表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂おしき恋をあなたに捧ぐ
820/2401

八百十五生目 貫通

 爆発と爆発が入り混じっても回転の(エフェクト)は止まらない。


『ウワァァァ!?』

『いけえええ!!』


 ついにホルヴィロスの首へと突き刺さり……

 再生より早くスピンしてドリル!

 耐えられたが大きすぎる身体が災いしてどんどん深く入り体内潜行!

 頭の方へガンガン進んでゆけ!


『出て! こわい! 何!? イヤ!?』

『望みだったんでしょ、私に攻撃されるのも!』

『ナニカ違う!! なんでこんなに怖い!?』

『それは、やっとキミが私を見たからさ!!』


 ホルヴィロスは私のことなど見ていなかった。

 ホルヴィロスはホルヴィロスに都合のいい全てを見ていただけで私を見ることは今の今までなかったのだ。

 こうして今激しく肉体へ掘り進められている。


 肉体への傷はホルヴィロスはなんともない。

 だが3つの内臓だけは別だ。

 今は僅かな時の攻防だが脳内でやり取りされる念話はとても情報量が多くても素早くやり取りされる。


『ナゼ? どうしてこうなっているの!? 私はローズを愛し、ローズは私を愛してくれるのに、そのはずなのに!?』

『キミは私を愛していない! 私という玩具(がんぐ)を通して恋心に恋していただけ! そして当然、私はキミを愛していない!!』

『う、うそだ!!』


 ホルヴィロスが明らかに恐れだした。

 今まで言ってきたことと同じなのに。

 皮肉にも追い詰められて初めて恋への盲目がとけ出したのだ。


『嫌だ! 嫌だ! 来るな! 私は貴方が好きで! 恋して! 愛して!! どうして!? ただ好きなのに!?』

『それが私をめちゃくちゃにしていい理由には、何一つ無いからだよッ!!』

『あ、うああああ!? やめてーー!! 嫌だーーーー!!』


 この先に透視して見える内臓3つ!

 逃さない!


『ヤダヤダヤダヤダヤダヤダアアァーー!! ローズは私のこたあ嫌いじゃない! 私を嫌う相手なんていない! 私が好きな相手が……好き? 愛? 愛って、私は、私は私は……!?』

『トドメだ!』


 掘り進んでまとめて内臓1、2、3!

 貫通だ!!


「グフゥッ!?」


 声での悲鳴。

 完全に内臓はドリルにミキシングされ貫通して砕けた。

 さらに背後に"ダイヤモンドブラスト"を小さく放ち最後に加速!


 そのままホルヴィロスの頭を突き抜けて出る!

 回転を止めイバラを解けば(エフェクト)が収まる。

 毒沼の上に着地。


「私に……愛を……ッ!!」


 私の背後で震えていたホルヴィロスの身体が急速に膨れ上がる。

 肉体が制御できずに植物や肉が外皮を押して膨れ上がったのだ。

 そして……周囲の爆発胞子たちに触れて自爆!!


 激しい爆発に包まれるのを"鷹目"で見つつ振り返らずにイバラをしまう。

 何度も何度も爆発してホルヴィロスが光に消えてゆくのを背後に聞きながら歩いて去った……





「「おつかれさまー!」」


 みんなと合流して治療。

 そして新鮮な水を飲む。

 あー! 生き返る!


「何度かダメかと思ったよ」

「僕が放った矢なのだから、的確に相手を突けますとも」

「まったく、こんな無茶は今回限りだな」

「なあに、冒険してりゃああんくらいのことはまだまだあるぜ!」


 互いが互いの無事を祝い喜ぶ。

 世界の隔離も無くなり階段も復活した。

 後は白雪を回収して出ていくだけだが……


 背後の方で草むらががさつく。

 みな誰かわかっているから特別な警戒はしていない。

 草むらがでてきたのは……分神の半透明なホルヴィロス。


 前までのテンションはどこへやらどこかしょぼくれていた。


「……」

「「…………」」

「……私は、貴方に迷惑をかけていたのか……?」

「そうだね」


 さらにホルヴィロスが沈む。

 私はみんなの輪から少し抜け出してホルヴィロスへと向き直る。


「ただ愛したかったのに、恋に狂いたかったのに……」

「それと私をまきこむのは、筋が違うよね。いくら私の見た目に惚れたとしても。そもそも私のこの姿は素の姿じゃないのも知らないよね」

「……えっ!?」


 自分でホルヴィロスが私に惚れたというのは恥ずかしいがそうじゃないと話が進まない。


「この姿は"進化"した姿。普段とは違うの。そのことすら気づかずにただ存在を奪おうとしたキミ、だから私すら見てない。ただ恋に恋していただけ」

「う、うう……!?」

「私を神に染め上げて意思を奪おうだなんて言語道断! ちょっと動かないで」

「う……う?」


 悲しみにくれているところに"ヒーリング""無敵"の掛け合わせをしておく。

 彼は神だから所詮こっちのことは下位存在にしか思えないのだ。

 こちらと同じ高さの目を持ってもらう。


「はいおしまい。どう? 少しは私達も、ちゃんとひとりひとり生きていること、理解してくれた? じゃあ私に構わないでご自由に――」

「その……本当に申し訳ないのだけれど…………私、貴方の事が好きなのが、止まらない」


 え。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ