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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂おしき恋をあなたに捧ぐ
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八百生目 粉砕

 キセイジューオーの正体は粘液の中にあるキセイジューみたいな木だった。

 あれを引きずり出して折らないと表面を炙っても効くわけがない。

 あの中身を引きずり出すには……


「ボオオオッ!!」

「うわっ!」


 私が転がるようにイバラでいきおいをつけて粘液の塊突進を避ける。

 まずい。船がもう半分も粘液まみれ。

 考える前に試す!


 土魔法"Eスピア!"

 キセイジューオーがゆっくり振り返っているところの真下に設置。

 そして発動!


 船から土槍が発生しキセイジューオーを突き上げる!

 出てこいキセイジューオー!

 ……うっ!


 粘度が高い粘液ごと突き上げられどろりと槍の先に粘液がまとまる。

 そしてどろりとずり落ちて……

 再びなにもなかったかのようにこちらに突撃してきた!


 避けることは簡単。

 だがもうそんなにあとがない。

 ここで(くう)魔法"ディメーションスラッシュ"を使う!


 だがこの魔法は相手が振り返ってくるほうが速いか!

 さらに突っ込んできたところにイバラを突っ込む!

 ベットリと嫌な感触がイバラの先から伝わる……


 物理的な接触によりさすがにキセイジューオーの動きが緩む。

 私と力の比べっこだ!

 キセイジューオーも負けじと力を込め震えている。


 これなら船が粘液にこれ以上やられない。

 そして魔法の完成だ。

 発動! (エフェクト)の刃を思いっきり振るうと周囲に光の輪ができる!


「やあッ!!」


 輪が収束し空間ごと引き裂く!

 イバラごとキセイジューオーが切れたが問題ない。

 空間が元に戻り横にぶった切られた証として粘液が大きく裂けイバラがスライス。


「そこだッ!!」


 だが肝心のものは捉えた!

 粘液が閉じる前に追加のイバラ!

 キセイジューオーの本体が露出しているとこに巻き付く!


 多少粘液のせいで巻きにくいが"縛りつけ"で瞬時に拘束!

 そのタイミングで粘液がついに閉じる。


「ボ、ボオオオ!!」


 怒っているようだ。

 負けまいと引っ張ってくる。

 こっちの足場はまだなんとかあるから……この戦い私の勝ちだ!


「ガガ……ギュガッ!?」「せーの……よいしょおッ!!」


 必死に踏ん張ればいくら粘液を出していようと徐々にキセイジューオーが露出しだす。

 粘液の顔みたいな穴が空いていた部分から出てきたのでちょっと絵面が悪い。

 そのまま身体をそらして……!


 ぐぬぬ……!

 少しずつ抜けているが抵抗と粘液のせいで拘束が緩む……!

 出てきた頭にもう1本"縛りつけ"……


「やーっ、らぁ!」


 うまく絡んだところを見計らいイバラに力を込める!

 さらに……体重を活かすために体を捻り。

 そのまま後ろへと踏み込んでゆく!


 ググッ……と木が引いたあと。


「ボアアアアアー!!」


 激しい吠え声とともに一気にキセイジューオーが引き抜けた!

 重い抵抗も粘液から抜ければ軽いもの。

 船の上へと投げ出す。


 出してしまえば単なる木だ。

 さっきまでの粘液の塊は途端に形を失っていく。

 代わりに木からドンドン粘液が!


「させないよッ!」


 相手は植物……倒すにはこうしかない!

 高くイバラを使って跳び!

 そのまま急降下で!


 前足の爪を出してキーック!!

 木の頭蓋骨のような部分に鋭くあたる!

 そうして……


 ついには耐えきれず砕けた!!

 "観察"。生命力ゼロ。

 ふう……今度はさっぱりした生き物に産まれてね。


「おーい! 終わったかー!?」

「うん!」


 イタ吉が手を振っている。

 ヒュードックたちも呼びに……


「ええ、ではキセイジューの方へ行きましょう」

「……え?」

「今のうちに沼を渡れる力を手に入れておきたいんだ」

「……ああ!」


 忘れてた。

 キセイジューの力で毒沼を渡れるようにしなくては。

 (たお)したキセイジューオーの枝は拾って(くう)魔法"ストレージ"で亜空間にしまっておいた。


 コレはもうクセみたいなもので倒した相手が落としたものはだいたい回収する。

 汚いものは……うんやめるけど。






 キセイジューのところまでやってきた。

 イタ吉たちも帯同している。

 治療済みだ。


 噛まれても頭以外の場合寄生体はあっさり抜け落ちてしまう。

 "観察"チェックしてみたが全員無事だった。


「これからすることは、傷があるともしかしたら後でしみるかもしれませんから、事前にちゃんと治してくださいね」

「みんな、傷穴はふさがった?」

「おう、ばっちしさ!」

「全身は見えないが……多分な」


 ゴウがナイフを持って複数あるキセイジューの1本に近づき……

 素早く返し手でナイフを木の影に投げる。

 小さい悲鳴とともにネズミ寄生ゾンビが出てきた!


 そして……そのまま倒れる。

 どうやら弱いやつだったらしい。

 私も警戒していたけれどさすがにゴウも気づいていたか。

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