九百十二生目 神撃
大きく映し出されたウロスさんの一番弟子映像。
声もエコーされ戦場に響く。
そして……邪気復活型アンデッドが現場に投与されだした。
お祓い炎石のチャージ時間が必要なことを向こうは当然知っていた。
その時間はけして短くない。
実際1度使ったあとだった今やられたせいでお祓い炎石のチャージ持ちが少ない状態。
惨状が繰り広げられていた。
現場には悲鳴と怒声と……
『ど、どどどどうしましょうこれ!?』
「く、クワァコロロ、大丈夫」
「……うん、けど、いやなきぶん」
ドラーグの声にコロロの声に……
一番弟子の笑い声。
「ハハハ…………! やはり最高だ、この狂乱こそ愉悦というもの……! せいぜい魔王の復活まで、そこで自滅を繰り返し給えよハハハ……」
幻影が消える。
だが現場の精神汚染による混乱は消えない。
『ドラーグ! 私含めて出来る限り出る! 救助して! 精神の治療は私の聖魔法"ピースマインド"を使って!』
『わ、わかりました!』
よし……まずは魔法唱えつつ連絡!
『みんな! 戦地で緊急事態発生! ジャグナーの指示に従って急行を!』
『『ああ!』』『『はい!』』
いつものみんななら今ので大丈夫。
さらにもう一度勇者グレンくんに接続!
『ごめん、剣を取りに行く暇がなくなった! 戦地で直接渡して!』
『なにか……あったんだね。わかった、すぐ届ける!』
後は私の準備。
久々になるぞ。
ネオハリーへ……!
ネオハリーになるには龍脈が必要。
そしてその龍脈は帝都の近くにある。
いやそれもそのはず帝都は大きな龍穴スポットが複数存在しているからだ。
龍穴あるところに龍脈あり。
場所は私の直属部下たちが探し当ててくれた。
彼らは本当によく働いてくれている……
その場所へ……"ファストトラベル"!
景色がやがて切り替わり別の地点へ。
帝都平原の隅からしばらく行った地下洞の先。
ここはところ各々の協力で探り当てたらしいが私ではまず見つからない……
私の目の前にある壁一部に龍脈の線が見えている。
膨大なエネルギーの塊。
うっかり触れた相手を消滅させる世界の力。
これを取り込んで平気なのは嫌だが蒼竜のおかげだ。
背に腹は代えられない。
神の力を使うときだ。
「ハァッ!!」
"進化"!
龍脈からエネルギーが流れ込み卵のような光に包まれて全身が溶けるように感覚がなくなり……
急激に再生成される!
卵の殻が壊れ……
完成! ネオハリー!!
全身に力がみなぎる……心がたかぶり深呼吸。
腕の調子を確かめ手をグーパーして。
骨の翼を展開して力を溜め……
鎧を動きやすいように身体にいくつか展開。
顔も隠してと。
お祓い炎石大丈夫。
魔法を唱え精霊たち3体にも補助魔法を用意してもらい。
戦地へ行こう。空魔法"サモネッド"!
「ローズ様気をつけて! 敵がたくさんいます!」
「……パパ、けちらしちゃえ」
ドラーグに承諾してもらって飛んできたら早速アンデッドたちに囲まれていた。
もはやお祓い炎石を持つ者たちが積極的に危険を冒さないと後方まで敵が流れ込んでしまう……
背の茨に力をみなぎらせる。
「私も行くよ!」
一気に散らす!
"千の茨"!
ドラーグを避けるように茨たちを大量に伸ばす。
細分化し大量に生まれそれでも1つ1つをコントロール。
棘の生えた茨たちで一気に周囲のアンデッドたちを吹き飛ばす!
イバラに当たったアンデッドたちが面白いように吹き飛んでいく。
"飛行の極意"で高く飛び上がり遠くにいる巨大な敵を視認。
全力で飛行制御して……"ダイヤモンドブラスト"!
光の結晶弾を発射して大きな異様に肉体が膨れ上がったゾンビの頭を撃ち飛ばす!
衝撃は凄まじいが今の姿と力なら後ろに若干回転しつつ飛び下がるだけで抑えられた。
そんなにチャージしていないしね。
同時に遠くから地響き。どうやら倒した様子。
「す、すごい……!」
「ドラーグ! 私はみんなをなんとかしてくる!」
「はい! わかりました!」
「コロロ、ドラーグをよろしくね?」
「……ん? うん、パパ、がんばろ」
よし。素早く空を飛んで移動!
崖の迷宮にて嫌でも慣らされたからまだ地面見えるだけマシ……!
けれど現場は凄まじい混乱具合。
どうやって味方たちを救えば効率が……
私だけでは……
(だったらよ、任せよう。"私"は、暴れている奴ら全員捕まえりゃ良いのさ)
(それいいね! さんせー!)
ドライとアインスの意見……なるほどそういうことか。
よし。やってみよう。
みんなとうまく協力を!




