七百五十六生目 落下
地下で私とナブシウが戦い上でたぬ吉とあることを仕掛けている。
戦いと言うが実際は私の方はナブシウの奥義に必死に避けて受けてをしている一方展開だ。
たぬ吉の方は草たちが波打ちながら咲き乱れピラミッドの周囲だけを丸く取り囲みだす。
野太い蔦も生えだしてジュエルストームをその身にうけることで草花たちの急速成長を助けていた。
さあここからだ。
『どうした! まだここからだぞ!!』
杖の操るサイクロンのように周り辺り一帯全て切り裂く光の刃を避けるのが精一杯!
ダイヤモンドの槍による攻撃が何度鎧を叩きこすったかもうわからない。
"防御"! 回復! 転がって……避けて!
たぬ吉の方は草花たちがピラミッドを取り囲むようにグングン成長している。
……下へ!
元々多くの植物たちは嵐を避けるために地下での活動が激しい。
そのためどんどんと地下の地面を削り排出しそして……
地面の下へと貫通する。
「ぐああああッ!!」
私の方黄金の砂塵と共に吹き飛ばされる!
今のは装甲にヒビが……!
換装……いや受け身とって跳ぶ!
真下に杖の光が通過していく。
危なかっ……目の前ダイヤモンドの槍!
身体を回転させ"すり抜け回避"!
着地! ――のスキにダイヤモンドを放たれるから射撃クセを考えつつ鎧を展開!
来た! 着弾と同時に切り離し!
「うぐっ!」
なんとか今の1連は凌げたがまた杖の光が迫ってきている。
流れるような連撃に息つく間もない全てを吹き飛ばす武技の奥義。
これがこの迷宮最悪の嵐!!
たぬ吉の方はすっかり作業が終わったらしい。
駆けてピラミッドから離れていく。
結界の張った安全な場所にジャグナーとオウカが待っていた。
「どう? いけそう?」
「いつでもいけます!」
「ようし、行くぞローズ! やったれたぬ吉!!」
「せいやあ!」
たぬ吉が結界に入ると同時に腕を振り上げた。
――地面が震えだす。
それはピラミッドの周りから発生しこの周りにも伝わってくる振動。
『これで、トドメ……何? なんだ、何をした?』
ナブシウは動きを止めず私を殺すためにいたぶりつつも原因を探す。
ピラミッドの周りは草たちが根と茎と結晶を伸ばし尽くして震えていた。
地面を食い尽くすように。
そしてついには耐えきれずほんの少し砕け……
それをきっかけに周囲の地面ごと崩壊した!
天の地面が崩壊……つまりは落下だ!
『…………ん? なっ! これは?』
ナブシウが振り回す型は防御もできるらしく天からのちょっとした土の塊を弾く。
しかしさすがに不自然に思ったららしい。
思考しているようだがスキルで探っているのだろうか。
『とにかく、これで止めだ!』
槍を3つともかかげ杖も同じく高く掲げる。
杖が光った後槍たちが輝きを増した。
まずい! おそらく1撃のに全部『断絶概念』が込められている。
神の力は概念……
私に宿る蒼竜の力が勝手に抵抗してくれるがこの姿だと残量もわからないしおそらく結構使う。
"頑張る"もあるから即死はしないがなによりももうまっぷたつにされるのはいやだ!
あの感覚は何度も味わいたくない。
全力で駆ける!!
そして……今さっき用意したミニワープ"!
ナブシウの腕がすべて大きく縦に振り下ろされる!
とべえええっ!!
「うおおおわあッ!!」
ワープ!
ナブシウの背後に回り込めた!
ナブシウは私がさっきまでいた場所を叩き切っていた。
それは光がほとばしり地面すら大きく裂き世界を壊すのではと思うほどの1撃。
あんなの食らったら跡形も残らないよ!
うっ……!
しのぎ切ったと思ったら身体が……!
思わず倒れ込んでしまった。
思っているより状況は良くないらしい。
"ヒーリング"も"ミニワープ"のために切ったから……
早く唱え直さないと……
光が消えたところにはまさに何かもかも吹き飛ばされ大きく溝をつくり消えていた。
そう思っている間にもナブシウはついに空を見上げる。
天井では草が盛り上がり土塊たちが草木と共に剥がれ……
ついには支えきれず周りの土地から剥離して落ちるピラミッドがそこにはある。
『なっ……! 何ぃーーーー!?!?』
すべて気づいて歩きだそうとしてももう遅い。
空気が震え鳴るような凄まじい響きと共に高い天は――
――地へと落ちた。
『うおおおおおーー!!』
辺りが暗闇に包まれる。
ピラミッドの中に入ったからだ。
ガラスレンズは落下したさいに大きく砕け散っている。
私より大きい相手がいるからね。
しかも頑丈。
フリーズしている以外は無傷のようだ。




