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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂おしき恋をあなたに捧ぐ
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七百八十六生目 一月

 ゴウが夜に武具の手入れをしながらゆっくりと語る。

 服に仕込む細い針も1本1本丁寧に磨いて話は進む。

 冒険者に憧れたけれどなろうとは思っていなかった過去の話だ。


「僕もそうでした。どこにでもいる、強さに憧れる子どもです。昔は身体が弱くて、冒険者な勇者は憧れはしましたが、とても無理だと思い、かわりによく勉学はしようとしましたが……」

「わかる、ゴウは明らかにかしこいもんな」

「恐縮です。それでも……魔物や、なんなら通常の動物すらも私達から食べ物を奪っていく。そんな私も見かけたら村の一員として奮闘はするのですが……小さい魔物にすら面白いようにされるだけで。そんな私をダンはよく勇者ごっこをして助けてくれたんです」


 そういえばふたりは幼馴染だっけ。

 今はケンタウロスのようなニンゲンになっているダン。

 逆三角形の体型で拳のインファイター。


 過去の当時から大暴れしていたようだ。


「ああ、ダンな! アイツは豪快っぽいから、昔から変わんないだろ」

「ええ。当時は……僕をとても助けてくれて……それで、ダンと共に行動しているうちに身体もできて来て、それに学んだことによって、僕が出来ることが分かったたんですよね」


 なるほどダンについていくことでレベル上げにつながったのかもしれない。

 それなら身体もだんだんと強くなる。


「なるほど、それがレンジャーなんかの方面か」

「僕はダンのように前面を張れるほど身体が強くありません。肉付きも悪いですし……体力と敵正面に立つ度胸はどうしても。けれど道具と、弓ならなんとか扱えた」

「けどその弓っての、すげえ引くの疲れねえか? 俺触ったことあるけど、難しすぎてそもそもまっすぐ飛ばなかったぜ」

「ははは、コツがあるんですよ。最終的に弓を引くのに力はいりません。また今度コツを教えてあげますね」

「俺も基礎を習った剣術程度だな……ゴウはとにかく技が冴えているってのはわかる」


 ダカシの言う通り。

 ゴウは学習面でのレベル上げも大きかったように見える。

 それが結果につながっているのだからなおさらだ。


 武具を脱ぎ肌着1枚になった今あらためて思うのは本当に細い。

 人狼的な毛皮が全身覆っているのを加味するとガリガリにも見える。

 当然シックスパックなんてない。


 私もケンハリマ状態ならかなり肉は細いけれど……

 これがレベルのある世界ゆえか。

 "率いる者"で私の経験も流れているだろうし。


 見てみたらレベル40。

 ここからが大変な時期だ。


 この細身で全身重く着込んで弓を引いてアグレッシブに動き回るのだから本当見た目からはわからないものだ。


「さて、晴れてダンと共に冒険者になれたけれど、当然この時の最大目標は魔物たちの駆逐以上には行ってませんでした。地道ながら人を守る活動を中心にしていて、ダンとは別行動をとることが多くなりました。ダンは冒険を優先しましたからね」

「ああ、そういう傾向あるよな。俺も冒険者ギルドの管理してるし、わかるぜ」

「そういえばお前そのナリで結構偉いんだっけな……」


 イタ吉はアノニマルースのギルドマスター。

 ゴウは皇国指折りの冒険者で結構重要なポジションのはず。

 実はこのチーム結構有名人がふたりもいるということか。


「だけどまあ、仕事こなしていくと、今度は魔物よりも守るべきはずの人間たちが汚く見えることも、たくさんありましてね……そこにあなたたちも現れるし、騒動はたくさん。そりゃ悪いやつが嫌いっていうのを自覚するぐらい、変わりますよ……」

「アノニマルースに来ると、魔物の価値観は確かにかわるよな……」

「そうだな、悪いやつは悪い! 良いやつは良いってだけだ!」


 イタ吉のざっくりすぎる分け方もどうかと思うが……

 アノニマルースでちょっと想いが変わったのなら冥利に尽きる。

 ゴウから黒いオーラが見える……色々あったんだなあ。


 その夜は結局手入れをしながら尽きない雑談で過ごした……





 うー。おはようございます。

 私です。

 これが"進化"しつづけているということ……


 どこまでも心と身体がざわついて安眠はできなかった。

 これは由々しき事態である。

 疲労と疲れていない……眠いと眠くないが同時にせめぎ合ってたまに頭が痛くなる。


 仕方ない。

 肉体の疲労そのものは取れているはずだから早く出られるように気合入れねば。

 まずあのカエリラスに会うことが大きな目標となった。


 そして跳ね返された理由も解析し続けている。

 そのうちそれらしい理由が見つかるだろう。

 そこから突破できても良い。


 もちろん本来の目的も忘れてはならない。

 朝の食事を済ませたら南の森へ行かねば。

 あの道ってどのくらいで直るのかな……


 というわけで。

 朝ごはんを食べ終えて。

 聞いてみたら。


「30回、日が昇る、出来る」

「「1月!?」」


 長からその答えを聞いてみんなひっくり返りそうになった。

 想像よりもずっと長い!

 長あたりの魔法で作ってしまうのかと思っていたからだ。


 現場を長に連れられ見に行ったらイロテナガたちが地道にヌマグローブの様子をチェックしている。

 そうか……ヌマグローブの成長と修復が先なのか。

 これは……困ったぞ!?

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