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八百九十四生目 百個

 ドラーグと遊撃隊は無事仕事を果たした。

 なんらかの追撃が予想されるためさっさと撤退するらしい。

 雲の上へと避難した。


『お疲れさまです! このまま帰りますね』

『うん、わかった、お疲れ様!』


 "以心伝心"解除と。

 帰還中に何かあったらすぐに連絡が来る。

 追跡を考えてダミーの帰還位置もあるそうだし……


 私が心配することではないだろう。

 あの見た映像はきちんと記憶した。

 "以心伝心"でジャグナーや必要になった相手に共有しよう。






 暇だ……

 ひと通りの奪還軍で亡くなったニンゲンたちに来世への祈りも終えたし。

 そもそも蒼竜教だろうから蒼竜に任せようって気分に今更なったが。


 ただひたすら休むというのは困る。

 "四無効"の力で意識をなくして眠れるが……

 そればっかりで時をすごしてもなあという気持ちが。


 それに裏で事情は次々進んでいる。

 最新の情報は常に耳に入るようにこっそりと"以心伝心"の念話を使って仕入れていた。

 いつでもそのときが来たら動けるように。


 暇だと私の過去について思考が及ぶ。

 前世……記憶は無く知識はあるだけの不思議なもの。

 深く考えるほど不安になるから……できうる限り便利に使ってあんまり考えないようにしたもの。


 世界が違い身体も違ってもう追えないだろう前世。

 何があっても私は私だと信じるしか無い。

 だけれども……


 立ち止まるとその過去(くうはく)に追いつかれる気がして。

 新しいものをどんどん取り入れられる冒険が……きっと思っているよりも好きなんだ。

 空白に詰め込めるから。


 私の影と対峙してから最近そう自己の振り返りができるようになった。

 ……そろそろ私の記憶の何か手がかりを得られたら。

 そう長い休みになるとその考えにとらわれる。


 そして長い眠りにつくと今度は例の悪夢を見る。

 私の今世や……そしてもしかしたら前世に関わるもの。

 草木一つ生えていない溶岩が溢れかえり岩地だらけで映像以上に心のなかで『全て死んだ』と理解させられる夢。


 私だけがそこに立つ。

 強烈なイメージだがまだ実態は見えない。

 予知夢だろうと誰かからの攻撃だろうと今思えるのはただひとつ。


 あの未来は私が避けなければ。







 翌日。

 御祓い炎石は量産体制に入りまず100ほど出来上がる。

 それを元に多くの魔物やスケルトンたちに優先的に御祓い炎石を作ることに。


 効果はすでに証明されたからね。

 肝心の死霊術師としての力によって御祓い炎石に力を創り出す時は特定の魔物やユウレンがいるが他は大丈夫。

 冒険者たちも日雇いのバイトとして参加したりも。


 100個のうちいくらかは身につけて使用するための軍事訓練に用いられる。

 使用方法から1度使ってからのリチャージ時間それに効果範囲。

 効率よく使わないと何個作っても間に合わない。


 また使用後の効果は永続ではないらしい。

 作り手の資質に左右されるためここでは半日とされた。

 ユウレン品なら数日持つらしい。


 つまりは攻められる範囲で先行してアンデッドたちの邪気を無力化。

 そのあとアノニマルース軍で叩くというのが作戦だ。

 だが懸念点はある。


 まず敵エース級の存在。

 アカネあたりが来られたら対処できるのは私ぐらいだ。

 そして御祓い炎石への対抗策。


 敵にはこの状況を作り出した相手……ウロスさんの弟子がいる。

 同じくウロスさんのものは常に効くわけではないだろうという考えだ。

 特効的だからこそ根を理解していれば対策される。


 だからユウレンが何やらしているらしいが……

 そこはまだ形になっていないらしい。


 そうしてたまに偵察を行いつつもさらに翌日。





「よーし! やっていくぞおまえら!」

「「おー!!」」


 ジャグナーが声を上げると軍隊が動き出す。

 だいたいは鳥魔物が御祓い炎石を持っている。

 現場で使うためだ。


 各部隊も予備で装備済み。

 例のごとく鎧装着者瀕死時強制帰還をオンにするためには戦術塔が動いて私のエネルギーをためて龍脈のエネルギーを受けておく必要がある。

 ワープ地点はアノニマルースなのでアノニマルースの戦術塔で問題ない。 

 

 つまりは……私は塔の上で寝ている。

 やることそのものはないためジャグナーの視界や聴覚を借りたりしているわけだ。

 だが……そろそろ借りる相手も変えようかな。


 "以心伝心"相手を変更。

 そこの景色はやたらと高い位置にあった。

 ニンゲンのオウカが腕を組んでいるのがはるか下に見える。


 飛んではいない。これで直立しているだけ。

 このやたら高い見下ろし景色は……ドラーグ100%モードだ。


「まったく、話を聞くだけでムカムカくる!」

「え、ええと落ち着いてください」

『あれ? オウカどうしたの?』


 それはともかくとしてなぜかオウカはご立腹のようだ。


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