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八百五十一生目 人間

 影をとってきたと叫んでいたペリトン。

 誰かと思ったら私達と交戦したペリトンだった。


「おや? ふたりとも、知り合いかな?」

「え、ええまあ……」

「いや、知り合いどころか……!」


 ズンズンとペリトンに詰め寄られる。

 そういえば確かにペリトンの足元に影が。

 あのあとハーピー狩りに成功したのか……


 というかこれまずい――


「大丈夫だったかい!? 怪我は!?」

「えっ!? ええ」

「ソレは良かった、狩りに巻き込んじゃって、ずっと気がかりだったんだ」


 本当にこの種族優しいね!?


「いや、それよりも私のつけた傷、治しますよ!」

「いやいや、さっき帰る時にクモの巣にかかっていたハーピーの影を使ってトランスすれば、すぐに治るさ!」

「そ、そうなんでか……その、ハーピー、どんな……?」

「うん? 黄色いやつだったよ。影を狩ったら反動で谷底に落ちちゃったけれど」


 知らないハーピーらしい。

 少なくとも知り合いが死んでしまうのはあまりいい心地ではないからね。

 ただそのハーピーも来世を祈ろう。


「本当はあの時見かけたニンゲンが良かったんだけれど、さすがに難しかったからなあ……」

「ニンゲン!?」「ニンゲンって」「あのニンゲン!?」

「そう。あのニンゲン。さっきみかけたんだ」


 まわりが一斉にざわつく。

 やはり彼らペリトンやペリュトンにとってハーピーよりニンゲンという言葉の方が遥かに重いのか……


「その時にこの子とすれ違ってね。反撃を少しもらっちゃって。もしかして、あのニンゲンと知り合いだったりする?」

「あー、えーっとそれは……」

「これこれ、困らせるでない。事実だとて、知り合いを渡すようなマネ、しないであろう。ただ……」


 お年寄りペリュトンが怪我ペリトンをおとなしくさせて……

 私の方には奥底にひそむ眼光が投げかけられる。


「ニンゲンと出会った時、我らのペリトン族は少々制御不可能と思われるゆえ、その点ご容赦ねがいたい」

「あ、いえ。気をつけますお気遣いありがとうございます……」


 普段臆病なピラニアが血のにおいを嗅ぐだけで異常に興奮する性質を思い出した……

 コロロやダンが見つからずうまく活動するしかない。

 今の所連絡は入ってこないから大丈夫。


「それよりも……少し離れて。トランス!」


 ペリトンが一気に(エフェクト)に包まれる。

 輪郭がわかる程度だ。

 その輪郭がメキメキと成長し変化して……


 光が解けるとペリュトンが現れた!


「おめでとう!」「おめでとー」「ほっほっほっめでたい」「いいなあ!」

「おお、なれた、ついに俺も、ペリュトンに! 影持ちになれたぞーーっ!!」


 みんなのお祝いと共にペリュトンにトランスした彼は叫ぶ。

 元気になり影を得たその身体で。

 それこそが自らの証明と言わんばかりに……





「それじゃあ、何から何までありがとうございました!」


 結局あれこれお祝いの品やらお土産をたくさんもたされてしまった。

 私が怪我を与えてしまったその傷も癒えたようだし……

 私も探索に戻らなくては。


 外まで彼らは見送りに来てくれた。

 本当に優しい種族だなあ……


「その白砂っていうものが、わかればよかったんだけれどねえ。輝かしき神に関しても……」

「我らも一度はニンゲンを目にしたいが、まあ無理はいえませぬ。こちらには、まだ影を持たぬものたちもいるゆえ……」

「それほどグッときちゃうものなのか?」

「ああ、あれは俺が抑えきれなくなって――」


 このままではまた雑談が始まって抜けられなくなりそう。

 とりあえず……


「いえいえ、十分ヒントもらえましたから、ニンゲンもまたいつか機会があれば。ではまた――」


 ――うん?

 場の空気が一変する。

 ペリトンやペリュトンたちが一斉に目を向けた先……


 結構遠くにそのひとつの影。


「ダン!?」「「ニンゲン!?」」


 しまったここまで外に連れてきたことで角度的に視野内に!

 まだ遠いのにきっちり気づかれたし!

 ペリトンたちの目はすぐに正気が失われ……


「「ニンゲンだーっ!!」」

『ダン! 危ない! みんな! 切り上げて即こっちの地点から移動するよ!』


 "同調化"と"以心伝心"を即使用!

 ペリトンたちが一斉に飛び立ちダンの元へと向かう!

 画像データとして地図と目的位置ピンも打ってみんなに送信。


『えっ? うおわっ!? やべえなんか来てる!』

『みんなニンゲンを狙うらしい! ニンゲン狙わなきゃおとなしいんだけれど……』


 私もすぐに後を追いかける。


「ねえ止まって! あれは私の味方で!」

「「うおおおっー!」」

「ニンゲンだ!」「倒せ!」「やれ!」


 だめだ!

 みんな聞く耳を持たない!

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