自身がプライドたちの目の前へ。
ねじこむよう腕を伸ばし……
("正気落とし"だなんて時間かかるワザやってられっか!)
"峰打ち"をつけた全力ストレート!
相手が背を預けていた壁ごとうちぬく!
大きく壁面が凹むが"峰打ち"はすれども手加減の余裕などはなかった。
「カハッ……!」
召喚士が肺から空気を全部出し気を失う。
そしてそれに伴いプライドの姿も消えていく。
「クソッ、まあいい……絶対、こっちの高みへ来いよ……!」
「こっちって……あっ」
こちらが話す前にプライドは不敵な笑い声とともに消えてしまった。
こっちって……神の領域? 私が?
……あっまだ終わってない!
(よし向こうへ向かうぞ!)
グレンくんたちの戦いは……あっと!?
向こうからグレンくんたちが来た。
「そっちはどう!? ……あ、勝ってる! 良かった……」
「そちらも……終わったみたいだね。良かった」
イタ吉やグレンくん隊長さんも無事。
みな勝てたらしい。
さあ束縛しておこう。
「って、ボロボロじゃねーか!」
「ああ、これ? 見た目よりはわりと大丈夫だよ。治したいけれど」
イタ吉が指摘したように体のダメージは多い。
けれど結局回復もなし魔法もなしで前よりも強いプライドに勝てた。
強くなっているな……私。
とりあえず束縛して壁を見つけハッキング。
今度はすぐに終わった。
そしてこの世界から城の部屋へと戻る。
そこには武器を持つ人々。
一瞬身構えた。
だが……
「おや? グレン君たちじゃないか」
「よう! ここらへんの奴らは片付けたぜ」
「後方部隊のみんな!」
「ういっす!」
オウカやダンダラがちょうどカエリラス兵を斬り伏せていた。
ゴウが警戒し頷けばダンたちは武器をおろす。
「ここらへんの敵はもういません。少し休んだほうが良いですよ」
「休める時に休んでおけ! 先は長いぞ!」
「だな……さすがに行動力が不安になってきたところだ」
私はともかくイタ吉たちの行動力は有限。
しかも回復は薬か休む必要がある。
体力の問題もあるしね。
みんなで話し合い一旦この部屋で休憩をすることとなった……
聖魔法"トリートメント"なども使い回復。
爪も生え変わった。
……結構痛い。
あまりにもゆっくり治す時間は長い間同じ場所にとどまる危険性のほうが高い。
食べるもの食べ飲むもの飲みあとは薬で足しておく。
私達は後方部隊とまた分かれ上階へ。
暴れているせいでさすがに警備が厳しくなってきたが正面から破っていく!




