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八百九十一生目 炎石

 念話で私やユウレンにジャグナーで邪霊対策会議。

 そこに新たに呼び出されたのはカムラさん。

 ユウレンの執事であり……実はアンデッド。


 いわゆるゴーレム型で邪霊型とは対局に位置する。

 しかも高度な自律行動が可能で普通のニンゲンよりかしこいくらいである。


『どうもカムラさん』『うっす!』

『挨拶は良いの、コレよ!』

『コレは、例の……』


 ユウレンが再びきらめく炎が閉じ込められた石をイメージで見せる。

 カムラさんの念話一気に重みが増した。


『これを使う日が来たということですか』

『しかも大量にね。軍勢よ』

『……地獄ですな……わかりました。すぐに手配します』

「詳しいことは後で伝える。さあ、作るわよ! 必要な人員は――」


 言葉少なくともカムラさんにはしっかり伝わったらしい。

 私は当然のように作成担当から外れさせられる。

 作り方や使い方をユウレンの念話で聞きつつ……休息。


 ジャグナーは早速人員確保と軍員への通達など走り回る。

 カムラさんは作成準備をする。

 ユウレンは集まった魔物や素材を見極めさらに作り方を教授していく。


 要求能力はもちろん死霊術師への適性だ。

 べつに鍛えられていなくていい。

 鍛えてできるのなら私が横になりながらやる。


 それよりもカンどころが掴めてないとダメらしい。

 幸い材料の石であるハイクリスタルは共有倉庫に貯蓄があったし……

 魔物材料である霊体のかけらやつくるのが難しい霊媒術用絵具粉も魔物ホンニンたちの協力を仰げそう。


 私はひたすら休む。

 ちゃんとその時まで。

 現場はどうなっているのか……迂闊に見に行くことすらできない。


 あの時螺旋軍だけは動揺していないように見えた。

 強い信心……ではないだろう。

 螺旋軍の業務としてアンデッドの駆除がある。


 自然発生型も凶悪になれば見るものを呪う。

 ウロスさんの活動地域から遠い場所ならばまだ悪の死霊術師たちも潜んでいるはず。

 螺旋軍はそういう者たちを相手取る面もあるそうだ。


 いくつも考慮された最悪の想定のひとつとして準備していてもおかしくない。

 ……そこで帝都奪還軍との連携が浅いのはなんとも言い難いが。

 まあ向こうの事情もあるだろう。


 とにかく少しでも早く救援に向かわねば。

 どちらにせよ螺旋軍では帝都奪還軍の大軍を救うには少ない。

 気持ちだけ焦る中みんなは着々と準備を進め……






 翌日。


 ドラーグ10%の姿により2mほどのドラゴンとなったその姿の視界や聴覚を"以心伝心"で共有。

 そこでは比較的大型な鳥類で固められた遊撃部隊10名がいた。

 各々の足にアクセサリーがとりつけられる他全身を軽い防具で身を固めている。


 もちろん飾り石に見えるのは昨日のウロス式邪霊御祓い炎石……略して御祓い石だ。

 ユウレンが披露した面持ちでその御祓い石たちを手渡していた。


「いい? さすがに昨日だけではこれを10個作るのが限界だった。学んだ後だから速度は上げられるけれど、今日はコレでしのいで。替えはないから、1度使ったら再チャージされるまで下がりなさいよ。時間結構かかるから」

「「了解!」」


 ドラーグが視線を移し手を自身に向ければそこにもひとつ。

 ドラーグも10%モードで遊撃隊からは少し離れ全体の様子を見てもらうつもりだ。

 100%モードはとても目立つからね……


 それに今ドラーグの90%分はコロロと共に特訓中だ。

 ドラーグが本格的な守る力を手に入れるまで分かれた10%分を通して偵察だ。


『それじゃあ行きますね〜!』

『よろしく!』


 正面に大きな時空の穴が開く。

 (くう)魔法"ゲートポータル"だ。 反対側の空間からは待機組の1体が顔を覗かせている。


「行くぞ!」

「「オー!」」


 次々と遊撃隊がゲート向こうへとはねて行く。

 最後にドラーグも軽く駆けて抜けた。

 空間の向こうは帝都近くにある岩場付近。


 平原と言えど離れれば離れるほど地形が多少変わるためその端のニンゲンが通らない隠れた岩場だ。

 ここに常に"ゲートポータル"の片方が置かれている。

 私から借りている魔法とはいえ判定は各々の魔物にあるからね。

 そしてうまく確保された直線の道。


 現場の待機魔物が周囲確認を終え4本の腕をクルクル回して誘導。

 次々と遊撃隊たちが駆け出してそのまま強く羽ばたいていく。

 ドラーグもその最後に続いていく。


『速度上げて行きます! 飛ぶので気をつけてください!』

『大丈夫!』


 私自身は回復につとめて我が家で横になっているしね。

 ドラーグが4足に切り替えて重い肉体で駆けていく。

 そのまま重さが速さへと変換されてゆき……


 ドラーグが力強く地面を蹴った!

 同時に翼を大きく羽ばたかせる。

 ぐいっと視界が天に浮かぶのと同時にぐんぐん加速されていく。


 これがドラゴンの空を飛ぶ世界……!

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