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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂おしき恋をあなたに捧ぐ
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七百六十九生目 螺旋

 アイスクリームの新フレーバー激辛唐辛子味。

 それのテスターをして散々ダメージを受けたはずの蒼竜。

 しかし蒼竜は姿を変えて1ケース購入しているのを見てしまった!


 というわけで追いかけると食事場の1角にどかりと座ってどかりと1ケース置く。

 どこからか小皿とスプーンをとりだしてよそいだした。

 よし。


「そーくん! なんでそんなに買ったの!?」

「うん? 助手! 今はね、ちょっとそれどころじゃないんだ……!」


 なんだろう。

 赤い竜になって器用にスプーンを使っているからってわけではなさそう。

 目が血走っているように見えるような。


「もうね、あの後から僕の脳裏には常にこのアイスがあった。僕はなんやかんや今まで全フレーバーを制覇しているんだ。確かに新しい味には驚いたけれどフフフ、僕をあれで制覇から引きずり降ろそうとするのは早いね。幸いヒントはキミたちが与えてくれた」

「ま、まさか……!」


 すっごい早口で同時にアイスをよそってる。

 こっちを一瞥もしない。


「そう! 姿さ! 僕は幸い心当たりがあった! この姿ならばおそらくきっと……むふふ。ただ、ひとつ言っておくと」

「う、うん?」

「あの時からあのアイスは僕の心をしっかり掴んでいたのさ。そう、辛くて苦しいと感じた裏にあった脳裏に焼き付くほどのそれが!」


 たくさん積まれたアイスを長い口でかぶりついた!

 その瞬間カッと蒼竜の目が開かれ食いちぎりのけぞりながら咀嚼。

 そしてしばらく固まってから1言。


「んまああーーいっ!!」

「す、すごいリアクション!?」

「そりゃそうだ! これこそ僕の脳裏に焼き付いた呪い! 麻薬のごとき香辛料!」


 蒼竜は麻薬はまったく効かないんじゃ……と野暮なことは言わないでおいた。

 いわゆる例えだろうから。


「フ、フフフフ、これこそ最高傑作! 何度も食べることで真に奥の深みを理解できる! これは助手にはどうあがいてもムリだろう! なにせ、僕みたいに姿をこうすることが出来ないからね!」

「う、うぬぬ」


 なんだか改めて挑発されてしまった。

 特に他意はなかったが新フレーバーで驚かすことができたのに……

 まるでその仕返しのようである。


 ただ確かにこの身体では味わうことはむりだ。

 悶絶にしかならない。

 横で蒼竜が高らかに食べるのを見ているしかできないのがなんとなくムカつく……!


 将来私もチャレンジしてみるかな。







 こんにちは。

 今日は大陸の方に来ている。

 珍しく今日はウォンレイ王の収める街だ。


 なので私はホリハリーの姿に"変装"し服を纏いニンゲン風に装っている。

 今の"変装"レベルならこっちのほうが楽だ。

 維持に関しても"進化"よりずっと楽。


 ここに来たのは私だけではなくオウカたちもだ。

 別にウォンレイ王に呼ばれたわけではない。

 ただ事実を確認するために。


「本当にいたね……やつら」

「螺旋軍、ですっけ」


 螺旋軍とは(フォウス)教の軍隊である。

 そう書けばとても単純明快だがその螺旋軍というものの噂から実績までが問題。

 そもそも螺旋軍は(フォウス)教……つまりどこかの国に所属しておらずましてや他宗教の強い帝国に来るということ自体が異常なのだ。


 大量の兵士たちが全身に輝くような美しい鎧を身にまとい一斉行動の訓練をしている。

 訓練場の様子は別に隠されるでもなくそこそこ近くとも私達が見てもおかしくないという状況だ。

 つまり……ウォンレイ王側の味方だ。


 ウォンレイ王は見て聞く限り明らかに蒼竜信仰をしておりウォンレイ王側はともかく螺旋軍側は本来快く思っていないはずなんだけれど……今回の帝都奪還に協力的らしい。


「情報の方はどうなっていたっけ……? 」

「グレン君のいうのは……多分これのことですね。今回螺旋軍が出張ってきた理由。まず第一に魔王復活組織の撃退。これは世界中で暴れていたらしいから、螺旋軍から恨みをかっていてもおかしくないですし、螺旋軍の掲げる世界に平和を(・・・・・・)という主張にも一致します」

「世界に平和、ねえ……」


 ゴウが手帳で調べてオウカが苦笑いする。

 彼らの言う世界に平和というものは色々と前提につく言葉があるのだ。

 螺旋軍は宣教師なんかよりも遥かに過激で世界を平和にするには全ての人類が(フォウス)教信仰せねばならないという意思で行動している。


 宣教師が信じるものは救われると言う横で螺旋軍が『信じなければ救いはない。このように』と槍の切っ先をちらつかせる。

 このぐらいの差があるため宣教師の中でも嫌っている派閥があるくらいだ。

 それそのものは最近知った。


 狂信者の集まりとあしらうには簡単だが実態はもっと深く恐ろしい。

 ゆえに彼らがこの帝国で大手をふって活動しているのが凄まじいことなのだ。

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