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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂おしき恋をあなたに捧ぐ
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七百八十四生目 寝床

 ほとんど気絶させ戦闘していないえらそうなイロテナガに橋を落とした事情を説明した。


「――というわけなんです。橋を落とすしかなかったとは言え結果的に破壊してしまい、申し訳ありませんでした」

「う、うぐぐ……!? みんな、守る、やさしい奴ら……!? 間違えた、敵間違えた! 長〜!」

「くっ……うるさい。すこし聞いていた」


 えらそうなイロテナガが頭をかきむしり混乱しだしたら長が起きてきた。

 ほかのイロテナガたちも順に起きている様子。


「長!!」

「下手人、別。切り離し、火の手、止めるため。言葉だけなら、信じぬが」


 長イロテナガはぐるりと周囲を見渡す。

 全員が無事なのを確認してほっとひと息ついた。

 誠実に戦わせてもらいました。


「こうも見せられた、理解する、しかない」

「ありがとうございます!」

「はあ、なんとかなってよかったぜ……」


 イタ吉が疲れたといった様子で座り込む。

 ぶっちゃけ私もかなり疲れた。

 なんとか落ち着けて良かった……






 私達はヌマグローブの森内へと案内された。

 彼らの里があるらしい。

 西の森行の橋は長が元に直した。


 道すがら話し合うことで大半こちらへの誤解は解けたらしい。

 単に言われたからどうのではなくてとても理解力が高いのだ。

 私達の橋落としもその理屈を看破した。


「――とまあ、本当にお騒がせしました」

「いや。その状況、仕方ない。若いもの、調査行かせてる。証拠、次々ある。こちらも、悪かった。我々も、きっとそうする」


 こうしてなんとか仲直り。

 攻撃したかわりにイロテナガの里に招いてくれるそうだ。

 結構ありがたい。


 なにせこちらは全員手負いかつ疲労。

 植物たちから安全を確保できるのならとても良い。

 ……カエリラスもいるからね。


 それにしても困った。

 まさかこの世界からワープして出られなくされているとは。

 私はこのロゼハリー状態をここにいる限り維持しなくてはならなくなった。


 数時間に1回切れかけたら魔力混合の補充もしなくちゃだし……

 何より肉体に力満ちている状態では休みにくく安眠している場合ではない。

 なのに解除後はそれらの反動を喰らう。


 早くこの迷宮から出られるようにしなければ……

 まずは隔離されている原因を少しずつ探ろう。

 さっきワープが跳ね返されたもののデータをちゃんと取って解析しておこう。


 こんな状況なので休める場所は大歓迎!

 話が通じる相手で良かった。

 腹が減った相手とかは割と話が通じない。


 ヌマグローブの森内部の奥へと入り込むととある場所をくぐってから一気に視界が開け雰囲気が変わった!

 ヌマグローブたちを曲げたり形作ったりピンクの葉を使って彩ったり。

 そうしてできた丸い巣……むしろ家に近い住処たちがたくさん見える。


 上へ上へと高く道が出来ていてたくさんのイロテナガたちが生活をしていた。

 あの石投げしてきたやつらだけではなかったんだ!

 まさに大所帯だ。


「すごい……明らかに高度な知的能力を持っていますね!」

「なかなかやるじゃねえか!」

「へぇ、この感じもしかして橋もイロテナガたちが?」

「ああ。我ら、作った、橋」


 ここまで立派なものを見せられると納得せざるおえないというか。

 むしろ『だよね』ぐらいになる。

 そのままぐるぐると上へと登っていく。


「じゃあ、沼地のあちこちに広がる道も?」

「ムウ……関わって、いる。しかし、作ってない。あれは、橋も含め、あの方の、恩恵」

「あの方……? 誰だそりゃ」


 私の何気ない質問でさっきの『あの方』がまた聞けた。

 なんだか道作った関係もあの方っぽいし……

 やはり重要な存在なのか。


「あの方は……信用する、だから言う。あの方は、この沼地の、神。我ら、守護神。みなを、導き、協力させ、促した。少しずつ、我らだけで、道を、理解させた」


 神……!

 ついにその話が出てきたか!

 これはナブシウが話していた相手の可能性が高い。


 道という概念を素の魔物たち全域に浸透させたとはなかなかすごい。

 それを作るまでに導くのもなかなか。

 実行するのは魔物たちという塩梅は神様っぽい。


「なるほど……冒険者ギルドにそのむねをちゃんと伝えておかねば」

「さあ、ついた。寝床だ。後で、料理、渡す」

「ありがとうございます!」


 中腹あたりにある大きめの住処につき長と分かれる。

 さっそく中に入ればすでに頭数分の寝床が用意してあった。

 多分無毒の植物を乾燥させた藁敷(わらじき)のようなものだ。


 思ったより加工がしっかりされていてふかふかしている……

 私がケンハリマならよく眠れるだろう。

 イタ吉は早速飛び込んでゴロついていた。

 

「ようし! 俺ここなー!」


 少なくとも今日この後は楽そうだ。

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