八百五十八生目 遺産
復元屋ペリュトンを見つけた。
たずねないと!
「あの、少しお話を聞きたいのですが、輝かしい神について知りませんか? ペリュトンさんたちの神ではなくて……」
「あー、ああ! なるほど、そういうことね! それならちょうど良かったね!」
ペリュトンが背の翼を大きく広げ脚も広げる。
ニンゲンで言うところのバンザイ?
「というと?」
「ここが! その神様の神殿です! しかもぼくが該当部分をちゃんと直しておきました!」
軽快にステップ回転してドヤっている風なのがよく見える。
ただ実際これはすごい!
「ありがとうございます! ずっと探していた情報なんです!」
「へっへへー、大変だったよ、土や砂をどかして、欠けたところを埋め直して、剥がれ落ちた場所を穴埋めして……でも他のペリュトンは興味ないんだもの、ぜひ見ていってよ!」
「俺たちは見てもさっぱりだがな! まあやっと確かな情報にありつけたのはわかるぜ!」
「結構たいへんでしたもんねえ……」
ペリュトン復元屋が頑張って修復してくれたその部分を見に行こう。
ペリュトンに連れられて私達はその場を後にした。
「そういえば、あのペリトンはどこに行ったのかな……」
「え? ペリトンが近くに?」
「ああいや、最近ここらへんによペリトンが遊びにきたりするから、もしかして今日来たり……しないよね?」
「きたら……まずいな」
「パパ……」
「うん、僕が守るよ!」
なんだかちょっと不安だ。
少し歩みさらに上階へ。
ペリュトンは私達をいかにも重要そうな部屋へと導いた。
大きな祭壇があるのだ。
大量の点灯台もあるし高い場所まで続く台座含めてほぼ祭壇で間違いないだろう。
ここまでの道のりはわかってないとかなり迷うようになっていたなあ……
ペリュトンさまさまだ。
「さあついた! ここが復元した場所だよ!」
「おおー……! 立派だ……!」
「火つけて飾りたくなるな……!!」
「いや、そんなことしたら劣化が激しくなっちゃうから!」
「だよなあー!」
「……パパ、どう?」
「広い空間に大きな台座があるよ、僕くらいある!」
「……大きい」
この中でしっかりとは見えていないのはコロロだけなためドラーグがしょっちゅう解説している。
闇に目がなれたからか少しは雰囲気がわかるようだが。
台座も壁もそして床や天井も他と比べ前一層気合の入ったきらびやかな景色。
たしかにこれで炎をともしたらさぞかし豪華絢爛で輝かしい光景が見られただろう。
ただ復元屋ペリュトンの言う通りあちこちに修復跡が見られるのにさらにいじればソレだけ劣化が進んでしまうだろう。
「ここの……そうここから! 色々と調べたけれど、どうやら輝かしい神そのものに関してはここから書かれているんだよね!」
「おお、ここからですね! どれどれ……」
文字や文様や絵が描かれている……
脳の片隅で文は組み立てつつ絵を先に見よう。
それはこの絵の中でもひときわ目立つ存在。
大きな翼を広げ周囲の全てから崇められている鳥のような神様だった。
黄金で縁取られ修復されているのをみるにかなり気合の入ったカラーリングも施してあるようだ。
宝石も使ってその美しさと存在の気配を遥か古代から今に伝えている……
これが誰にも覚えてもらえてなかった神……なのかな。
「すごい……」
「ため息がでるような、そんなすごい絵だよね!」
「こいつぁ圧巻だな!」
「派手だなあ、こんなに飾った神さまが昔はいたんですか! だったらなんでいなくなっちゃったんだろう……」
確かにこれはここで誰にも眠ってて良いものとは思えないな……
歴史的文化遺産だ。
「ここからこの文様をたどればえがかれる道筋通りに物語が読めるよ!」
「なんて書いてあるんだ!?」
「ええと待って待って、今翻訳して現代訳して……」
「ちょっとならわかるよ! 確かここは……『我らが神、その名を記すも畏れ多い輝かしき偉大なる存在、鳥の王』かな……それで、あそこは『民に慈悲をくださり、全てに怯える我々を守るための地を切り開いて作ってくださった』と書いてあるかな。翻訳が間違ってなければね!」
すごいな……脳内でちょっとずつ難解な文章を解き明かしているからわかるけれどペリュトンよく読めるなあ。
それにこの壁の文章もかなりすごい。
どうやらざっくりと創世神話が描かれているようだ。
白砂の話もどこかにあるかな。
「すごいですね、今翻訳したところ、私も読んでますけれど、かなり適確な意訳ですね。結構難しい……」
「コツがあるからね! 正直ぼくとしては、いきなりやってきていきなり読める方が凄いと思うよ!」
「ありがとうございます、そういう能力があるもので……!」
少しずつでも読み進めていこう。




