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八百七十四生目 乗取

 ホルヴィロスに神について教わっている。

 信仰がざっくり別のものと置き換わり信仰されているはずなのに自分ではない何かを信じられている。

 そんな状況に陥った場合。


『さっきから何その物騒な羅列!? えー、どうなんだろうそんなこと。わざわざ考えたこともなかったなあ……まあ、神自身がピンピンしているのなら、何があっても大丈夫だろうけれど、弱っているところにそういうこと叩き込まれたら、ちょっとどうなるかは想像つかないけれど、良いことは起こらないんじゃないかな……』

『たとえば……神を乗っ取られたり?』


 ホルヴィロスが声にならない動揺した念話が伝わった。

 わからないけれど可能性はあるかもしれないということか。


『わ、わかんないけれど……でも仮定だとしても、こ、こんな話、むしろ他の神にしちゃだめだよ。さすがに怒られるよ! 私になら良いけれど!!』

『いや……うん。忠告ありがとう。じゃあ、また何かあったら聞くね』

『何でも聞いてねー!!』


 ホルヴィロスとの念話を切る。

 これは答えじゃなく仮定でしか無いけれど。

 まさか鳥の王が何か得体のしれないものに乗っ取られている……!?


「ふう……」

「あ、終わったのかい? なんだか深刻そうだったけれど!」

「うん。もしかしてのことだけれど……鳥の王は、グルシムに乗っ取られたのかもしれない」

「「ええっ!?」」


 仮説が多すぎる。

 が。否定する根拠もない。


「しかも、グルシムの力は鳥の王を半ば取り込み、さらにペリュトンさんたちの信仰を取り込んでいるのかもしれない。ペリュトンさんたちの大多数は、この底にいる存在が自分たちの神だと思っているから……」

「そんなこと、できるのか!?」

「グルシム自身は迷宮の破壊者の成れの果てか、はたまた別の集合体なのか。あっているかどうかはわからないけれど、仮説として私は打ち出すよ」

「なんというか、神様ってやつは思ったより難儀そうだね。それらが本当だとしたら極限まで弱って骨になっても迷宮を維持し、それを別の存在に使われて、さらにまったく違う信仰で祀り上げられる。こっちもやっといてなんだけれど、ちょっと同情しそう……」


 崖の下に落ちるものを等しく死として処理し……

 逆にまだ生きていたり大丈夫なものをどこかに排除したがるのもペリュトンたちの神の模倣みたいになっているからかな。

 コロロはどこへ排除されてしまったんだ……?


 私が最初突入した時に上下ループしたのは先にコロロが落ちて無事だったから余計な追加を入れたくなくて私の処理をワープでこなしたのかな。

 コロロもそのあとどこかへワープさせた……のかもしれない。

 まだ起きてないから呼びかけられないぶんうっかりペリトンやハーピーに見つからないかが不安だ。


「多分コロロはどこかにどかされたのでしょう。死んでないから、邪魔だったと」

「へー、それなら起きるまで待てば良いんだね!」


 だがここまでの話の大半があっているとして。

 つまり鳥の王は生きているのに利用されるしかない体なのなら。

 突破方法はある!


「私、『よみがえりのぎしき』をしたいと思います」

「えっ!? でも、最悪このまま待っていれば、良いんじゃあ!?」

「まず、自然に起きるかどうかの不安があります。彼女はそこまで身体が強くないですし、何より白いモヤの眠りは、どこまで強力かが……そして、何より外敵リスクもありますから。それで急ぎたいってのもありますし、鳥の王、復活させられるのならば、したいんです」

「ローズ……」


 実利的な面でおそらく求めている砂は鳥の王の灰砂だ。

 鳥の王がいなければ手に入らない可能性が高い。

 そして助けられる命があるならば助けたいというのは……個人的なわがままだ。


「ソレは良いが、その『よみがえりのぎしき』って何をしたらいいんだ? 自分も何かできることは?」

「ぼくもぼくも! 神様に興味あるしね!」

「それは――」


 ここからが本番。

 やるぞ私!


(えいえい)(オー!)






 準備中。

 アヅキから"以心伝心"……?

 まさかコロロが見つかったか!?


『主、途中報告です。コロロは見つからなかったのですが……意外なヤツをみつけました』

『それって……えっ!?』


 アヅキから"以心伝心"の力で送られてきたイメージ。

 ネズミのチュウチューじゃないか!

 集団で何故か落下し崖の下で潰されたのを確かに見かけたけれど……


『こいつは、あの時の個体です。話が聞けそうなので、感覚をリンクしますか?』

『うん、する』


 アヅキの視界と聴覚を私に受信。

 目の前に開けた景色は浮岩のひとつの上。

 チュウチューが1匹震えていた。


『……あ、アヅキ?』

『いえ、脅してはないですよ?』


 目つきだろうな……間違いなく。


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