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八百五十三生目 噛砕

 ダンを運んでペリトンたちから全力逃走!

 崖をギリギリで曲がっていくエアチェイス。

 心臓に悪い!


 何か地形を利用してそろそろきりぬけられないか……うん?

 この先の地形……何か変だぞ。

 "千里眼"と光魔法"ディテクション"で地形情報を頻繁に集め高速飛行を可能にしていたが……


 さらにその情報を"同調化"で共有してみんなできりぬけていたが……

 この先地形が何度も変更されまくっている。

 正確には……この角を曲がった先の先!


 直線上遠くに見えるそれはまさに異様な光景だった。

 崖が激しく動き挟むように動く……というと他と同じ。

 しかしその動きが恐ろしく速い。


 まるで獲物をとらえるかのごとく素早く閉じるのだ。

 そしてゆっくりと開く。

 崖の牙みたいなトゲたちには黒い古い血の色がべったりとひっついている……


「あれが、噛み砕き谷!?」

「「待てー!!」」

「おい、前も後ろもやばいんじゃないか!?」


 思っていたよりも凄まじい殺意が迷宮地形から発生させられている!

 ペリトンたちも止まらないし……

 崖の前まで行く間にふたたび聖魔法"ソウルシャッカル"をとなえる!


 幸い後方のは結構遅れているから前方数体で済む。

 前よりはかけやすいはずだ。

 "同調化"で私の意思を伝えつつみんなの意思をチェック。


「……時間が、大事」

「貴様ら、主の足は引っ張るなよ!」

「もちろん、ローズ様とがんばるよ!」

「俺ぶらさがってるだけだから暇だな……」

「いや普通この速度でぶら下がり続けるのすごくしんどいはずなんだけれど……」

「鍛えているからな!」


 無駄口叩いている間に噛み砕き谷が迫る!

 近くまで寄って目の前で閉じる崖まで来る。

 近寄ると大質量が有無を言わさない迫力がある……


 しかも距離的に全力飛行して抜けられるかどうか……

 スキマもあるだろうが今検証している場合はないしドラーグが大きいので危険。


「とりあえず、止める!」

「ニンゲン!」

「そこだーっ!!」


 背後から近づくペリトン数体に向けて"ソウルシャッカル"!

 再びどこからか光の鎖が伸びてペリトンたちの肉体に刺さるとうごきが完全に止まる。

 この時間の間に。


「みんな、寄って寄って!」

「はーい! クワァコロロ!」

「……うん、大丈夫」

「さ、主、失礼します。ヤキトリ離れるなよ」

「ピピィ」


 魔法詠唱しつつ"千里眼"!

 噛み砕きの谷はここからしばらく続くらしいが一旦距離を稼ぐ。

 閉じる箇所と閉じない箇所を見つけ……


 道の先の先。

 分かれ道の向こう側。

 安全なポイントは……ここ。


 距離が通常では足りないか。

 数も多いし魔法威力拡張。

 一発で視界のところまで行けるように。


「おい、なんだかそろそろ動き出しそうな感じだぜ!」

「わかった!」


 解けそうな気配を感じつつ3つ目の視界は"千里眼"を維持したまま。

 ギリギリまで魔力を高め……

 全員接触していることをチェック。


「いくよ!」


 この感覚はおそらく限界!

 1秒前!

 (くう)魔法"ミニワープ"拡張化!


 私達の姿が一気に違う場所へと飛ばされる。

 場所は"千里眼"で見ていた安全圏。

 背後や前の崖が凄まじい勢いで閉じた音でドラーグたちがビックリする。


「うわあっ!? あ、大丈夫なのかな!?」

「成功した……」

「ええ、主ですから!」

「どうだ、振り切れたのか?」


 "千里眼"で今度は私達がさっきまでいた場所を見てみる。

 ペリトンたちが急減速して周りを見渡している。

 噛み砕きの谷だということと私達がいないことに気づいたらしい。


 我に返って混乱しているようだからあちらはあのまま放っておいて大丈夫だろう。


「なんとか振り切れたみたい……だけれど、今後はペリトンたちに見つからないようにしなきゃね」

「正確には、俺たちニンゲンが、だったなっと! ここまでありがとうよ!」


 ダンが私を離し空中に着陸する。

 そう……ニンゲンさえ見なければ大人しいのだ。


「……ニンゲン、たち?」

「俺と、お前さん」

「……コロロ? あー、コロロもかあ」

「そうだぜ、いざって時にはドラーグの影に隠れるなりしたほうが良いぜ」

「そっか……パパ、コロロ迷惑かな、ごめんね」

「ううん!? ぜーんぜん! 頼ってくれていいからね!」


 ダンの話でコロロは浮かない顔。

 ドラーグがあやすが今は顔がいまいち晴れなかった。

 そうあの顔は……ダンと同じニンゲンと聞かされてからだ。


 うん……まあ体格とか真逆だし……色々と不満を持ちそうではあるな……

 それよりも……だ。

 ふたたび近くで崖と崖が激しくぶつかり重音。


「ひゃあ! は、はやくこんなところ抜けちゃいましょう!」


 慎重に行かないと潰されるからここからも気を張らないと……

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