九百二十七生目 悪態
相手はお世辞にも召喚士としての技量があるとは言えなかった。
ゴブリン型ハリネズミなデザイアが唯一場でまともに動ける状態。
なのに召喚士のカエリラス兵は自分のことで手一杯。
「やりづらい……!」
漏れる本音と同時にデザイアが魔法をイバラに向けて放つ……
と同時に私の用意しておいた罠の魔法!
"バウンスバック"を彼の放とうとするイバラへ!
この魔法は敵の魔法を跳ね返す。
燃えたぎるマグマのようなおそらく炎魔法の火球がそっくりそのままデザイアへ。
当然正面から受けた。
「ぐわああ!?」
「バカヤロー! 何やって――」
「それはこっちの!」
「セリフだー!!」
グレンくんとイタ吉がいつの間にか回り込み召喚士ふたりを殴り飛ばした!
「「ガハッ!?」」
ふたりの怒りはなんとなくわかるなあ……
そして私もまぁまぁの太さのイバラを作り……
"正気落とし"!
キレイに頭へと吸い込まれいい音がひびく。
「なぁ!? んで……」
「ひい!? お、俺は召喚石もってないぞ」
「ズルい、俺もだ!」
「わたしも!!」
勝つ気だったらしい他の起きているカエリラス兵たちが騒ぎ出し……
召喚獣たちは消える。
「なあに、おとなしくしていればすぐに終わるぜ……!」
「「うわああぁーー!!」」
イタ吉は前足を気持ちよく鳴らし。
そして……気絶するまでボコボコにした。
「まったく、聞いてて腹がたった」
「全部召喚獣のせいにしていたのはめちゃくちゃだった」
「む……私も遠巻きから見ていたが……訓練を来なしたところで誰もが指揮官になれるわけではない、それを痛感させられた」
隊長さんの回復も終えカエリラス兵たちをきっちり縛り上げなおす。
さらに召喚石ももらっておこう。
みんなボロクソ言うな……
「まあ……あれほど驚異の相手だったのに、こんなことになるだなんてね」
「まあなあ……っとそうだ。ニンゲンたちは結局救えるようになったのか?」
イタ吉が終えたようで私の元にかけよってくる。
答えは……
「いや、まだ無理だよ。あれはひとつだけの装置じゃないんだ。100万人の規模を閉じ込めるためにあれだけではコントロールしないから、まだ複数止める必要がある」
「なんだって!? ここからじゃあできないの!?」
「うん。おそらくは似たような別のところにワープしてこれと同じように守っている場所があるはず」
敵の帝都民利用方法の最大点はまだわからない。
作りからおそらくアンデッド作成のためにエネルギーと心の力を奪っているのだろうと推測しているけれど……
恐怖を奪って出来るアンデッド……邪気をまとわせるためにわざわざやっているのかな。
私は詳しく習ったわけではないがユウレンから最低限の座学を得ている。
その時に邪気をつくらないために感情のコントロールがいるのは聞いていた。
逆に言えばつくりたいのなら……ということか。
この異次元壁の中に100万人も閉じ込められているとは思えない。
他のところも似たような光景が見られるんだろうな……
仕方ない。やるっきゃない。
後方部隊にも連絡をしておく。
念話で話したら承諾が得られた。
向こうは順調らしい。
「ならば全ての民を救うまで。みなさま、ぜひご助力願いたい」
「はい!」「ああ!」「うん!」
隊長の掛け声とともに駆け出しまずは最初の位置へ戻る。
球体が相変わらず浮いているので触れようとすると吸い込まれた!
すぐに景色が部屋の中へ変わる。
ほかのみんなもちゃんとついてきている。
すぐにこの部屋を出よう。
階段を見つけ更に階数を上げていく。
この階段が厄介で階層がちがうと
やたら状況を探りにくくなり行った先がちゃんと繋がっていないことも多い。
城だからそういう魔法の対策済みか……
そのため上って下りてを繰り返しやっとちゃんと上階に行ける階段を見つけた。
部屋から登れる階段が繋がっているのやめてほしい。
やめたら迷路状にしてある意味が無いんだけどね……
元の帝都城より大きい黒の城のせいでどこまであるかわからないが探索し例の部屋を見つけ球体向こうの隔離世界で壁の機能をオフにしなくては。
あの球体なんなのかな……魔法っぽいけどなんだか私もよく探知できないんだよな……
同階ならばまあまあ探知が届く。
そして怪しい部屋の特徴はもちろんある。
アンデッド警備が強力な部屋だ。
とは言っても戦争している状態だ。
城内に大量アンデッドを割けない。
現在正面の相手と交戦中でみんな廊下と部屋の影に隠れ部屋前の敵たちの猛攻を防げている。
合計8体が魔法や腐った血の弾丸を放ちまくっているがアンデッドだらけだったら隠れている暇などなく挟撃されまくりだったろうなあ……




