九百二十八生目 狭盾
隠れながらアンデッドの遠隔攻撃をやりすごしている。
「ヤレ! 例ノ侵入者ダ!」
「指揮力持ちがいるってことはやはりこの先の部屋は……」
「それにしても攻撃激しいな! 何か気を引けないか!?」
「それなら……」
廊下の壁が呪怨の炎で焼けただれる。
廊下の曲がり角の向こうで敵たちが遠隔攻撃を仕掛けてきている。
イタ吉は私から見て正面すぐにある部屋内。
グレンくんと隊長さんは背後へ回っている途中。
気を引くということならやれる。
私のゼロエネミー……展開!
腕輪モードから即変化して縦へ長めに枝を伸ばしエネルギーシールドがはられる。
盾モード狭所用だ。
このまま廊下から飛び出す!
「狙エ! 撃テ! 崩セ!」
「「………!」」
当然狙いは私になりうめき声を上げる。
アンデッドたちが各々不気味な鳴き声を発しながら私にガンガン射撃や魔法それに投擲してきた。
まあ廊下より硬いこれには通らない!
「さあさあ! 効かないよ!」
「モット撃テ! 近接前へ!」
指示を出すローブスケルトンは1番奥。
巨漢ゾンビ2体は体から血の弾丸。
ゴーストは4体は暗黒の魔法を放ちまくっている。
そしてリビングアーマーが1体私の方に歩んでくる。
つまり甲冑だけが動くアンデッド。
アノニマルースにいるようなリビングアーマーと違って理性は感じず話さず邪気を振りまいている。
今だイタ吉!
"同調化"による意思疎通しつつ1歩1歩進める。
私が堂々と歩み集中を集め……
イタ吉は気配を鋭くし相手の意識の網から逃れ駆ける。
ガンガン盾ゼロエネミーに攻撃が当たるが全部弾くし汚れることもない。
そもそも私は念じて浮かして行動力提供しているだけでまるで疲れることはないからね。
とっても……有利だ!
「援護射撃二切リ替エ! 近接、ヤッテシマエ!」
「…………!」
リビングアーマーがうめき声とともに剣を構え射撃たちはリビングアーマーに当たらぬよう調整。
刃は大きく下げられ暗い色の光とともに床ごと斬り上げ!
これは……なんとなくまずい!
盾はそのまま半身ズレる!
「ウッ!?」
斬り上げそのものはあっさりゼロエネミーに防がれ弾かれる。
だが地面から衝撃波のような光が盾関係なく地面から飛び上がってきた!
足元から迫る力に半身ズレていたがカスる。
衝撃で背後に下がらせられ痛みが走る。
大丈夫。ダメージはほんの少しだ。
けど痛いものは痛い!
けれど!
「惜シイ! 次ハ逃ガスナ! サア、グガアアッ!?」
「気づくのが、遅いぜ!」
見たり聞いたりしてやるのではなく主に生命感知するアンデッドたち。
それでもその感知をすり抜けるイタ吉の本能的な回避がすごい。
ローブスケルトンが何発も斬り裂かれ最後に頭をかち割られる。
「ギャァァァ!!」
「良いタイミングに来れた!」
「こっちの敵は任せてもらいたい」
いきなり指揮権持ちがいなくなりしかもグレンくんたちの挟撃成功。
アンデッドたちは手当り次第身近な敵をバラバラに殴りだす!
私の相手はこのリビングアーマーだ。
また地面からの斬り上げをしようとしていたところに盾解除。
かわりに瞬時姿を変え今度は基本の剣モードへ。
S字を描いた2つの刃で敵の刃に振るい動きを止める!
そのままパンチがわりにイバラで踏み込んで殴る!
頭の鎧部分にヒットしクルクルと激しく回る。
中身なしだから対して効いてないのはわかっている。
剣同士で止められたもののすぐに刃を引き次の攻撃を仕掛けようとしている。
更にイバラでほぼ同時に連続殴りをして鎧を殴打。
そのまま聖魔法"レストンス"の輝きを手のひらから放った!
……なっ!? まだ普通に動いている!?
剣ゼロエネミーで相手の剣と切り結ぶ。
その瞬間に一歩引いてさらに剣ゼロエネミーを自由にさせ斬りまくる!
(あんまり聖魔法効かないタイプか!)
ドライの言う通りそもそもこの魔法は万能じゃない。
アンデッドならなんでもきくのではなくこうやって大して効果がない相手もいる。
あとタメて多くしないと範囲がなかなか狭め。
今のもパッと出したせいで奥の方でイタ吉たちと殴り合っているアンデッドたちに大した影響を与えられていない。
私はとにかくこの目の前の相手をどうにかせねば!
1、2、3回と切り結び狭い廊下で最大威力の出せないイバラはやめる。
代わりに私の前に光の結晶を生み出す!
"ダイヤモンドブラスト"だ!
この距離ならはずさない!
発射!
強烈な砲撃が回転しリビングアーマーの胸部に直撃した!




