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八百七十七生目 障害

 グルシムがひとつ近づく。

 これを繰り返していけば接近できるはず!


「危険だ。この先お前では傷つくぞ? 」

「何を今さら、グルシムが鳥の王から力を奪ったら、私ではグルシムを抑えきれなくなる……そしたら、鳥の王復活どころか、コロロの所在すらも、キミから聞けなくなる。だから、ここで私がよみがえりのぎしきを先に終えて、鳥の王を目覚めさせる!」

「……?」


 さあ次のコーナーだ!


 グルシムと黄泉での高速飛行。

 グルシムも速度を上げてコーナーを突っ切っていく!

 私は小柄なのを生かしてよりインベタを踏む。


 レースのようになっているが……先着してグルシムの思惑を止めなければ。

 グルシムは鳥の王復活時に全て力を奪うつもりだろう。

 先に回り込みグルシムの肉体を鳥の王から引き剥がさなければ!


「う……くっ!」

[]

 道ギリギリを攻めてから再加速。

 一気に速度を上げる。

 だが思ったよりグルシムは遠い。


 距離としては目の前。

 しかし直線のたびに離されていく。

 グルシムが入るコーナーに私はたった数秒遅れで飛び込む。


 それが果てしなく……遠い!


「来るぞ」

「……えっ!?」


 グルシムのなんらかの警告。

 何かと気配を探ってゾクリとする。

 その正体は私の足に何かが触ることですぐに理解した。


 それはこの世ならざる存在。

 白い腕は肉をまとわず。

 むしろ骨しかないものが私の足を掴んで離さなかった。


「ヒッ」

「わらわらと、来たな」


 骸骨……!

 まさにスケルトン!

 白骨がどんどんと地面やら崖やら湧いて出てきている!?


 しかも意外に力が強い!

 地上のスケルトンと言えば剣は通りにくいけど別に個体だとそんなに強くないのに!

 強く回転してぶら下がっていたスケルトンを落とす。


「うう……! 今大変なのに!」

「生者を死へと引き込もうとしている。黄泉の犬、か。さしずめ……」

「犬って……犬っぽいグルシムが例えで言うの?」


 ちなみにスケルトンたちはその姿形は様々。

 元の生物をかたどっているのだろう。

 正面や壁の上からどんどん降ってきて邪魔!


 避ければよけるほど減速だし似たように降りかかられているグルシムは……

 分身と合体を繰り返している。

 ずるい!


「犬? 俺は腐った楔……王。俺は犬ではない!」

「いや、それは背の鳥の王じゃないか!

キミは王様ではない、被り物をしているだけだ!」


 うわゴースト!?

 地面から幽霊たちが立ち上り柱のようになっている。

 そのまま揺らめいて私達へと襲いかかる!


 "怨魂喰い"! 霊たちにまばゆい光を放つ(エフェクト)の牙を向けて回転しながら食い破る!

 接近したら危険なのがわかったのか必死に避けてくれた。

 出来たスキマを突き抜けていく!


「背の王……? 被り物……」

「くう、相手が多い!」


 スケルトンたちが雪崩を起こして巻き込もうとしてくる!

 それを"時眼"で自身を加速して切り抜けて"時眼"を切る。

 そのまま左カーブに入ってインベタを……


「うわっ!?」


 噴火!?

 上から落石!

 "止眼"で体感時間だけを引き伸ばして止める!


 ここから切り抜けるルートを構築。

 最適化して出来得る限り高速で抜ける。


(こういうのは"私"が得意だ!)


 "止眼"解除!

 戻る体感時間と共にドライが細かなところまで身体のコントロール。

 非常にキレの良い動きで落石の下や横をスレスレで撫でていく。


 粉砕する岩や飛び散って毛皮をえぐってくる砂たちはあえて身に受けて。

 速度最重視で突き進む!

 目にかかる噴煙も"見透す眼"で目を閉じながら突っ込む。


 ゴロゴロ転がる岩にスケルトンたちが巻き込まれ噴き出す水蒸気にゴーストたちが散らされる。

 彼らすらもまともにここにいられない……これが黄泉か……?


 そこをグルシムは分裂したり合体したりを繰り返してまさにノンストップ。

 障害なんてあってもなくても同じということか!


「勘違い……していないか? ……何か貴……様、俺が王……だ。チッ、まともに話すの……も困難だな」


 ああ……影状態になると話せないのか。

 ただグルシムもやたらと王にこだわるな。

 そのまま高速でS字カーブを出来る限り曲がらずに進んでいく。


「うぐッ……! グルシム、キミは鳥の王ではない! それをかぶったところで、キミは鳥の王にはなれないよ!」

「知っている。それは……まあいい。ここま……で来たのだ。見るが良い……俺の姿を」


 今度は大きく縦に波うっている!

 下はマグマだまりだからギリギリ飛ばなきゃ。

 この空間不思議なことに異様に熱が他に移りにくくマグマの近くでも私の耐性率なら平気。


 通り過ぎて……ってアレ?

 グルシムは先に坂を登って頂上にたどり着きそうだが……

 その翼が片側光に包まれて。


 輝かしい大きな鳥の翼が現れた!?

 鳥の王のものだ!

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