八百六十二生目 夜空
私は下に落ちるように飛んだと思ったら上から来た。わけがわからない。
ただ少しおもったことが有る。
この滝の水の出処だ。
私はこの水たちと落ちて……
そのまま上からきた。
まさか……
「……上下ループしている!? だとしたらコロロは!?」
「え、上と下がつながってるというのか!? だが他の落下したものは……」
「……選別だ……聞いたことが……ある。我らの神は……底で……落ちるものと……そうでないものを選ぶと……」
「ええ!? じゃあ、コロロは……!?」
おかしい。
あっちこっち探ってウロウロと見まわって。
さらに光神術"インファレッド"なども駆使しているのに。
コロロがループしていない?
下……下……いた……!
あのモヤの向こう!
おそらくは……地面に!
「いた! 地面だ! 着地そのものは魔法をかけていたから平気だろうけれど……!」
「このままじゃあ、崖に潰されたりするんじゃないか!?」
「そんな、コロロ!」
「召喚! ……だめだ、本人が完全に眠っている!」
あのモヤの力か……!
「ところで、そのペリトンは……?」
「なんだか、ボーゼンジシツしちゃってまして」
「……すまない、こんなつもりはなかったんだ……ニンゲンを見ると、自分が抑えられなく……」
「お、俺に対しては平気なのか!?」
「今は……自分でもこんなの初めてで、どうしたら良いのか……!」
少し場所を移動し崖の隙間で話す。
ドラーグ入りきれてないけれど。
ペリトンが悲しそうになきだしてしまった。
こちらもどうしたらいいのかさっぱりわからない……
「だったら! 教えてください、この下に行く方法! 今すぐ!」
「えっ!? う、うーん……」
だがドラーグはキッと目力を強めペリトンに詰め寄る。
あのドラーグに迫力が……!
「どうなんです!?」
「あ、えと……そ、その、確かめたことのない情報なら!」
「それでもいい!」
「こ、この先、遺跡に書いてあった鳥の王の巣にあるしんがいと呼ばれるところなら、我らが神の住まう冥界に行ける、そういう言い伝えが!」
め……冥界か……
この下のことを指すのかはたまた別の迷宮への道のりだったりするのか。
「すぐに行きましょう!」
「まて! ……この滝を抜けた先は、私たちですら未踏の地なんだ。行けばわかるが……休む場所なんてない。滝を抜けた直後くらいだ。だから誰もあのずっと先には行けない。もし行くとしても……」
「ああ、準備は怠らないさ! そうだろ、ドラーグ!」
「う、うん!」
ダンのナイスフォローでドラーグが少し落ち着く。
ペリトンの言うことが本当なら今滝で体力を削られた状態で飛び続けるのは危険すぎる……
急ぎたい気持ちと実際の体力差に関してはちゃんと把握しないと。
なにせ例えついても……
鳥の王もしくは……
ペリュトン族の死の王がいるかもしれないのだから。
「わたしは……ええと……」
「いや、ペリトンさんはついてこないほうが良いよ。ニンゲンへのスイッチがまた入るかもしれないから」
「ああ、俺達がやるぜ! 狩るか狩られるかっつーのは、こういうところでは普通だ。自衛しきれなかった俺達も悪い!」
「……色々と言いたいことはあります。けれど、今はついてきてくれないほうが、ありがたいです」
「……わかった、気をつけて」
ペリトンは気まずそうに飛んでいく。
それを見届けて私達も滝へと再度突っ込んだ。
やることが決まったのならばそれを最優先だ!
しばらく進めばやっと滝の向こう側が見える。
道があっているか不安だったがどうやら良かったらしい。
久々の外へと突っ切る!
「……出た!」
「外だ!」
「気持ちは焦ったけど……正直大変で、疲れました……」
ここから先は滝がない。
かわりに広がる光景は相当な異質だった。
少しの普通の崖を挟んでその先。
崖たちが謎のぬめった光でおおわれている……
それが上下変わらずどこまでもぬめりが続いていて……不気味だ。
「……休みましょう。今は一刻も早く」
「うん」
「ああ」
夜。
さすがにもうこの位置だと今現在のコロロの安否はわからない。
ただ地震はなかった気がするからまだ潰されていないはず。
みな疲れは取れて腹も満たした。
夜空へと飛び立つ。
「そうだ、ダンさん、僕に乗ってください。その方が時間短縮できるはずです」
「お、悪いな! 無理はするなよ!」
「無理は……しますよ、クワァコロロがピンチなんですから」
「そうか、まあだったら、俺が手をかせば良いだけだな、よっと」
ダンがドラーグの上に乗る。
ダンの言葉にドラーグが嬉しそうな顔を見せた。
「……ありがとうございます。しっかり掴まっていてください!」
「おう!」
ドラーグを先頭に加速!




