八百三十五生目 黒炎
エアハリーでアインスとドライ協力で高速飛びし敵鳥魔物たちを撃ちまくる!
「ぐわっ!?」
「速い!? 俺よりも!?」
「なんだ、あの動きズルい!」
そういえば鳥たちは風の影響を悪く受けやすいよなあって相手の動きを見ながら思っていたが……
私の首に巻かれているスカーフのことを思い出した。
これは風の加護がついていて土の加護と同じような効果があるんだった。
ならば風は私の味方ということだろう。
それ! 魔法も準備! 火魔法!
[フレイムピラー 火柱を上げる]
「狙え! ねらえ!」
「わたしがやる!」
鳥たちから光輝く羽根が4つ撃ち出される。
私の動きを先回りしてきた!?
けれど!
(きかな〜い!)
羽根は私に当たると砕け散った。
痛くもなんともない。
"四無効"で光が通らないわけだ。
「えっ!?」
「スキあり!」
「わあっ!?」
私を追い込む前提で動いていた発射した鳥に針をバリバリ撃ち込む。
空中機動戦でもドライなら当たるし当てるのでびっくりしているような魔物はもれなく針だるま。
さらに纏まっている近くにさっき唱え終わった"フレイムピラー"発動!
範囲拡大適応済みの火柱が空中に浮かんだ魔法陣から吹き上がり鳥たちがこんがり燃やされる!
「[わああっ!?]」
「ヤキトリ、行け!」
「チチッ」
アヅキの側で飛んでいたキトリがスイーッとすべるように飛んで火柱に突っ込む。
一瞬心配した。火柱が消えると焦げた鳥たちと共に腹のような部分が膨れ大きくなったキトリが見えた。
キトリはそのまま大きく息を吐くとすごい勢いで青黒い炎を吐き出しながら吹き飛んであちこちにぶつかっていく。
いわゆるロケットブースター。
口のあいた風船のように勢いよく噴き出している。
黒い炎に触れたものたちはもれなく羽根だけ燃え尽きる。
「「わあぁーーー……!!」」
うわあえげつない。
なんとか下の方で草花にしがみついて飛んでいるからセーフではありそう。
羽根がなけりゃ飛べないものね。
戦闘はその後もつづがなくボコボコにしつつ勝った。
ダンとドラーグが軽微な怪我をしただけでさっくり"ヒーリング"で治しておしまいだ。
落とされた鳥たちはたいてい草花に捕まったり乗ったりしていたからさっくりなおした。
はげてしまう呪いも今回はすぐに解呪出来ている。
あんまりそこまで深くやる意味がなかったからね。
"無敵"も忘れずかさねる。
逃げるように去る彼らと別れを告げて先へ。
下に落ちきった鳥魔物はいなかった……ようにみえたけれど。
カウントはしたから間違っていない。
空飛ぶ植物たちが群生はしていたが運良いのかなんなのか。
風がうまいこと運んでいたからみんな助かった。
この崖の下には行くなと言われているが……何があるのか。
さっき魔物たちに治療のついでに聴こうとしたがあんまり芳しくはなかった。
行かないのは当たり前としか。
この世界の常識を知らない者たちがいるという前提がまずないためだろうなあ。
なのでみんな必死に草にしがみついたようだ。
おかげで勝手に浮かんできて回復できたけれど。
どんどん進んで行こう。
何度かさっきみたいた大きな戦いもなく小規模な戦いを繰り返しつつ進んでこれた。
やはりというかなんというかみんな当たり前のように翼を持つ。
飛んで飛んで移動し生きている。
だが彼らだって飛びながら休むわけではない。
というのがここらへんから見えだした壁の箇所である。
「凄まじく穴だらけだな……魔物がすんでいるのか?」
「興味本位で首を突っ込むのはやめておけよダン、巣を猛攻された魔物の牙は恐ろしいぞ」
「俺のほうが冒険者だからわかってるってのアヅキ!」
アヅキやダンが言い合っている対象こそ穴あきだらけの壁。
光魔法"ディテクション"で脳内マッピングしていくのを見るにどうやら確かに魔物たちが暮らしているようだ。
種類は様々で統一性がないが巣自体はまるで同一の何かに食い破られたかのようで……
穴あきチーズみたいな壁だ。
たくさん穴がある。
しっぽが翼になっているリスがこちらを覗いていた。
やはりあの中まで突っ込まなければ向こうもどうこうするつもりはないらしい。
このままスルーさせてもらおう。
比較的落ち着いた飛行。
アクロバット飛行は心に悪いからこっちのほうがいいなあ……
できるなら地面歩いていたいなあ。
おっと……前からネズミの軍団が飛んできた。
道をゆずろう。
[チュウチュー もし谷が穴だらけに空いているのを見かけたら彼らの巣作りあと。自慢の前歯はなんでも壊す。大人は鼻から軽い気体の詰まった風船をつくり空を飛ぶ]
「こんにちは、どうも」
「わっ、しゃべったちゅ」
「こんにちはー」
「どうもどうもー」
とくに何事もなくすみそうだ。




