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八百六十生目 交換

 永遠の滝壺の近く。

 その前で私達はひたすら待つ。

 滝の中に長い枝を突っ込んで。


「いやー、すぐ来るときは来るんだけれどねえ」

「まさか乗り越える方法が……」

「釣りだとは思わなかったぜ!?」


 ドラーグやダンの言う通り。

 岩を削り出した竿で芯にはペリュトンたちの羽根の芯を丁寧につなぎ合わせたものを使っている。

 そして先端に特定の植物の葉をよくすりつぶして付着させ縛る。

 においのついたこれを滝に差し込むという糸すらないダイタンなもの。


 そして固定し待つだけで……とあるこの滝つぼにすむ魚を待つらしいが……

 まだ来ない。

 15分たっているからまあ釣りとしては早いという話かもしれないが。


 さらに5分経過。


「うーん、こないですねえ」

「……うん? ドラーグ、ひいてるひいてる!」

「えっ!?」


 ペリュトンが指摘したとおりドラーグの竿先が左右に揺れていた。

 滝の中に何かがいる!


「お、おおお、おお!?」

「落ち着いて! 竿をしっかり持ち、そう、ぐっとこらえて!」


 ドラーグにペリュトンが急いで指示を出す。

 ドラーグが慌てて準備してしっかり構え……


「今!」

「やああっ!」


 ドラーグが力いっぱい引くと滝から何かが飛び出した!

 それは滝から出ても落下せずそのヒレのような薄膜を広げて空を飛ぶ。

 その姿はトビウオに違いが……トビウオは長いジャンプ滑空なのにこの魔物は浮かんでいる!

 "観察"!


[トアビゴ ヒレの一部が薄い膜になっていて滞空ができる。空を泳ぐことも激しい水流をゆうゆうと泳ぐこともできるが、息が出来るのは水の中だけ。水の加護を持つ]


「「釣れたぁー!」」

「なんだなんだ、大勢で。まあ良いか、いつも通りだ、会話はできんだろうし」

「あ、私言葉わかりますよ」

「なんと!?」


 トアビゴは驚いて私に接近する。

 翻訳可能なのは今は私だけのはずだ。


「……まあ驚いた! だが結局はあのやり方、いつものものが欲しいのだろう? そっちのものはあるか?」

「ええ、トアビゴさん。ウロコと交換してください」

「彼と話しているの?」

「うん、ペリュトンさん。驚いたっていうのと、いつものだよねって言っている」

「そうそう、交換交換!」


 ペリュトンが前に出したのはトアビゴの食べ物となる植物たち。

 それを飛んで行ってトアビゴは近くでよく数える。


「ひーふーみーよー……うん、トレード数あるな。ほら、こっちもためておいたものだ!」

「ありがとうございます!」

「ありがとねー!」


 トアビゴは古いウロコを私達に差し出した。

 それぞれ1枚ずつだ。

 これに水の加護の力がある。


「あ、ありがとうございます!」

「おや? 寝てるね」

「ええ、この子の分も一緒にもらいます!」


 ドラーグが2枚受け取ってコロロの服にしまい込んだ。

 これで効果はある。


「よし、これで少しは加減されるな!」

「また何かあったらよろしく〜!」

「ん? 言葉がわかるように……? そのリングから聞こえてくるな。そういうものなのか?」

「ええ、そうです」


 受信機も翻訳を開始したようだ。

 これで互いに会話が通じる。

 もうお別れだけど。


「じゃあ、また仲間ともどもよろしくな」

「「さようならー」」


 トアビゴが水の中に飛び込み消えた。

 ここまでずっといきつぎなしだったから息が長いなあ……


「よし、これで滝の影響が弱るよ! やったね!」

「なにからなにまでありがとうございました! いつかまた!」

「ううん、こっちも楽しかった! みんなまたねー! ペリトンの姿見えないけど気をつけてねー!」


 ペリュトンが見送る中私達は滝の中に飛び込んだ!

 うう……凄まじい圧が……!

 水の加護頼む……!


 ウロコからあたたかな(エフェクト)が発せられて水の体感勢いがどんどん減っていく。

 それでも上からガンガン浴びせられているのは変わりがないからキツイな!

 息をちゃんと確保して……と。


 ドラーグも下手に翼を広げずにコロロだけ守るように飛べば滝の中を泳いでいるかのようだ。

 そこまで圧力もかかっていないようだ。


『みんなー! 大丈夫!?』

『ローズ様、こっちは大丈夫です! コロロも起きたけれど、いまのところ安全です!』

『うひー! ほとんど泳いでるみてーなもんじゃねーか! あのウロコがなければ潰されそうだ!』


(しっかりまわりみててよー!)

(滝で相手がいないのはつまらないな)


 うぐぐ視界も悪い動きもにぶい……

 こんなところで誰とも戦いたくない!

 すすめるようになっただけマシだけれど!


 滝は容赦なく感覚を奪う。

 光魔法"ディテクション"は自身の感覚頼りでマッピングしていくかこんなんではすごく狭い範囲しかわからない。

 方向だけは……方向だけはなんとか合わせないと!

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