九百一生目 大槌
ドラーグとコロロそれにニンゲンの隊長がスケルトンキング軍へと立ち向かう!
スケルトンキングの行動は単純かつ明快。
スケルトンたちを大量に召喚したあとゆったりと大鎚を構えて大上段から振り下ろす。
これで先程の兵たちもやられていた。
スケルトンたちを巻き込むがまるで気にしない。
アンデッドならではの戦法だ。
ただこちらとしてはかなり危険ではある。
「このっ! 思ったよりこのガイコツたち、強いですね!?」
「彼らも兵か、厄介な……」
スケルトンの中でも呼び出されたスケルトンたちは機敏に動く。
鎧を一部纏い武器を携え盾で王への攻めを防ぐ。
ドラーグが突っ込んで吹き飛ばそうとしたらスケルトンたちがいくつもの盾を合わせると巨大な光の盾が発生。
突進が受け止められ勢いを殺されてしまった。
仕方なく爪を振るい隊長は双剣で踊る。
スケルトンナイトとでもいうべき彼らは他のスケルトンたちたはまるで違いとりあえず生者を襲いに来ない。
徹底的に時間を稼ぎ盾を組んだスキマから槍を刺してくる。
集団でのスキル技術をかなり駆使するタイプらしい。
なら……
「……パパ、大きく飛んで」
「うん! って、え?」
ドラーグはとりあえず指示に従ってすぐに飛び滞空。
けれど意図は汲み取れなかったらしい。
けれど……
「……なるほど!」
"同調化"がある。
コロロの意思が通じたらしく素早く羽ばたき初めた。
「ふむ、ならば私は彼奴らを引きつけよう。ハアッ!」
"同調化"していないはずの隊長は経験則から答えを導き出したらしい。
隊長は全身から強烈なオーラを放ちその波動をスケルトンナイトたちにぶつける。
挑発みたいな効果だったらしくスケルトンナイトたちがみな隊長の方を向いた。
ドラーグは素早く飛んでスケルトンキングの背後を取る。
ドラーグの方が大きいからいざ動き出せれば後ろを取るのは簡単。
だがスケルトンキングはもう大槌を高く振り上げている。
「間に合えー!!」
そして翼をひるがえしそのまま急降下!
スケルトンキングが頭上背後のドラーグに挑発をふりきって振り向こうとしたが時すでに遅し。
鮮烈な蹴りがスケルトンキングの王冠ごと頭を蹴り飛ばした!
ドラーグはそのまま着地。
スケルトンナイトの背後から質量たっぷりの突進を食らわせる。
盾がない方向なら吹き飛ぶのは道理。
「うう、浅かったです!」
「問題ない、始めから彼のような化物、1撃で沈められるとは思っておらぬ」
「……パパ、ふぁいと」
「よおぉし!! やっちゃうよ!!」
スケルトンキングの頭は激しくグルグル回転したものの壊れはしなかった。
だがおかげで大槌をおろさせられたようだ。
両手を使って頭の回転を止めた。
地面に落ちた大槌が地を鳴らす。
風が舞い砂埃がドラーグたちにもかかってくる。
またスケルトンキングが腕をかかげると前よりも多数のスケルトンナイトが地面から湧き出てきた。
「数が増えても関係ありません! 今度は大技で……」
「パパ、ストップ」
「うえっ?」
ドラーグが上空に飛び上がったところでストップがかかった。
見るとスケルトンナイトたちがスケルトンキングの背後にも湧いていた。
さらに盾を組み光で大きな壁をつくりだしている……
「あれじゃ叩けない!」
「む! 多すぎるな。先程の咆哮はできまいか?」
「まだ無理です〜!」
盾の光はキレイにスケルトンキングを囲んでいる。
その間にも大槌を改めて持ち上げ……
大きく振り下ろす!
「危ない!」
「ドラーグ殿!」
ドラーグが受け止めて"防御"しようと守りの光を発生させたが大槌は関係なく叩き割る。
わずかに耐えるのみでそのまま頭を叩き伏せ地面に縫い付けるように落とす。
ドラーグ視点だと一瞬映像が飛んだ……
「うが……ぐ……!」
「うう……パパ……!」
当然乗っていたコロロも無事では済まない。
かなりの衝撃を喰らったがすぐにドラーグを心配するかのような声。
そして答えるがごとくドラーグは必死に立ち上がる。
「かたじけない! まだ立てるか、ドラーグ殿、コロロ殿!」
「え、ええ……!」
隊長はなんとかそのスキに衝撃範囲から逃れていたらしい。
駆け寄ってきたがドラーグは力強く立つ。
かなり重たい1撃で大きなドラーグですら叩き伏せられる……
そして前面スケルトンナイトの守り。
やっかいだ!
「……パパ、基本、しよう」
「基本……? あ、なるほど!」
"同調化"でドラーグとコロロの作戦が決まったらしい。
私は見ていることしか基本的にできなくてもどかしい。
ドラーグの動き……何ができるんだろう?




