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八十一生目 守蜴

本日二つ目です

 そして最後に当たった相手は……


「え、ええと……もしかしてなら、わかるかな」

「本当ですか!?」


 オジサンだった。

 近くには汚れだらけでくたばっているインカとハック。

 迎えにいったらこうなっていてビックリした。


「う、うん。おそらくは……ほら前に話した俺のホエハリじゃない友達覚えている?」

「ええ、何か進化に関するヒントをもらったって言っていた……」

「そう、そ、それでそのツテでいけば多分」


 くたばっていたインカとハックに治療を施して一旦アヅキに送ってもらった。

 その後私とアヅキが合流しオジサンと共にその友達へと向かった。




 かなりの距離を歩いた。

 完全に未知なるゾーンだ。

 光魔法のディテクションで地図レーダーは取りながら来たから帰りは迷わないものの……

 ここまで森の中で入り組んだ奥地があるとは。


 森に長く暮らしているからわかる。

 誰かが意図を持ってこの先へ進めなくしている。

 普通に通ろうとするといつの間にか仕掛けの一番前に戻されそうだ。


 オジサンはそれを知っているのか仕掛けをすり抜けるように移動している。

 魔法的なものも使われているような気がする。

 かなり念入りにやられているから私だけなら無理かな。


「つ、ついたよ」


 オジサンがそう言って最後の仕掛けを抜けると少し開けた場所に出た。

 そこには……え、デカい!?


 それは二足で立つ巨大なトカゲ。

 竜とはまた違って肉付きがひょろりとしつつも鍛え抜かれた腹筋や胸筋がアピールしている。

 直剣を背中にある鞘にさしている……文化の気配。


 私達ホエハリでは足元程度にしかならないしアヅキでも見上げなくてはならない。

 3メートル……もっとあるのかな?

 はかるものがわからないからなんとも。


[ガランザードLv.10 異常化攻撃:毒]

[ガランザード 巨体だが性格傾向は比較的穏やか。自分にとって大切な物を守るために命をかけることを躊躇わないという]


 深い緑色をした鱗が背を覆い腹側は黄色に近い白。

 こう、トカゲと言われた時の王道の配色だ。

 おっと頭痛が。

 言語を自動で学びだすスキルの組み合わせの副作用だ。


「や、やあ、久しぶり」


 オジサンがそう言って声をかけるとトカゲはその身を屈ませた。

 うん? 首に何かアクセサリーをつけている?


『あ、あー、よし、久しぶりじゃないか』


 え、何、ホエハリ語!?

 そういえばなんでオジサンはホエハリ外の言葉がわかるかと思ったら……

 向こうも何らかの翻訳持ちか。

 あのアクセサリーから聴こえてきた気がする。


『どうしたのさ? 今日はなんだが多いよね?』

「うん、実はちょっと紹介したくてね」

『なるほど。

 オレはガランザード!みんなの友達なのだ!』


 そこからそれぞれ自己紹介した。

 アヅキが挨拶しても私を介さずに会話が出来ていてアヅキは驚いた。

 凄いアクセサリーだ。


 そしてこちらの事情……メッセージについても伝える。

 するとトカゲの雰囲気が険しくなった。


『それ、誰から?』

「いやわからないんですよね。

 だから余計に困っていて」

『分からない? うーん、困ったなあ……』


 うーんうーんと彼はひときしり悩んだあと、彼は手のひらに拳を合わせた。


『そうだ! ダメってことで!』

「が、ガランザードくん?」

『ダメダメ、ほら帰った帰った!』


 いきなりである。

 オジサンも困惑している。

 それにこんなこと言うってことは……


「知っているんですね、小さき者の村」

『ギクゥ!? な、なぜぇ!?』

「いや、知らないじゃなくてダメって言いましたし、今もそんなリアクションしたらバレバレじゃないですか?」

『し、しまったー!!』


 隠し事は苦手らしい。

 大げさにのけぞってガーンと言った感じをありありと表している。


 アヅキにはホエハリ語の時は翻訳して烏語のときはオジサンに翻訳するのは私の仕事だ。


「ふむ……知っている、が、教えないと」

『そ、そう、ダメ、ダメなのだ!』

「……仕方ない」


 そう言ってアヅキは私をおろしトカゲの近くへ歩く。

 あ、これは力に訴えて……


「この通り!

 条件は何でも飲む!

 こちらも必死なのだ!!」

『ふわぇ!?』


 違った。

 アヅキはトカゲに対して深く頭を下げた。

 あの何かあればすぐに排除しようとするアヅキが……


『で、でもー駄目なものはダメだしー……』

「何故なのだ! 私の命くらいならいくらでも差し出す!

 だから頼む!!」

『いやいやいや、た、たすけてホエハリマン!!』


 オジサンの事かな。

 アヅキが彼に必死にすがっている。

 アヅキだけはこれが私の命に関わることだと知っているから。

 アヅキが私の命のために。


「アヅキ、気持ちは嬉しいけれど……でもしょうがないよ」

「しかし!」

「具体的にはなぜダメなの?」

『ええー、そりゃー……ダメだからーダメでー』


 目が泳ぎまくっている。

 うん、この感じは。


「あなたが守っているものがその町だからでは?」


 その瞬間爆発的に圧力が増す。

 一瞬で抜かれた剣は私に届く。

 ……前にアヅキが私を抱えて跳んだ。


「ガランザードは大切なものを護るために命をかける種族……なんだよね」

「お、落ち着いてガランザードくん!」

『ごめんねホエハリマン……知られたからにはみんな生かしておけないんだ』


 明らかに冷静じゃない、剣が今にでも振るわれそうだ。


「……今あなたが攻撃したり"知られた"って言わなければ、ただの推測だったのでは?」

『あっ』


 ストン、と剣が落ちる。

 アヅキの指摘で初めて気づいて顔を両手で覆っている。

 なんだろう、この残念な感じ。


『うぅ〜〜! もう良い! 俺はみんなの友達だから、守るだけだ!

 うがぁ!!』


 剣を再び拾って突っ込んできた。

 これはまずい。


「オジサン、アヅキとりあえず逃げよう!」

「はい!」

「あ、うん!?」

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