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八百六十一生目 上下

「はあ……はあ……」

「うぼぼぼぼ……!」

「……」

「うんうん! 大丈夫だからね!」


 滝を必死に進み続けてもう何分だろう?

 コロロの話す声はか細すぎてさすがに聞こえないや。


 とにかく自身の負荷を少しでも軽減しつつ動かないと。

 ここは滝と言ってもその水量はちょっとやそっとじゃない。

 さっきのトアビゴのように魚が泳ぎ回れる程度には濃い。


 そして広く崖を覆いほとんどの場所で休息ポイントはない。

 水の加護をウロコから得ているからかなり楽になっているほうだが……

 単純に体力がないと落ちるな……!


 今の所速度を維持して泳ぎ続けている。

 空気は下を向けば十分確保可能。

 まずくなったら魔法も使おう。


「……」「うわっ!?」

「えっ?」「なんだ?」


 声が聞こえたかと思うとドラーグの動きが唐突に変わった?

 何かとさぐると……

 向こうから影が!


「ニンゲンだー!!」

「ぺっ……」

「ペリトン!?」


 嘘だろう!?

 どこからかペリトンが1体突っ込んできた!?

 どこかに行っているとは聞いていたが……


「ちきしょう、どこ行った!?」

「あ!」


 ダンの側の水中から影!

 私が慌ててダンに向かって飛び込む!


「ダン危ない!」

「何!? うおっ!」

「ニンゲンー!! くっ、影が重なった!?」


 私とペリトンが到着したのはほぼ同じ。

 私がそのままダンに体当りしてズラすとペリトンは諦めるようにまた水の中へと消える。

 ダンは……無事だ!


「ペリトン、あんなところに! アイツこういうところでも自由に動けるのか!」

「というかこっちが慣れてなさすぎる!」

「影が重なって……そうか!」

『ドラーグ、ローズ! 身体を密着させれば相手は影が狩れないらしい! 1つの影だけなんだ、狩れるのは!』

『な、なんだって!? コロロに伝えます!』


 コロロだけはこの中で唯一ドラーグにしか心をひらいていない。

 私達が直接"以心伝心"で念話するのは困難なのだ。

 それにしても偶然だが……ダンはかなりの発見だ!


 ドラーグが初動でうっかり離れるハメになったのはチェックミスだった。

 今は分断されることが恐ろしく危険。 どこにいる!?


「あ、いたいた! ローズ様! ダンさん!」

「おう! はやく近くへ!」

「コロロは?」

「無事です! 今抱えて――」


 ――気づくのが遅れた!

 ドラーグの背後に!


「後ろ!」

「えっ!? わあっ!?」

「うおおおっ!! ニンゲンー!!」


 ドラーグが背中を蹴り飛ばされた!

 いけない! 明らかにドラーグがコロロの指示がないせいで動きが悪い。

 いくら訓練で受け身を勝手にとれたりしたとしてもどうしても指示役がいないと色々と遅れる!


「ドラーグ! うっ! ケホッ!」


 叫んだせいで水が気管支に!

 それよりも!

 ドラーグが体制を崩した時に勝手に受け身をとれたせいで(・・・)抱いていたコロロが落ちている!


「そこだああ!」

「させねえ!」

「クワァコロロ!」

「止めて!」


 "同調化"!

 ドラーグにダンを投げてダンは空気を固めだす。

 ドラーグはダンを受け止めつつコロロにペリトンが近づかないように迎撃体制!

 私は"時眼"を使って高速化し追いかける!


 もしもに備えて光魔法"フォールイース"をコロロに!

 落下に滝の力が加わりかなり速くコロロが落ちている。

 コロロ自体は放心といった様子で何もできない。


「クワァコロロー!!」

「届けー!!」

「……!」


 かなり出遅れたがきっと間に合う!

 このまま下へ行き……

 例の白い層にコロロが吸い込まれる……が地面はまだ下のハズ!


 なにせしばらくは水の落下音が聞こえない。


 私もそこに突っ込む!

 コロロにはこのまままっすぐ行けば間に合うはずだ!

 この白いモヤの層は眠るそうだが私には関係ない。


 "四無効"で眠りは無効だ!

 例え別のもの……神かなにかの呪いの類でも私はそれを"自己無敵"の精神暗転で吸収し強化とする。

 さあこのまま落ち







         続ければ! 絶対に間に合う!


「やああああ!! 届けー!!」


 このモヤを……抜けた!

 コロロはどこだ!

 すぐ下のはず!


 このまま降りて降り続け……

 まだ底はみえないから間に合う。

 影! そこか!?


「コロロー!!」

「……えっ!? ローズ!?」「ローズ様!?」

「――はい!?」


 急ブレーキ!

 な……なんでだ。

 なんで下にドラーグたちがいる……?


「なんでローズが上から……」

「ニンゲン……落ちて……うう……」

「えっ、私はまっすぐ下に……」

「どういうこと……ですか……? クワァコロロは?」


 わけがわからない不思議な現象。


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