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八百八十六生目 完成

 グルシムの分身がやってきた。


「やりにきた、灰そして砂への変換をな」

「あ、ありがとう! 直接来てくれるだなんて、これ以上心強いことはないよ!」


 おそらくは自身の身体が同じ空間に出たことをなんらかの手段で感知して飛んで来たのだろう。

 タイミングがよすぎるし。


「……なんなんだ、アイツは……」

「え? ……あー。優しくしてあげて、あんまり他者に慣れてないの」

「あばばばばがががが」


 ナブシウは隅に隠れて震えていた。ちょっと見えている。

 ナブシウは少し慣れたと思ってもまだ他神に対してもこの様子である。

 そうすぐに大きくは変わらないかぁ。


「まあいい。それよりも、貴様だ」

「え? 私?」

「渡すぞ。新たに生まれた力……その欠片を」


 え……?

 いきなり何かと思ったらグルシムが見上げる。

 まばゆい光が放たれると空中に見慣れたそれが現れた。


「神格のかけら!? ど、どうして!?」

「新たに出来た」

「あー、いやそうじゃなくて、どうしてこれを、私に渡そうと?」

「……? ああ。小遣いだ」


 す……凄まじい理由だ!?

 いやそもそも小遣いということは……

 それだけ認めてもらえたってこと……なのかな?


 グルシムがそれ以上語る気配がないため深くはわからないが……なんだか悪い気はしない。


「……そうだ。――と言え。今度合図したらな」

「えっ!? それを言うの? どうして……」

「ククク……秘密だ、まだな」


 グルシム……まだ何か企んでいるのか。

 いや企んでいるんじゃないな。

 おそらくこれグルシムなりの会話の楽しみ方だな。


 あまりに会話の方法が歪んでいるだけで。

 それにナブシウと違ってアウェイでの他者にまるで物怖じしていない。

 話すことや誰かと関わること自体は好きなのかな。そこは鳥の王時代と変わりがないということか。


 神格のかけらに念じてまた私の中へと吸い込まれていく。

 (エフェクト)が水面に落ちたかのような波立てて私の中へとかけらが消える。


 相変わらずなんだかあたたかいような悪い気はしないものだ。

 ……うん?

 私の中でかけらたちが合わさっていく!?


「おお!? なんだろう、へんな石が吸い込まれたと思ったら!?」

「光ってンぞ!?」

「えっ!?」

「眩しいっ」


 もしかして私か! 私が光っているのか!

 さらに光は強まり私の中で神格のかけらが4つとも融合していくのがなんとなくわかる。

 完全合致した時に光があたりを包むほどに広がって……!


「「わあああー!?」」

「……ああ、あれ?」


 そして光が収束。

 とくになにもおこらなかった。

 一体……?


 神格のかけらたちが4つ合わさり私が強く光ったかと思ったら何も起こらなかった。


「えっと、グルシム、これ一体……?」

「ふむ……なんなんだろうな?」

「ナブシウ……」

「我が神お助けください……!!」


 ダメだまるでわかるやつがいない!

 ……あ。それはそれとして新しいスキルだ。


[飛行の極意 自身が飛行可能な肉体を持っている場合に部位がどのような状態であれ高く飛べる。また飛行にかかる疲労や行動力消費などが強く節制される]

[影分身回避・空 飛行中に攻撃を食らったさいに自動的に自身の影を残して避ける。1度使うと次に使えるまでの時間を要する]


 前者はどうやら飛んでいても疲れないしなんなら私の羽根が壊されても飛べるらしい。

 単純に便利だ。

 後者はあのグルシムにひたすら避けられたスキルを私にも若干使えるようにしたもののようだ。


 かなりグレードは下がるだろうが不意打ちを避けられるのは大きい。

 飛んでいないとダメだけれど。


 ふう。とりあえずやることはやったな。

 ……あっあれ? ひと安心したら身体が……

 なんだか……視界が……


「……ズ!? ……」

「倒……」

「……運……」

「…………」






 おはようございます私です。

 いつものベッド。

 つまりは私の部屋……


 あれ!? 待った!? なんでここにいる!?

 確か昨日は……ああ!

 なんか倒れてしまったんだ!


 身体の調子が良いとは言えない。

 特に頭がひどく痛む……が。

 それよりも少し外のチェックをしてこないと……


「覚めたか」

「うわっ!?」


 部屋の向こうからいきなりグルシムが顔を見せた。

 油断していたのですごくびっくりした……


「ええと、私はなんでここに……?」

「運んだ。俺ではないが」

「ああ……後でお礼言わないとなあ」


 あの中で運べるのはニンゲンの鍛冶師カンタか魔物鍛冶師サイクロプスリーダーだろう。

 後者だといいな……


「病院へな、初めは」

「うん」

「それで…………」

「……うん?」


 あ……あれは説明が難しいって顔だな。

 不機嫌そうなあの顔はだいたいそうだ。

 だが私達にはさらなる救世主が近づく音がした。


「ここからは私が説明しよう! とう!」


 この跳んだ白いシルエットは!

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