表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
928/2401

九百二十四生目 解錠

 見つけた。

 私達の目的……帝都民たち。

 みんなを呼び少し待つ。


「ローズ! なんか呼んだ……か……うわ、なんだこれぇ!?」

「今来た! む……まさか……」

「なんとかさっきの人たちは奥へ……ええ……これは……嘘だろう……!?」


 みな一様に驚き固まっている。

 無理もない。

 この光景は引く。


 私達の目の前ではこの場に似つかわしくない黒い壁がそびえたっていた。

 高く横に連なるそれらはどこまでも続く。

 問題は……


「う、うあぁ……」

「ぐうう……」「ひああ……」「ううう……」


 ニンゲンたちが……帝都民がひしめきあっていた。

 彼らは逃れようと動きあいまるで水の中のように動きあうが私達外側からはまるで硬いまま。

 さらにどれだけもがこうと外には出られないし……


「う、ええ……」

「これは……効くな……」


 ニンゲン2人組が思わず青ざめ視線を落とす。

 これはかなりクるだろうな……

 私も今なかなかひどい顔していると思う。


 イタ吉は唯一このなかでニンゲンが混ざっていないからか興味が優先し壁を叩いていた。


「今! 今助けますからー!」

「うああ……」「うええ……」「おおお……」

「き、気づいていない……?」


 私達のことに一切気づいていない。

 少し魔力分析してわかったが……これは見た目以上に厄介だ。


「今、壊して……!」

「グレンくん! まった! これ、見た目と実態がぜんぜん違う!」

「ど、どういうことなの!?」 


 これは……なんて説明すれば良いんだ。

 私も正確なことが把握しきれない。

 神レベルの所業……魔王の力……?


「……コレは私達から見れば壁に見えるけれど、実際はここだけ別次元なんだ。閉じ込めて恐怖の感情とエネルギーを食べている……? どこかへ送って……魔王の力に? いや、アンデッドたちを力付け生み出している?」

「うーん、よくわからんけどよぉ、何にせよ放っておいていいもんじゃねーだろ!」

「でも、無理やり破壊すると、間違いなく次元ごと壊れる……つまり、中の人達は……」

「う、嘘……」


 グレンくんも思わず剣の構えを解いた。

 これは力技での解決はいけないやつだ……!

 うーん何かできないか……


「見ているだけで気分が悪くなる……我らも二の舞にならぬようにしなければ……」

「ね、ねえ! これってどうにかできないの!?」

「ううーん……逆探知……あまりに膨大で難しい……あっ、でも死ぬことはなかなか無さそう。無理矢理にでも生かし続けて……ギリギリまで恐怖の力を搾り取ろうとしているや」

「いい話なのか悪い話なのか……」

「ちょっと待って……もうちょっと詳しく見て見るから」


 "森の魔女"と事前に仕込んだ知識でこの系統の魔法存在にあたりをつけていく。

 魔法の深淵に……私も負けていられない!

 ただこれを直視しつづけていると正気が削れるからそれは避けるが……


 ……うん?

 もしやこれ……いじれる?

 今の直感は……


「確かに今の所これを壊すのは無理……だけれど」

「だれけど?」

「工作出来るかも。その間後ろの敵をお願い」

「後ろの敵って……」


 イタ吉やグレンくんの言葉を聞きつつ集中。

 隊長さんは気づいたのか真っ先に双剣を構える。


「殺せー!! この先のはずだ!!」

「ここを見られた!! 生きて返すなー!!」

「「うわあっ!?」」


 ドタドタと音をさせて先程よりも多いカエリラス団員がやってきた。

 アンデッドたちも引き連れている。

 やっぱり定時報告みたいなのがあったか……けれど倒さずにやり過ごすのは私達の班じゃないからなあ。


「完全につきっきりになるから少し時間をお願い!」

「おう!」「わかった!」「背中は任せよ」


 さあ作業の時間だ!

 まずはトラップをチェック……

 だいたんにもトラップがない……


 隠されているのではなく作りに絶対の自信……またはこのような突破を想定していないか。

 たしかにさっき聞こえた通り来たら殺してしまえという思想ならばトラップの意味ない。

 リアルの方は流れ弾程度ならまあ傷が入るだけで済みそう。


 では内部の開示……うわお。

 正気か? なるほどなんとなくわかった。

 帝都民を飲み込む仕組みが膨大すぎて他にリソースを回す余裕がなかったんだ。


 そのかわりその圧倒的なパワーを用いての超強固ロック。

 私はこれから数階建てビルほどある黒い箱から突破口を探さなくてはならないとは……

 フル能力……発揮!


(おっ、お前が"私"たち全員分の力を使うのは珍しいな)

(いけー! やれー!)


 前解除したの手元の箱レベルの魔法感知トラップが懐かしいーッ!

 イメージ上で私の肉体を多重分身させる。

 つまり感知を多数広げて……


 同時に探る!

 こんなタイプ見たことも無ければ聞いたこともない!

 常識の通用しない相手だがこれまでの技術経験そして力は役立つ。


「ま、まだかー!!」

「早い! まだだよ!」


 イタ吉が敵の群れに飲まれつつ叫んでいるがまだまだ働いてもらわないと。

 補助魔法はかけ済みだからイタ吉ならちゃんと避けられるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ