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八百五十生目 交流

 ゾンビモンスターみたいな像が出てきて神だと言われた。


「ええ……こ、この神を崇めているのですか?」

「ほっほっほっ、正確にはこのような姿だったと、我々も伝え聞くのみ。この姿そのものは、彫刻家の形にした像のひとつにすぎないのですよ」

「みんな言葉でしか伝えないから、今では神様どんな形だったか……でもその像は雰囲気出ていると思うよ。地の底に住まう死の神、魂を喰らって世界に還す……そんな存在なんだよ」

「えっ!? 地の底の!?」


 地の底にいるのはハーピーとか他の魔物とかが同じような怪物がいるむねを話していたが……

 まさかここでも出てくるとは。


「会ったことはないがの。それでも、いにしえの盟約に従って、我々は影を得られる。心の底から畏れを抱ける相手からね。彼は恐ろしいが、同時に我々の味方で、その恐ろしさほど心強いものはないのさ」

「ああ……なるほど。敵であるならともかく、味方なら、味方で良かったって思えそうですね……」

「崖も神の顎と呼ばれているんだよ。誰かが落ちた時に崖同士がひっつきあうのは見たかい? 神がああしてまずは肉体を喰っているんだってさ。その後に魂をいただき、神の身体を通してまた世界を巡るんだってさ!」

「あの崖も、神が……?」


 ありえなくはない。

 そういうのに似た事例はこれまでもあったし。

 積極的な死を求める神……なんだか嫌だなあ。


「……あれ、そういえばペリュトンさんたちは元々遠くから来たのでは? それなのにこの地の神とゆかりが?」

「ふむ、そこはな、我らも話題になることがあるのだが……」

「よく言われるのは、逆なんじゃないかってことだね。おいこまれたさいに、保護してくれる先といえば、そりゃあ神様のお膝元でしょってね」

「あー! なるほどなるほど」 


 そりゃいま思いつくような疑問はすでに彼らも把握済みだよね。

 おっと彼らの神に関して聞くのもいいけど本来の目的も忘れないように。


「その、神様のことありがとうございます。ただそのこととは別に、昔にいたとされている、輝かしいかみさまのことご存じないですかね? 今あちこちで聞いて回っているんですが……」

「ふーむ……? 神は我らの神しか、ちょっとわからないねえ」

「同じく。見つかったら教えてよ、彫りたいからさ」

「あー、わかりました。それと、この建造物たちが他にもある場所はご存じないですか? ハーピーたちの方は調べたのですが」


 ペリュトンたちがうなって……

 はっとひらめく。


「そうだ! それで思い出した!」

「お前もか! そうだ……復元屋がいた」

「復元屋……ですか?」

「我らはそう呼んでいる、同じペリュトンでな、わざわざ奥地に行って、このような建物たちに残された記録を、復元しているそうなんだよ。それでそういえばはるか昔の神がどうのと、言っておったわ」

「あいつは知識に飢えているからね……今なら噛み砕き谷をこえて、永遠の滝つぼの近くじゃないかな。どっちの地形も特長的だからすぐにわかるよ。やたら噛んでくる崖の道と、めちゃくちゃ水が落ちてくるところさ! あっちの裂け目から行くと良いよ」


 復元屋……か。

 地形と共に覚えておこう。

 彫刻屋さんが指した方向も記録して……と。


「なにからなにまでありがとうございます!」

「いやいや、わしも久々に楽しかった! ぜひまた来てくれ」

「ああそうだ、これってお礼になりますかね?」


 (くう)魔法"ストレージ"!

 亜空間からひとつの小さな像を取り出す。

 ハックのものだ。


「おおっ!? 一体何を!? ってあれ、それは……? ふんふん……」

「弟の商品なんです。これはそのなかで、自分の宣伝用に配って欲しいものなんだとか。渡されたけれどなかなか誰かに渡す機会がなくて……」

「ははあ……これは……もしや、なるほど……これは新しい、私にはない観点で作られている! 岩を削っているわけじゃないよね、一回溶かして固めているのかなこれ、それで出来上がるものがこうなるとは想像できないなあ……すごい!」

「あ、どうぞどうぞ」

「いいの!? ありがとう!!」


 ペリュトンが顔をものすごいキラキラさせていた。

 ぜひこういう魔物にあげるものだろう。


「わあー! ありがとう! そうだ、これ、ぜひその弟に!」

「えっ、いいんですか!?」

「交流ってやつだから、ぜひ!」

「あ、ありがとうございます」


 かわりに彫刻屋から小さい像をもらえた。

 魔物モチーフではなく影が際立つように石を彫り込んだシンプルな品だ。


「よしよし、では送っていこう――」

「おぅーい! おーい! 帰ったぞー! ハーピーの影を狩れたー!」


 ……あれ? 聞き覚えのある声。

 声の方にみんなで近づくと天から舞い降り姿。

 毛皮に黒い血のようなものが流れ出ていた跡がある。


「あっ」

「あっ」


 気まずい。

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