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八百九十六生目 開幕

 コロロと共に帝都の空をドラーグが飛ぶ。


 まず"同調化"を私から借りてドラーグと繋がる訓練もした。

 空の難しい軌道にも耐えてなおかつドラーグをうまく導けるように。

 ドラーグはコロロを守れるように。


 飛行装備一式はまずコロロの安全のためを考えられた装備だ。

 高度なヘルメット。ゴーグル。口元を覆うスカーフ。

 全身はその身体のラインが浮き出るほどにしっかり身を覆うスーツ。


 全部単なる品ではなくスキあらば魔物素材を練り込み竜鱗を使い魔法を込めた。

 服としても服屋技術の粋を集めたもので私ですらよくわかっていない。

 ちなみに一式をまともに揃えようとするとニンゲン世界での金銭ではとても揃えることはできないらしい……


 ちなみにゴーグルは苦労した。

 半透明な物質をうまく調達ができず……

 贅沢にもダイヤウルフの身体鉱石を使わせてもらい大胆カットしたものを使用したがその分良い仕上がりになった。


 さらにドラーグへ正式に(くら)を導入。

 これによりドラーグが本格的な運動が可能となった。

 今まではコロロに配慮して動いていたがドラーグ主導の動きができる。


 なので今ドラーグが凄まじく傾きながら回転し攻撃警戒のランダム運動しても耐えられている。

 馬のものより自身をかなり固定し身軽なアクロバットを可能に。

 互いに息を合わせての見事な乗りこなしだ。


「見えてきました! 予定通りに突入します!」


 先発隊が空戦を避けつつ地上に向かう。

 そして地上スレスレまで飛ぶと御祓い炎石にエネルギーを送り込んで念じ……

 光きらめく。


 瞬時にドーム状に光が広がってアンデッドたちの邪気が一気に払われる。

 青い結界壁が壊れる前になんとかできてよかった……

 使用したあとの御祓い炎石は中の炎が極端に小さくなりトロ火状態。


 1度使えばしばらくはああだ。

 ものによるがまず半日はいるのだとか。

 再度炎が戻るまでは使えない。


「うわっ! 聞いていたとおり本当に撃ってきた!」

「パパ、右へ大きくよけて」


 うわっ!?

 螺旋軍が空や地上から先発隊に向けて攻撃!?

 一応みんな避けているけれど……って。


『聞いていた通り……?』

『ええ、ジャグナーさんが、オウカさんから教えてもらったから、注意はしておくようにって言っていました! 魔物相手だから、普通よりも気兼ねなく攻撃してくる可能性が高いと』

『……あ! あの時の……』


 オウカが去ったあとにジャグナーの元へ一応警告しにいったのか。

 そのおかげで今避けられていると。

 なんというか螺旋軍……うーん。


 かなり気をつけたほうがいいのは事実か。

 私が身体を動かしているわけではないけれど魔法の太矢や銃弾がかすめると思わず自分の身体を動かしてしまう。

 当然それでドラーグが動くわけじゃないけれど。


 ドラーグ自体はコロロの指示に従い大きく右へ。

 機敏に身体を傾け飛んでゆくがうっかりすると天も地もわからなくなる。

 コロロは鞍にしっかり捕まっているようだ。


 キレイな飛行で比較的空の守りが薄い地域へと飛ぶ。

 螺旋軍ほとんどは1方向にしかいないからね。

 邪気の払われたアンデッドたちに向かってドラーグが大胆な着陸!


 あえて勢いを殺さない滑り込み着地によりゾンビやスケルトンたちが質量によって蹴散らされていく。

 止まってから向き直ると立ち上がる者も。

 鎌を持ったスケルトンや顔に札が貼られたゾンビだ。


 アンデッドの中でもああいう高度なものはそう簡単には倒れてくれない。


「……最初の1発。チャージ」

「ようし!」


 ドラーグが四肢で踏ん張り大きく息を吸い込む。

 周りのアンデッドや生き残ったものも物怖じなどせず突っ込んでくる。

 いくら邪気がとれても戦闘能力そのものはそう衰えていない。


「……引き付けて。回転準備」

「はあぁーー……!!」


 スケルトンたちが武器をかかげ……

 ゾンビたちが牙を剥く。

 足元に迫るその時に。


「今!」

「たあぁーーーっ!!」


 ドラーグの口が大きく開かれエネルギーの波動が直線状に放たれる!

 ドラゴンブレスだ!

 遠方までアンデッドたちが一瞬で光に包まれていく。


 さらにドラーグは足にためていた力を解き放って首を傾けつつぐるりと回りだした!

 周辺のアンデッドたちがしなるような軌跡の光線に次々焼かれ吹き飛ばされ飲み込まれていく。


 黒いからだからほとばしる銀白のいぶきは一瞬にして戦地を焼き払った。

 ある程度固まっていたアンデッドたちは無残な消し炭と化す。

 いまので数百以上は確定で倒せただろう。


「はあ、はあ……」

「まだ。パパ、仕上げ」

「う、うん! えーと、借りて……よし」


 ドラーグはぐったりとはしつつも急いで魔法を唱える。

 私から借りた(くう)魔法"ゲートポータル"だ。

 もう片側が通じているのは……


「開いた! いけ! のりこめ!」


 ジャグナーの声が響いてアノニマルースから戦闘メンバーが突撃してきた!

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