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九百十九生目 新型

 戦場でにっちもさっちもいかない状況。

 挟撃されるわ夜だわ私が疲れてるわ。

 どうしようかと思っていたら……


 あらたな念話だ。ユウレンからだからジャグナーとつないだままマルチ化しよう。


『もしもしユウレン?』

『おまたせ、現場はどう? やっとできたわよ』

『そりゃひどい有様で……って、何が?』


 そういえばユウレン……裏で何かしていたっけ。

 必死にお祓い炎石をつくりくたばっていたと思ったけれど。


『何言ってるの? 私オリジナルの炎石……ずっと理論では練り上げていたけれど、実物ができたわよ』

『ああ! そういえば……ごめん、今頭が回っていない』


 ドライが四方から寄ってきた敵をイバラで締め上げる。

 油断もスキもないが戦場なので当然。

 今も移動しつつ念話。


『まあいいわよ。そっちにいくつか送るから使ってみなさい。効果てきめんよ』

『何が違うの?』

『細かいことは置いといて結果から言えば、範囲内の相手にお祓い炎石の効果を一時的に付与するのよ』

『ええっ!?』


 それは……この状況ではとんでもなく有用だ!


『今送っているから、ちゃんと受け取りなさいよ。じゃあ……少し寝かせて』

『ありがとう! おやすみ』

『なるほどねえ、どこまで有用かは効果次第だが……今日最後の仕事頼めるか?』

『うん、もちろん』


 ユウレンが寝てジャグナーとも交信しつつとりあえず魔法を練りつつ現場に急行。

 そのまま空から土魔法"アースレイン"!

 土砂がどんどんと降り注いでいく。


 土砂は迫りくるアンデッド軍と慌てていた帝国奪還連合軍を隔てるように配置。

 高く厚く積み上げておく。

 現場はかなり混乱しているが……


 下にいる兵たちに腕を振る。

 ……けれど錯乱する味方を抑えるのに必死のようだ。

 倒れる味方もいる。


 さあ急いで戻らねば。






 アノニマルースからやってきた魔物たちからお祓い炎石を受け取る。

 たったの5個。

 中の炎は前と違い暗い青色をしていて暖かな身を守る感覚はない。


 それでもユウレンを信じるならば効果絶大。

 すぐに先程の地へ飛んだ。


 現場は先程から時間があまり立っていないのもあり土砂がまだあった。

 アンデッドたちはまっすぐ突っ込むという命令を守ったのか土に対して腕で掘っている。

 さらに遅延のせいでグダグダとたまっているのにうまく周回しようという思考はないらしい。


 むしろアンデッドたちは砲台を使って吹き飛ばす気だ。

 一方帝都奪還連合軍たちも少しの時間稼げたもののそれだけ。

 まだ身内で殴り合うハメになっていた。

 まずは……だ。


「みんな! 新しい道具を使います!」

「な、なんだ!?」

「魔物の兵か!?」

「アンデッドではないな! 手伝ってくれ、今大変だ!」


 私の話も半分程度しか聞いてない程度に剣振り回して暴れている仲間たちに必死に体で拘束をかけている。

 私はできるかぎり彼らの中心地に降り立つ。

 そしてユウレンのお祓い炎石をかかげた!


「こう!」


 お祓い炎石から光が強く放たれる!

 それは明るくないまるでブラックライトのようなもの。

 "鷹目"で見ると範囲はウロス式とあまり変わりがない。

 その暗い輝きが収まると……


「な、なんだ!? 体が光っている……?」

「これで邪気から身を守れるはずだよ!」

「なんと!?」


 私達の体が淡く輝いている。

 これで邪気から身を守れるはず……

 おや? さっきまで狂乱していた兵たちがおとなしくなっている?


「あ……あれ? なんだ……?」

「俺は……確か……」

「みんな正気に戻ったのか!? 凄まじい力だな……!」

「ほ、本当だ……ユウレンすごい」


 "観察"してみると状態異常が範囲内の味方は解けている。

 これは凄まじいパワーだ……! 聞いていなかったけれど!

 ――ッ! 爆音が鳴り響いた!


 土砂が吹き飛ばされ邪気を纏ったアンデッドたちが顔見せする。

 みんなは……錯乱していない!

 効果アリだ!


「みな無事……だな!」

「追い返せー!」

「「おお!!」」


 この効果はすごい……!

 急いで他のところにも届けよう。

 そのためにも……今ここを切り抜ける!






『え? そんな効果があったの?』

『知らなかったの!?』


 伏兵は戦力としては高かったが数は少なく無事押し返した。

 お祓い炎石も各地に配り沈下も済んで報告したらユウレンからこんな返しされた。

 ユウレンはもともと寝付き良くないしまだ起きているとは思っていたがやはり。

 しかしまさかの未確認効果。


 私も疲労から"進化"を説いてアノニマルースへと帰還。

 自宅へ向かうところだった。


『そりゃ全部チェックして作れるわけじゃないわよ。こっちに精神汚染患者はいないしね』

『それもそうか……ところでこれの量産って――』

『ムリよ』


 ぴしゃりと言われてしまった……

 これ絶対たくさんあればこのピンチを乗り越えられるのに!

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