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九百十六生目 無理

 剣ゼロエネミーが新たな姿をお披露目した。

 長くなった際の切れ味……

 秘密は音だ。


 あの形状になったさいに強く音が鳴っていたが理由は振動である。

 超音波レベルの音の振動をエネルギー刃が発生させ切れ味を底上げしていた。

 なのであの状態だとどこかに置けばそのまま斬れてどんどん落ちていってしまう。


 もはやスライドさせる必要すらないかもしれない。

 それほどに強大な切り裂きだ。

 使い所は考えないと……


 私自身もドライによる攻撃で参加。

 とにかく戦い続けるが……

 日は傾き相手軍勢が衰えることはしらない。


 こちらの被害が出るたびに相手の軍勢が増す……

 アノニマルースの魔物は帰還するので平気だが……

 それでもニンゲンたちは削れアンデッド自体まだまだ帝都山脈の中で出待ちしている。


 果たしてこちらの体力が持つのか……

 その不安は夜になると強く姿を表してきた。






「引けー!!」

「クソーッ!」

「電磁トラップ!」


 またひとつのラインが放棄された。

 こちらはやや円状に囲んでいる影響で一箇所の撤退は全体の後退にある。


 それでも夜のアンデッドたちは恐ろしく強いためたとえ守りが困難になりがちでも下がるしかなかった。

 私もたまにワープして龍脈を確保して"進化"を維持しているものの……

 いくらゼロエネミーが強靭でも単に私の体力も切れる。


 アンデッドは夜になると活性化する。

 元気な獣のごとく駆け回り夜にだけ現れる霊魂のようなアンデッドもいて。

 戦場は危険度が跳ね上がりニンゲンたちは夜ではほとんど動けない。


 守りに徹するというのは簡単だが……

 長期間戦争はこちらがどんどんと不利になっていく。

 とりあえず私達も少しずつ改善を行っている途中だ。


「うわっ!? 空間に穴が!?」

「魔道士どの、これは?」

「確かに"ゲートポータル"ですが……しかし、これの戦争運用には本来莫大な維持魔力が必要……一体どうやって」

「軍事機密です」


 ニンゲンたちの後衛軍にさらに補給用の街と直接魔法で空間の穴をつないだ。

 私が戦っている間ジャグナーの指示で別の魔物たちが動いていたのだろう。

 ニンゲンたちの物資運搬や危険なニンゲンの緊急搬送が行えるように。


 これで持ちこたえてはくれるだろうけれど……

 てのひらからかく汗を拭い取る。

 

「ふう……本当に尽きない……!」

「アンデッドたちが倒れて砂になったあとに、どれほどのアンデッドがまた復活していることやら……気の遠くなる話ですね」


 アヅキが隣に飛んできた。

 アヅキはスキルで夜目が効く。

 本来は昼隊なのにムリをして夜も働いていた。


 アンデッドは完全に(たお)しても環境的にそれで済むわけではない。

 呪術士のような姿をしたアンデッドが再度アンデッドたちを復活させている姿が認められた。

 見かけ次第最優先撃破が求められている。


「アヅキ、そろそろ休んだら? 明日もあるよ」

「いえいえ! 私が主の活躍を見たゲフンゲフン! 少しでも役に立つ喜びを味わせてください」

「えっ、あっうん、とにかくムリはしないで」


 なんかかなり別の含みがあったような……

 深く追求しても幸せになれないことだろう。

 

「もちろん! ムリなどはしませんとも! 1番のムリは主と戦ったことです」


 あの戦いに関しては私がよく勝てたなと未だに思っている。

 当時の私は今よりずっと弱い。

 アヅキもかっこよさにこだわって変な戦い方をしていたがかなりの驚異だった。


「私も、あの戦いは無理無茶な戦いの1つだと思っているよ……アヅキから守るための戦いとは言え」

「でも、こうして私達は繋がれました。その無茶に感謝していますとも。決して私の行為を正当化するつもりはありませんが――」

「大丈夫。もうあの時はあの時、互いに生きるための戦いだったって、前も話したよね、フフ」

「……ですね、フフ」


 私が笑いアヅキも笑う。

 あの時の選択はわからないが……

 今こうして繋がりがある。


 今も未来も……こうしたつながりを大事にしていきたい。

 だから……戦う!


「来ましたね、私は邪気をつけるヤツラを落としに行きます」


 帝都山脈方面から次々とまた邪気付与自爆アンデッド。

 さらにおぞましく響く吠え声。

 "鷹目"で上空からよく見てみると地下から大型ドラゴンゾンビが出現!


 腐った肉と白骨を引きずるように地面から這い出てきた。

 不意打ちされた部隊が邪気に精神汚染され瓦解しかけている。


「私はあっち! また元気に会おうね!」

「もちろんです! 主こそ、お気をつけください……あなたは、いつも傷つき過ぎる」


 アヅキに何か返事したかったが私もアヅキも加速してしまった。

 私もこちらに集中しよう。

 飛んでいる途中にいた邪気自爆アンデッドを見つけたので火魔法"フレイムボール"。


 ホーミング付属発射!

 火球が偏差射撃せずとも勝手に相手を追尾していく。

 もはやそちら見ずにドラゴンゾンビの元へ。


 視界の端で青い閃光が見えたので大丈夫そうだ。

 ドラゴンゾンビがこちらに気づき大口を開く!


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