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九百二十生目 不屈

 ユウレン式お祓い炎石を量産できないか聞いて即断られた。


『な、なんで!?』

『ムリなものはムリなのよ。まだ技術の確立がちゃんと出来ていなくて、ただでさえ失敗品が多く出来ているのに、これをちゃんと作るのに前の、師匠式よりだいぶ手間なの。資質があるだけじゃあムリで……今の所できるのは、私とひとりふたりって程度ね』

『う、うーんそうかあ……ユウレンもかなり限界まで働いてくれているし……わかった、ゆっくりで。現場はなんとかするよ』

『ええ。悪いけど、それでよろしく』


 念話を終える。

 仕方ない……念話の声自体かなりお疲れの様子だったし。

 私ももれなくお疲れだ。


 家に帰り扉をあけたら真っ白い毛玉植物が目の前に。

 ホルヴィロスの分神……そういえば仕事していたのか。


「やあおつかれさまローズオーラ! お風呂にするか、ご飯にするか、それともボ・ク?」

「ホルヴィロスもこの夜までありがとう。帰って寝たほうが良いよ」

「ちょっ、ちょっと!? 何もなし!? というか、何そのやつれっぷり!? 少し前元気に出ていったばかりなのに!?」


 そんなにひどい毛ざわりをしているのだろうか。

 とにかく今はベッドにつきたい。


「うん、まあ"進化"の反動でね……とりあえず、私寝るから」

「え、えぇ……?」


 奥の部屋へそのまま向かいベッドへダイブ。

 寝て次の時へ備えよう。

 "四無効"を操作して睡眠モードへ……


「…………」






 おはよーございます。

 朝の日差しとともに起床。

 うん! すごく疲れがとれているぞ!


 むしろココ最近1番の身軽さ。

 気分爽快だ。

 なんかおかしいっていうくらい元気!


 身支度してご飯食べて私のやることをしよう。

 叩き起こされなかったということは先日あれから悪化はしていないということなのだから。

 自室の扉向こうにはホルヴィロスが事務クッションに座っていた。


「あ、おはようホルヴィロス! もうすっかり元気になったよ!」

「ほんと!? 良かった! うんうん、毛並みもばっちり!」


 ホルヴィロスがツタを伸ばしてきて私の顔を触るのはまあいいとして。

 ツタの動きがどことなくいやらしいのは気のせいだろうか。


「それじゃあ、また今日もよろしくね、いつまでも触ってなくて」

「うんうん! いってらっしゃい!」


 さあワープだ!





 伏兵の怖いところは見えない恐怖が付きまとうこと。

 常に前だけ見ていればいいさっきまでとは違う。

 それが現状の戦況だった。


 ジャグナーの話によるとユウレン式お祓い炎石の効果は絶大で夜の間陣営は持ちこたえた。

 しかし前よりも背後警戒をしなくてはならなくなり心理的負担も物理的負担も大きい。

 取り囲んで有利のはずが自分たちが鳥かごの中だったかのような現状。


 新たな挟撃は来ない。

 だが今日まで持ち堪えているのはひとえに現場が優秀なのだ。

 エース級がどれだけ活躍しても限度はあるし。


 ギリギリの攻防でさぞかし士気が下がっている……かと思いきや。

 来てみたらそうでもなかった。


「新しい方の効果はすさまじい!」

「前のも量産しだしている!」

「街から魔法で直送可能だから計算上は――」

「効率よく配置すれば、この戦い乗り越えられるのでは!」


 バタバタと忙しそうに後方の頭脳担当たちが話し合っていた。

 キャンプには希望の声が戻り兵たちは笑顔すら見せている。

 圧倒的な戦争慣れがわずかなスキマさえあればどれだけ不利状況でもねじ込んでいけるという自信につながっていらしい。


 まるで不利さを感じさせない。

 ちなみに螺旋軍の方は手間取っている。

 螺旋軍の方に強力なアンデッドが目に見えて集まりだしたからだ。


 かわりにほかが楽になっているので結果的に助け合いになっている。

 螺旋軍はエースのダルウクもいるし壊滅することはないはずだ。

 今は両軍とも安定しだしている。


 ならばそろそろあの指示が来るはずだ……

 ……

 ……来た! ジャグナーからの念話!


『ローズ! 作戦が通った! 城に乗り込み、帝都民を救え!』







 私が事前に城に潜伏していた理由。

 それは機を見てワープ乗り込みし内部の帝都民を救いに走るためだ。

 そして出来得る限りカエリラスの確保。


 乗り込むメンバーはこちらで決めて良いこととなっている。

 ただし2名だけは必ず同伴が決まっている。


「準備はいい?」

「もちろん!」


 元気な返事はグレンくん。

 彼こそおさないながら勇者として宿命付けられた存在。

 対魔王存在でありついに手に入れた勇者の剣が彼の勇者たる力を引き出す。


「それが勇者の剣?」

「なはは……びっくりするよね」


 勇者の剣は……なんだかとても小さかった。

 というよりナイフだった。


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