七百六十一生目 非難
どんどんと誤字報告ありがとうございます!
「ナブシウの尾毛が求めていた金属だと!?」
「ええ!? 焼いちゃったじゃないですか!」
「先に言ってくれよ!」
『私が我が神最高傑作の1つなのは間違いないからな。急げば見つかるんじゃないか? あの程度の熱でどうにかなるものではないからな』
白金の金属の正体こそがナブシウから生えるものだった。
みんなすっかりピラミッドで燃やしてきてしまったと思っているが……
実は回収してきている。
「えっと……」
『なんだ? 苦情は受け付けんぞ』
「その……実は、あのままにするのは嫌で、鎮火してから持ってきちゃったんです」
ナブシウがその細い目をカッと開く。
キレ目でかなりコワイ!
『何!? どこだ!? 私の身体は!』
「ええと……それ!」
空魔法"ストレージ"を使って亜空間から引きずり出す。
流石に寝室にはムリだが元々大きめに作ってあるのが幸いして上半身部分だけなら近くに出せた。
これには全員驚いた様子。
「うわっ! 恐い!」
「俺にはとりあえずその魔法がこええよ」
「私は死体をなんとなくで持ってくるほうが怖いかな……」
『私の姿をこうして眺めることはなかなかないが……ふむ、結構良いではないか。やはり我が神に賜った肉体だけある! 我が神の偉大さを、お前らもじっくり見るがいい!』
『いや。ないわあ』
……あれ?
なんというか全体的に驚く方向が……
こう無事に褒めてくれるとかそういう……ないですかそうですね。
「私だって持ちたくてもってるんじゃないです! ただナブシウにこれから会うのに遺体を放置はいくらなんでも無責任かなって!」
「自分の遺体見せられてどうしろと!?」
『なあに、我が神のものである私の身体を勝手に処分しないその心意気、評価する。我が神のものなのだから一片とも無駄にすることは、許されることではないのだからな!』
うんまあ遺体を見せてどうするかまではあんまり考えてなかったかな。
とりあえず葬儀かな……って気分になってしまって。
本人ピンピンしているから意味がない。
『とりあえず。ここでは狭い』
「でも外だと嵐がなあ」
『別に私の肉体ならばくれてやる。再生すれば良いしな。それよりも我が神の最高傑作のひとつなのだ。けして無駄にはするな。あと首輪は問題ないと思うが外すな。死にたくなければな』
そういえば真の姿を封じているって……
忠告は聞いておこう。
「それで、お前さんの尾はどう砂漠の白金なんだ?」
『ふむ、それについては直接対峙した者の感想とともに話すのが良いだろう。お前、名は?』
「あ、ケンハリマのローズオーラです。ローズって呼んでください」
今更やっと名前聞かれた!?
そこまで興味がなかった……んだろうなあ。
あの感じだと。
『では、採掘者ローズ、私の尾はどうなっていた?』
「ええと、今のナブシウとあまり代わりはないけれど、あんな感じで銀色で、触っていた感覚もふさふさ、それと宝石が絡んで……? いたよ」
『だいたいそうだ。ただこの宝石たちは絡んでいるのではなく、生えている。これでひとつの金属なのだ』
知れば知るほど不可思議だ。
そもそもあれ金属って感覚がまるでなかったのだけれど……
「ええ!? そのしっぽの毛は金属なんですか!? そうはまるで見えません……!」
『今の私は生命体として再現したに過ぎないが、我が神の威光は衰えることはない。我が神の偉大な力、実感してもらうためには触れる許可をやろう! さあ!』
「え!? はい……」
しっぽが植物のたぬ吉がナブシウの堂々と見せつけてきた自身の尾におずおずとさわっている。
本当にナブシウは古代神が良い……という解釈をするのなら何でも良いんだなあ。
自身の身体もそういう扱いになったきっかけはきっとさっきのことだけれど。
「うわぁ、サラサラしてます! 不思議!」
「どれどれ? んー、金属だとは思えないな……これで本当に大丈夫なのか? 鉱物がなっているのはわかるが」
「お、なるほどこりゃ金属かもね。挟んだ感じが毛髪のそれと違う」
『鎧越しに持ってわかるあたり、やはり我が神の素晴らしさは他の追従をゆるさぬな』
みんなめちゃくちゃ触ってる……
『そして、私が半真の姿になった時に、尾はどうなった?』
「そこまで大きく変化は……あ、でも量がかなり増したかな。宝石もより強くきらめいたし」
『我が神の恩恵と私の力が共鳴することで金属は流体のように変化し固体は輝きそして……気体のように盗掘者どもの攻撃を受けぬ。見せてはなかったが、それはもっと多くの顔を持つ。追求し我が神の偉大さをもっと世に知らしめるのだ!』
「それにしても触り心地良いですねえ。流れるきれいな水に手をひたしているみたいです」
まさかのところでゲットだが……
ありがたくもらっておこう。
これで1つめの勇者の剣素材ゲットだ!