七百八十八生目 毒食
あまりに大きすぎる植物魔物たちとの戦闘開始!
植物たちはイタ吉の分身かく乱に引っかかってめちゃくちゃに殴りかかっている。
本物は1体であとはすり抜けてしまうのだ。
当然本物が当たるような動きはしない。
ゴウが弓をつがえ連射しうまくイタ吉の分身すらも避け植物魔物たちを穿つ。
ダカシは別方向に向かって行きそちらの敵を引き付けだした。
「ハアッ!」
「こっちだ!!」
ダカシは身体の大きさが相手と負けていないのでさながら怪獣バトルじみてくる。
当然まとめて視線を引きつけるから私はきっちり魔法を……"ヒートストロング"!
こうして発動していく。
「あっつ!!」
「わかってる!」
そこらへんの感触も理解はできるからね。
それでも"ヒートストロング"は筋力を増して同時に温める魔法。
私も暑いので我慢して欲しい。
"クールダウン"を唱えつつ駆けて位置を移動。
ダカシと合流しそのままあえて突っ込む!
無理やり植物たちを一旦中央突破!
「遅いっ!」
「そこっ!」
やはり感触としては大きくなっただけで能力はそこまで変わっていない!
他のみんなの感覚と合わせても質量が圧倒的におおきいからその差があるのみ。
もちろんその差は大きいのだが!
「よし!」
爪で裂き牙で裂いて突破してきた。
牙は存外口を開けながら首をひねるだけで相手の身体を裂くため便利。
わざわざ噛むのはめんどくさいからね。
ダガシに背中を任せつつ"鷹目"で天空視点から把握しイバラを伸ばしていく。
四方を植物の魔物に囲まれているがこれも狙い通り。
こういう場こそイバラがうなる!
「いくぞ!」
「うおりゃああああッ!!」
ダカシに合わせてイバラを伸ばす!
ダカシが跳んだ時にイバラを低く全体に!
そして"なぎ払い"してダガシが組み付いたら今度はイバラを急上昇!
重たいがかち上げてやる!
脚に力を込めて……
「やッ!!」
植物の魔物たちの巨躯が面白いように空を舞う。
そこにダカシが噛みつき爪で裂く。
連撃を止めない!
対象複数化"クールダウン"を放って味方たちの体温を下げつつまだいる植物たちを駆け回りながらイバラで吹き飛ばす!
倒れ込む植物たちに乗って駆けて……
そのまま顔面を蹴り飛ばし次の植物に!
植物魔物たちは互いに食料価値が低い程度の認知だから組んでいるわけじゃない。
こうしてやれば……よし!
別のところから飛んできた種の爆弾が見事に私が今踏みしめている植物にヒット!
次だ!
イタ吉が分身ごと襲いかかって次々切り傷を作る!
ゴウが5本同時に放って大きな植物たちにすら風穴を空ける!
ダカシは爪から体内にあるらしい剣の切っ先を出して切り払い!
私もガンガンとイバラで叩き伏せて。
""ヒーリング""無敵"合わせるのも使い倒した相手を回復しつつキキノコの高すぎる森を駆けて行った!
ふう……
なんとか植物たちの襲撃が落ち着いたらしい。
しばらく安全な道を歩いている。
ただ道から外れたところに沼地を渡らせてくれるホエハリの親戚がいるんだよなあ……
いくらなんでも雑に道から外れて追いかけてもそこらへんの植物に不意打ちされまくるだけだろう。
大きなキキノコや植物魔物だけではないのだ。
とにかくなんでも大きいけれど道から外れれば天然の罠が潜みまくっている。
何か証拠がないと……
「うーん……うん?」
「どうした、イタ吉くん」
「ん」
ダカシがイタ吉に聞いたら首を振られた。
振った先にあるのは……
うん?
道から外れたところにあるもの。
いやむしろ無いものと言ったほうがただしい。
ウツボ型の植物の下半分が破られている……?
地道に植物の視線を気にしながら道を外れて移動。
嫌ながらもちょっとずつ慣れてきている……
近寄って見てみればウツボ型植物の下側が食い破られさらに毒液らしきものが少し撒き散らされているのがわかった。
もうこの植物は死んでいるな……来世は空からアグレッシブに爆弾落とす植物にでもいかがかな。
「どうだ? なにか分かったか?」
「うん。誰かに食べられているね……わざわざ毒液が溜まっているところを」
「ふうむ……あ、あちらの方に痕跡が続いてますね」
ゴウがめざとく次の痕跡を見つけた。
私もこのあたりに残るなんらかの獣のにおい的の流れがわかる。
足跡もほとんど警戒していない動きだ。
そのかわり単に強そうな相手からは隠れ進むように進んでいるみたいだ。
相性のよし悪しがあるのかな。
新たな痕跡に近づいてみたら大きすぎるいちごのような植物が食われ枯れさせられていた。
"観察"してみるとどうやら提灯のように釣ってがぶりと食べるハエトリソウ式の植物だったらしいが。
苺提灯という名前だ。
逆に食べられているとは……
そんな痕跡があちこちに残っている。
追っていけばもしかしたら……?




