七百六十七生目 工場
市場とは違うのだが店舗として成立している場所はいくつかある。
それは他所から来たお店自体だったり……
自然な流れで出来た仕組みだったり。
ここは後者。
市場から離れた食事場近くにある屋台だ。
ここにある物は……
「年がら年中、アイス食べてもおいしいねー!」
「今度の新作、楽しみ!」
そう。
アイスクリーム屋だ。
私が持ち込んだあともはやこの街にかかせないものになっている。
ペダルを踏んでクランク式で冷却し作るアイスだっだが他に少ないこういう類のものだったせいで爆発的にアノニマルースで大ヒット。
各地で第2第3のアイスクリームマシーンが作られ今ではフレーバー数は10を越える。
最近魔物でもお腹がゴロゴロしないように加工や材料の変化が増している。
さらに九尾博士が話を聞きつけて悪乗り。
アイスクリーム製造機は何度も改良が重ねられ……
バローくんの精霊学研究もいつの間にか混じりだしてアイスクリームは次々派生品をうみ出し……
最終的にアイスクリームへと返ってくる。
アイスはこの食事場前屋台が最大の規模を誇る。
各地のオリジナリティあふれるアイスも良いがここは王道のバニラだけで行列が出来ている。
「さあさあ! 先程作ったばかりのアイスたち! 保冷してたくさん作ってあるよ!」
「おおー、今日も盛況だね!」
今日は蒼竜をここに連れてきた。
今回はガウハリの姿をしている。
私のコピペはやめろと言ったら兄の姿を真似たらしい……
帽子をかぶり竜角が生えているからかなり見分けはつく。
今回蒼竜には新フレーバーをお試ししてあげる約束をしたためだ。
「うおっ! ……思っているより今日は魔物が多い! 予想+2、よろしく!」
「よろしく! ってマジですか!? そんなに作るとぉ!?」
「マジとぉ、どんどん運べ!」
いつの間にやら自然にアイスクリームは業務運用をされていた。
どの魔物がというより複数の魔物が忙しそうに走り回りみんなはそれにありがたくアイスクリーム代を払うのだ。
言ってしまえばアイスクリームなので少額であらゆる手間を省いて買える。
だからわざわざ自分でクランク踏みにはいかない。
ちなみにこの食事場にある屋台のものはまず大型保冷ケースたちだ。
アイスを冷やし作る冷却機能を利用してうまく冷やしてある。
大量のアイスをそこに入れアイスクリームディッシャー……つまりアイスを丸くすくい取る大きなスプーンみたいなもので装ってコーンに乗せる。
このコーンに関しては私が意見を出した。
言われれば簡単なつくりなので屋台の裏家屋にて大量生産がなされている。
忙しい時に来ると双方できたてが食べられるので余計に人気。
ずらりと列が並び実に忙しそうだ。
奥の家屋からアイスがどんどん運び込まれる……
あそこから作られているのだ。
「じゃあ、入ろうか」
「ん? 並ぶんじゃ?」
「いや、こっちだよ!」
蒼竜を連れて屋台奥へと進む。
ここにあるのはやたら大きいのに無記名の家屋。
だが頻繁に出入りしていることからわかる通り……ここはアイスクリーム工場だ。
4足歩行用の扉を開き中へと入る。
中はただっぴろい空間に機械と物資が敷き詰められ魔物たちがあっちこっち走り回っている。
まさに工場だ。
大きな機械は龍脈で作り出すエネルギーで稼働。
あちこちに魔力光がちらつき見た目は割とファンタジーだ。
そうしてどんどんとアイスクリームが生成されて運ばれてくる。
さらにコーンも同じように製造運搬。
大量の材料を機械にぶち込んでいるのはなかなか見ものがある。
これらの品々が今日中にアノニマルースで消費されるのだから恐ろしい。
特に冒険者が魔物ニンゲン問わずバカスカ消費する。
冒険への持ち運びから帰還時のおかしまでアイスクリーム関連が凄まじい。
日によってはこの工場がフル稼働してしまうわけだ。
当たり前だがここの最大機械がフル稼働でやっと間に合うというのは結構危険。
まだまだ需要が伸びる見込みなのに……
機械がメンテナンス不足で壊れ働く魔物たちが疲弊してしまうので常に余裕のある稼働をさせたい。
まあそれは私の担当ではない。
「ほほお、初めて入れてもらえたよ」
「そーくんは少なくとも一般だからね……」
ここに用はなくさらに奥に。
奥の方へと進んで扉をいくつかくぐれば。
研究者たちがアイスと向き合っていた。
「ここは……?」
「ここはアイス研究室、新フレーバーを色々ためしているよ!」
「おお! じゃあここで食べられるんだね!」
奥から1匹の小さな魔物が近づいてくる。
全身真っ白な毛を持つ獣人型の魔物。
「お待ちしてました! トクベツに新フレーバーのテストをしてくださる方ですね!」