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七百五十八生目 足掻

 ナブシウとの最終局面!

 仕組んで終日ピラミッドを落としナブシウと私がいる下側大空洞を炎上させていた。

 このピラミッド意外と空気の出入りがいいため……火は酸欠鎮火などはしない。


『神いいぃ!! 我が神ぃ! 我に貴方の寝床を守るだけの、力おおおっ!!』

「うぐぐ……大人しく焼かれて!」

『はぁなぁせぇっ!! 狼藉者がああぁ!!』


 ナブシウの尾にしがみついて"無敵"を流し込んでいる私。

 私の熱が上がりすぎていない時は弱く"ヒーリング"も合わせている。

 ナブシウが負けたあと会話してくれないでは困るからね!


 このピラミッドに閉じ込め燃やす方法とてもひどいしかなりの被害総額だしとんでもないことだとはわかっている。

 それはそれとしてナブシウ相手ならこれをやるしかないというのもあった。

 そして最初にプライドから勝ち負けでの約束をしこだわってどこまでも折れなかったナブシウは……今人間ならば号泣しているだろう感情の爆発させ私を振り払おうとしたり鎮火している。


「があああああぁっ!! ギャアアアァァッ!!」


 もはや念話する余裕すらないらしい。

 口から出るのはもはや言語ではなく叫び。

 すべての想いがありったけこめられた叫び。


 うっく! いくらナブシウの動きが鈍くても油断すると振り落とされる。

 尾もつかみにくいほどこちらの何もかもを拒絶してこようとする。

 『グラハリー』状態でも鎧をうまく食い込ませ掴み続けなければ!


 双方大重量ながらも地味な攻防。

 たまに地面へ叩きつけられるがこの程度なら。

 ただただその間悲壮なナブシウの声が轟く。


「……っ!」

「うおごおおおおおぉーー!!」


 身体が叩きつけられなぶられるたび身体がゴリゴリと削られるような痛みが走る。

 黄金の砂山もダイヤモンドたちも受け止めるには重く頑丈。

 生命力減少としては大したことがない。

 耐え続ける。効くその時まで。


 だけどまあ本当に回復魔法もほとんど通らない!

 まったくではないから"無敵"との相乗効果そのものは発揮している。

 相手が治らないことそのものは都合が良いからどんどん浸透させていこう。


 暴れる! 耐える! "無敵""ヒーリング"!

 炎を消そうとする! 火魔法"Fリビエイション"で火を吹いて気をそらす!

 叩きつけられそのまま地面をひきずられる! 必死に立て直して登りつかまる!


 何度も繰り返される攻防。

 さすがに場の炎上は誰にも止められないほどになってきている。

 ただしナブシウがなんらかの神がかった力を使うなら話は別。


 暑い! 身体を動かすのもそうだし中はサウナがかわいくみえる気温!

 鎧で防いでいるとはいえ熱くはある。

 "ヒーリング"を中断しつつ"クールダウン"を唱えて……よし。


 一気に身体が平温に戻った。

 すぐあたたかくなるがまだ戦える!

 一方ナブシウの動きは露骨に鈍っている。


 枯れ果てる程に叫び続けてでも身体は遅く動かず。

 それ以上に心が疲弊してしまったらしい。

 ダイヤモンドの槍を支えにしてまるで3本足のように歩く。


「っ……真なる姿にはっ、ならないの?」

『神……我が神のぉ……! 物を、お守りするにはぁ……! うう、ぐあうう!』


 なんとなくだが話の節々を聞くに大きくなっちゃうんだろうな。

 しかもかなり。

 この地下を突き破るほどに。


 当然ピラミッドはつなぎが切れバラバラになる。

 ダイヤモンドたちも無事ではすまない。

 ナブシウはもうどの方向でも奇跡の一手がない限り詰みなのだ。






『私は……もう我が神にむける顔がない……死ぬわけには……いかないのに……私が折れたら……誰が神を……』


 ナブシウはついに倒れ伏した。

 私が触れている毛皮は鎧越しにも熱を伝えてくる。

 彼の限界だ。


「これで……トドメ!」


 "無敵"と"ヒーリング"掛け合わせの効果がやっと通る。

 もちろんこれでナブシウがどう変わるわけではない。

 ただナブシウが神以外にも心が開く可能性が出来ただけであり……


 それは今後の会話とナブシウ自身の心境すべてに委ねられる。


『私は……私は……!』

「わっ!?」


 ナブシウが腕を突き出し砂地を掴んで立ち上がろうと!?

 とっくに限界は越えているだろうに!

 生命力の減少も著しくなっている。


『私は……! 我が神……! 私は、何を間違えて……神のものを壊されるハメに……! 我が神の物で私が苦しめられるなど、あってはならないのに……!』

「キミは……話に来た私が言うのもなんだけれど、その古代神に代わって、古代神かのように、その古代神の持ち物と古代神の大事なものを傷つけ、賭けてしまうようにしてしまっていたと思うんだ」

『何……?』


 ナブシウが何度も立ち上がろうとして突っ伏し必死にこちらを見た。

 私もしっかりとその瞳を鎧の向こうから見つめ直す。

 やっと見てくれた。


 ならば言葉をかわそう。

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