七百七十五生目 同調
キノコ魔物3体だ!
[クロマダケ Lv.20 異常化攻撃:毒 危険行動:とくになし]
[クロマダケ 普通の大型キノコに擬態しているキノコ魔物の一種。実態は相手を毒で倒して土の肥やしにしてしまう]
むむ……言葉がない!
危険行動にとくになしの場合私にとっては驚異ではないということ。
倒すのは容易だが。
言語を持たない相手は説得が不可能な場合がほとんどで大変だ。
戦闘は避けようがない。
「さあ、行きましょう!」
ゴウが弓をつがえたのをきっかけに双方戦闘開始!
イタ吉が素早く飛び出て尾で斬りつける!
イタ吉に"同調化"!
一瞬でイタ吉の思考が流れ込んでくる。
どう動きたくてどう攻めたいか……あと微妙に小腹が減っているのも。
これなら……見える。巧妙な攻撃の仕掛け方が。
さらにダカシに……そしてゴウへと"同調化"をつなげる。
こうやって近くの味方なら楽につなぎ合わせられるのだ。
各々の動きが決まった。
後は相手がどう動くかだ!
「うおらっ!」
イタ吉の切りつけはあえての直線的な突撃!
それの意味があるほど速いのだ。
尾の刃がきらめきクロマダケを一閃!
イタ吉より低い背のクロマダケ。
カサに深く切り込まれたクロマダケは……
反射的にキノコの胞子を大量放出!
「ぶへっ!」
「おっと!」
接近しつつイバラを伸ばしてイタ吉に襲いかかろうとしている2体含め全員"なぎ払い"!
同時にもう1本イバラをのばしてトゲをひっこめイタ吉の腹を"縛り付け"で掴む。
イタ吉は投げて空飛ばせ敵へ一斉にイバラ叩きつけ!
さすがにこれにはクロマダケたちは空を舞うハメになる。
ダカシが最接近しているのに胞子を撒き散らすことぐらいしかできない。
最近はうまくなった腕振りで2体同時に爪撃!
そしてわずかなダカシとクロマダケの隙間を縫う輝く一射。
風切り音と共に美しくクロマダケの腹に吸い込まれた!
このふたつはほぼ同時の連撃。
そうして3体とも吹き飛ばされ……
「よくもやってくれたなっ!」
私が投げたイタ吉がちょうど相手の落下地点で待ち受けて。
蹴り飛ばした!
3体ともきれいに決まった。
反動で地面を滑りもう立ち上がる力もなく地に伏す。
ちょうど良い生命力の削り具合だ。
「んじゃ、あとはいつもどおり頼んだ!」
「ほいほい」
あとは回復と"無敵"のコンボをして……
会話が出来ないしそのままお別れだ。
さらに進んで何体か魔物を退ける。
恐ろしいことに襲いかかってくるのが植物と植物モンスターしかいない。
なんだこの迷宮は。
「ようし、あそこらへんで休憩しようぜー」
「賛成」
「設営しますか」
「ああ」
ちょうど巨大キノココが大きくカサを広げて広い範囲に影が生まれているところがある。
周りをチェックして植物の危険を先になんとかして……
敷物と飲み物と軽食!
各々自由に座り込む。
当たり前だけどダカシ大きいな……
私も『ロゼハリー』から戻れないので気休め程度だ。
……?
何か今変な感じが――
「あー、なんか息するたびにまだキノコの胞子が出てくる感じがするぜ」
「正面に突っ込む係はそういうことあるよな」
――気のせいかな?
「誰も彼も毒に胞子にひどかったもんね。みんな吐き出させるから順番に診るね」
「ほいよ」
光魔法"アンチポイズン"を慎重に気管支中心にかけてやると……
イタ吉は大量の胞子を吐き出した。
あたりが胞子につつまれる!
「ケホッ」
「うわっ!」
「ちょっと!?」
「ここまで出るとは……」
結局そのあと胞子を片付けたり改めて吸った胞子を吐き出させたりした。
普通はせき止められ排出されるはずの胞子も入り込むあたり濃度の関係もあって危険だ。
肺がやられるかもしれないからね。
本日のマイ軽食。
いつものおいしいお茶。
携帯パン。
そして今日回収した食べられそうな物たち!
全部毒持ちであるが"鑑定"した結果食べられそうなのはあった。
今の私はロゼハリーで高い毒耐性が複数あるので悪いのを引かなければ大丈夫。
いかにも甘そうなバナナ型果実にいかにも甘酢っぱそうな木苺。
名前は虎の爪にアカラベリー。
毒がたいしたことないのは調べ済みなので……いただきます。
まずは虎の爪から。
房から1本を切り取り……
皮を丁寧に剥く。
うわっ!
甘ったるい汁を煮詰めたかのようなにおい!?
見た目はきれいなイエローカラー。
大丈夫かな……
とりあえずいただきます。
カプリと。
「ッ!?」
な……
脳が混乱する。
これは……甘くない!
「か、辛い!!」
「へえ、それ食えるのか」
「辛い……けど美味しい!?」
毒耐性のおかげかなんなのかわからないけど。
辛いうまいけどなんだこれ!?
甘いかと思ったのに!