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九百十五生目 真価

 剣ゼロエネミーの姿があらわとなった。

 それは一見剣ではなかった。

 前までの剣ゼロエネミーとしての肉体から大きく変化していたのだ。


 前の剣ゼロエネミーは私の雑な剣を元に打ち直したもの。

 今度のは白毒に白砂そして白石という神のものを使い0から大改修した生まれ変わりの姿。

 洗練された曲線を持ってS字にカーブした美しい青の金属のような杖にみえた。


 だが本質は杖ではないことをゼロエネミーが私の心に直接訴えかけてくる。

 なんて力強いメッセージ!

 前の時よりはっきりとした意識を感じた。


 私はゼロエネミーをコントロールするのに魔法を使っていない。

 ゼロエネミーは自力で飛んでいる。

 飛ぶのにも使うのにもずっと私からエネルギーをとっていくがそれは私と非常に相性が良い!


 念じればゼロエネミーのS字空白部分に膜が張られる。

 エネルギーで出来た流水を思わせる膜は……刃である。

 そのまま激しく回転して飛び回り周囲のアンデッドへ襲いかかる!


 刃が触れればアンデッドたちは抵抗出来ず斬り裂かれていく。

 抵抗も薄くスケルトンもゾンビも裂かれていく。

 剣を構えている相手も瞬間的に出力を増してやれば剣ごと切り裂いた。


 なにがすごいかって切り裂いた相手がそのまま朽ちるのだ。

 アンデッドだって生命力ならぬ耐久力が残っていれば真っ二つだろうが身体を乗っけたりして復活する。

 普通の生命体よりもむしろしぶといのだが……


 その耐久力を1撃で削りきっている。

 クルクル回したまま私の手元まで戻ってきてもらった。

 刃を消し美しいゼロエネミーの生まれ変わった姿をよく見る。


 中央に前もあった瞳のような宝石があった。

 キラキラとその瞳の視線が私の目を射抜く。

 なんというか……頼りになりすぎて置いていかれそうだ。


 ゼロエネミーが私の身体を這うようにクルクル回りやがて手先へ。

 掴むとスッと馴染みどこか冷たいのに戦場の熱が癒やされる。  

 さあ……さらに力を見せてもらおう!


 まずは先程の攻撃だ。

 ちょうど周囲から鳥型アンデッドたちが飛んできてきている。

 両手に持って中央からゆっくり下へ手をスライドさせれば形が変わってゆき持った側が直線状に。


 まるで液体のように変化したのに形は硬く金属製で……

 生きているかのように呼応してくれるのに明らかに無機物で。

 不思議な私の剣にちょっとずつ慣れよう。


 曲がったほうを敵に向けると敵が空から落ちる。

 あまりにも速い一瞬の攻撃。

 もう一度近くに飛んできている相手に向けて……落とす。


 やはりそうだ。

 今のはこの剣の形状変化である突きだ。

 手の中で流水していくような不思議な感覚でちゃんと理解した。


 それは放つビームのようなもの。

 しかし実際はそうではない。

 光線だなんてゼロエネミーは放っていない。


 ただ先端が一瞬で伸びて刺しまくったのだ。

 弱い相手ならともかくアンデッドだと刺突はあまりダメージが通りにくいからと勢いで殴打している。

 おそらく先端の形をすり鉢状にしてぶつかる瞬間に衝撃を拡散させているのだ。


 それで貫かずぶつかる。

 高速で素早いぶつけでなおかつ意外に1撃が重い。

 私の"連重撃"も含まれて2回打撃だからそのワザはまさに一瞬で大打撃。


 だいたい近くに来たやつは落としたので今度は――

 おっと下から強烈な砲撃!

 すぐにゼロエネミーに念じ浮かべて手のひらの先に展開。


 流水のように変形し素早く私の前方を覆うかのように枝のように伸びていく。

 (まる)くだが隙間だらけのそれだが噴水のごとく水の膜みたいにエネルギーが広がり間を埋める。

 向こう側がよく見えるバリアが出来上がり下からの強烈な砲弾が当たっても軽々砕いた。


 今のは下から自身の体が砲台になっている巨大なスケルトンから撃ち出されたらしい。

 周囲にも多数似た小型がいてどんどん撃ち込んでいるが全てゼロエネミーにより弾かれている。

 このままグンと接近だ!


 2発目の大砲撃を防ぎさらに形状変化。

 細くそして長く変形していく。

 できあがった物は周囲が刃として発光しているひとつの細長いもの。


 持つことすらできない刃の塊。

 ゼロエネミーの体から発せられる光は……強い音を発していた。

 それを念じて向かわせる!


 長く美しくその剣に秘められたエネルギーによって軌跡が尾をひく。

 先程のように激しい回転もなくただ一直線。

 砲台スケルトンへ真っ直ぐ入る。


 それは極限まで研がれた刃がすっと肉を切り開くように。

 強烈な砲弾を放てる頑丈さを持つはずの砲台骸骨は。

 丁寧に真っ二つに割かれ砕け散った。


 ついでにゼロエネミーはまたS字に戻って周囲の小型砲台アンデッドたちを切り裂いていく。

 恐ろしく頼れる私の剣だ。

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