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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂おしき恋をあなたに捧ぐ
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七百七十七生目 爆撃

 大毒沼につきヌマグローブの道を歩みだした。

 ここはダカシすら堂々通って余るほどの大きな道になっている。

 1本しか無いとは言えかなりのしっかり具合だ。


 木々の枝や根を曲げ繋げ長いながい道のりにしてある。

 当然ここを通る魔物は多い。

 安全なルートとしてテクテク歩んでいるのを見かける。


 ここまで立派な道路を作れるとは……

 やはり高度な頭脳の魔物たちが手で作り上げているとしか思えない。

 肝心のそっちについては話を聞いてなかったからなあ……


 ヌマグローブのところで作られている影響でわりと沼地からは高さがある。

 下を泳いでいく魔物たちの様子も見られる。

 さっきのカバもいるのが赤くなった影響でよくわかるや。


 アレが全部汗だとしたらすごい分泌量だな……

 あれで身体を毒沼から守れるのかな。

 面白い生態だ。


 ヌマグローブの上自体に住んでいる魔物たちもいる。

 上から私達通行人を見下ろしているようだ。

 特に害意はなく暇だから見ているだけのようす。


 ここに来てから動物魔物との戦闘がない。

 というか毒沼を泳いでいるやつ以外そもそも戦闘をしそうにない。

 そして代わりに植物たちが多くの暴力を振るう。


 ここの動物魔物たちはあまりに弱者の立場なのだろう。

 この世界は植物と毒が支配して回っている。

 傍から見てもそう感じれた。


 だから道は彼らのささやかな抵抗なのだ。

 生き残るにはこうするしかないから発展しただけで。

 今その安全な街道を歩ませてもらっている。


 大事に使おう。


「む……プロペラの音!」

「あー、本当だ、またかな」


 そうこうしている間にも植物たちは牙を剥く。

 普通草食魔物はテリトリーに入られたら凶暴化し肉食魔物は腹が減ったら凶暴化する。

 しかしこの世界は等しく逃げるのみ。


 さっと周囲にいた魔物たちが木々のスキマへと急いで逃れていく。

 かわりに空からけたたましく響くプロペラ音。

 回転するのは大型の葉っぱたち。


 上空高く飛ぶその姿は空を飛ぶ小さな木。

 頭と根の部分がほとんどなく幹から大きなプロペラの葉が生えたシュールな姿のそれは……

 私達に向かって毒物を爆撃してきた。


「きたぁ!」

「おっしゃ、跳ね返せ!」


 空から飛んできた毒物は大きな種のような外殻に包まれている。

 着弾の衝撃から少しして爆発するので……


「やあ!」「そらっ!」「多い!」


 私がイバラで空中の種を掴んで投げる!

 イタ吉がクルクルと回転しながら跳んで蹴り飛ばし!

 ダカシは地面まで落ちたものを弾き飛ばした!


 種たちが次々毒沼に沈み……

 爆発!

 とは言え中身の毒液を撒き散らすだけなので毒沼で泳ぐ魔物たちは我関せず。




「あれで植物なんですか……ね!」


 引き絞られた矢はきれいな直線推進。

 弾丸のように矢たちが空の植物たちを射抜く。

 そのプロペラを。


 ゴウの対空は相変わらず完璧だ。

 プロペラの葉に被弾した木たちは途端に飛行がガタつき不調になる。

 そのままフラフラと墜落しながら遠くの森へと飛んでいった。


「ふう」

「おつかれさま!」

「良くこの距離を当てられるなあ」

「怪我はないな? 行くか」


 周囲の動物魔物たちの気配が再び戻りだす。

 特に声をかけらりたり拍手はないが……

 なんだか喜ばれ祝福されているようだ。


 私達は意気揚々と道を渡っていった。





 長い長いヌマグローブ街道の先。

 ヌマグローブたちが大量に集って向こう側が見渡せないほどに広く大きな森となっている。

 いやスキルを使えば見れるだろうけれど。


「ここから外周の道を伝って南に抜けます」

「ん? 森には入らないのか?」

「いっても良いですが外周を回った方が早いみたいなんです」

「ああ、まあそうか」


 それに森の中に突っ込むということは植物たちの隠れ潜む真っ只中に行くしかないということ。

 そんなリスクを冒すくらいなら普通に外から行けば問題ないだろう。


 特に何事もなくぐるりと森の外を回っていく。

 ヌマグローブに合わせて道が作ってあるせいでだんだん高い位置になってしまう。

 沼が遥か眼下なのもあって見晴らしが良い!


 毒だらけで汚染されしかも熱帯特有の暑く湿った気候の中で希少なすがすがしい空気。

 この沼地は本当に歩むたびに体力が持っていかれる思いだからちょっとうれしい。

 ずっと植物たちから見られる視線が止まらない……


 それにやはり暑い。

 単純だが湿って暑いというのはかなり負担になる。

 休むたびに火魔法"クールダウン"で全員の体調管理しているものの暑いことにかわりはない。


 私の生まれた土地的にもホエハリ一族は熱帯雨林気候は苦手だ!

 愚痴を言っても仕方ないので胸のうちで転がす。

 南行きの橋まではもう少しだ。

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