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九百八生目 融合

 狭い間を通り抜け見張りをやりすごす。

 アンデッドはやりすごせてもそうじゃない者からすればバレバレだろうし警戒は続けている。

 幸い黒い柱が大量に立ち並ぶような不思議な山々なため遠くからの視界は通らない。


 私は"鷹目""千里眼""見透す眼"を駆使し最短距離を走っていく。

 黒い柱を強く蹴って横に飛び空中に身を踊らす。

 そのまま対岸の次の黒い柱にたどり着き着地時で駆ける。

 そろそろ見えてくるはずだ。


 地図上としてはもう帝都の住宅があってもおかしくない。

 光魔法"ディテクション"の脳内地図をよく照らし合わせる……

 無意識に拾った情報の範囲もちゃんと記載されるからね。


 さらに進んだところ。

 おっ! あったあった!

 この形状は家々……なんだけれど。


 脳内地図の地形情報がおかしい。

 まるでこれは……

 直接見に行こう。


 テクテクと歩んだ黒い柱の向こうがわ。

 少し見下ろしたところにそれはあった。

 それらは明らかに真新しい家たちでありながら……決して住めない環境となっていた。


「なんだこれ……家が山の中に……取り込まれている?」


 家が山の中に埋まっていた。

 黒い山肌の中に崖の向きに沿わず家たちが埋もれている……

 なにより変ななのは……何も壊れていないことだ。


 土は掘り返したあとがなく。

 家はこうなれば半壊するだろう部分も無事で。

 まるで最初からこのようにつくられたかのようだ。


 不気味だ……まるで山が家を取り込んでいるような……

 中には誰もいない。

 家財もあって最近までニンゲンが住んでいた痕跡はある。


 アンデッドや生存者の気配はなし。

 そして戦闘跡らしきものもなし。

 なんなんだここは……


 そのままどんどんと進んでいく。

 道を折り返し進んでと繰り返せばより不気味な景色が広がる。

 壁は何も仕切れず舗道は山の中へ続き街灯は地面近くを照らす時を待っている。


 まるで世界と世界が無理やりくっついたかのような荒唐無稽さ。

 何が帝都内で行われ……

 そして何が行われようとしているのか。


 それを私はできるのなら見てこなくちゃならない。

 無事だといいけれど……

 ここで死の気配がないということはどこかに移動させられているということでもある。


 奇妙な光景はどこまでも続くがさすがにアンデッドの見張りもいるようになってきた。

 足を止めずにちゃんと駆けていく。

 大丈夫。誰もいない。







 更に行けばついには帝都の大壁が見えてきた。

 とはいえ山に侵食されている影響でどこらでも出入りできる。

 アンデッドはこれみよがしに配置されているが気づかれないので駆け抜けよう。


 今いる位置から4箇所跳び続けば上まで届くはず。

 まずひとつ目飛び出ている黒の岩先!

 軽く跳んで着地。


 不安定な足場なためそのまま跳ぶ!

 2つめの岩先端着地。

 止まらず3つめ!


 ここは壁のでっぱり。

 止まらずに4つめに跳ぶ!

 着地! 壁の上だ!


 ここからなら見下ろせるはずだ。

 あのドラーグが遠くから見た帝都の中身を……ああ。

 …………恐ろしい。


 植物が侵食しているのは見えていた。

 黒いこの土地にふさわしい黒い木々。

 だがこれは……後から生えたものとは思えない。


 大都市ということで建築物は大量に立ち並び道々はその間を確実に通れるように縫い届く。

 それなのにそこに同時に森があるような……

 森があるのに建築物たちはなにも壊れていない。


 木が生えれば崩れるはずの家々は木と共に融合し。

 石づくりの道を割るはずの草花はそこから生える。

 何もヘンではない。だからそこ不気味。


 とりあえず怪しまれる前に降り立つ。

 壁から降りるのは簡単で斜めに生えている木を伝えば簡単だった。

 葉まで真っ黒だがごく普通の木であることには間違いないらしい。


 足の裏から木特有の堅くヒンヤリとた感触。

 心地よいとも言えるし不気味さが増すとも言える。

 そのまま建物の上へ。


 アンデッドたちの軍勢がいる……

 かわりに生き物たちの気配はなし。

 帝都のニンゲンたちがみなアンデッドに変えられたのでは……という悪い妄想だけが先走る。


 とにかく生き物の探索をせねば。

 場の状態が悪すぎてにおいでの追跡が出来ないのが困ったが……

 こうなれば怪しいところはひとつしかない。


 帝都の帝都たる所以を称するための居城……

 そしてそれすらも取り込んだした黒の城だ。

 都市奥深に構えたこの城はどこまでも高い。


 そして……まるでてっぺんと空の黒雲がつながっているかのよう。

 とにかく侵入口を探そう。

 当然のように正面口はアンデッド軍が塞いでいる。


 さすがにあそこを突っ切る自信はないなあ……

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