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七百五十四生目 作戦

「ほら、あそこだ」

「本当だ……下が見える」


 あんまりにあんまりな強さに逃げてきた。

 ここはピラミッドの中。

 中央から強烈な光を放っているがなんらかの仕組みでピラミッド内はくらい。


 あらゆる場所がダイヤモンドや貴金属で構成されそれが内部にもぎっしりなのだから総額費用が天文学的でくらくらする。

 内部は結構複雑で細い道や長い階段に迷路状につなかる部屋たち。

 だが大事なのは中央下部広場だ。


 ここには灯りの源がある。

 そして下部に薄く広がるレンズ。

 見ようによっては大穴があいているかのようだ。


 ううむ……

 球体の光源は正体がつかめずガラスレンズも透明度が完全で完全にオーパーツだが……

 これもしかして照明(・・)なのでは?


 ジャグナーに言われ下を覗けば確かにずっと下でナブシウが見える。

 見上げてこっちに抗議しているようだ。

 念話も早く来いだのなんだと飛んで来るが既聴スルー。


「ううーん、でも本当にどうしようなあ……」

「あのこわい方に勝たなきゃいけないんですよね? ローズさんが勝てなきゃむ、ムリじゃあ……」


 たぬ吉が弱音をはくが私も気持ちとしてはかなりそう感じる。

 地の利がこちらにあるならともかくここは完全にアウェイだ。


「あらゆる攻撃が通じないんだって? トンデモだねえ」

「唯一、暑さに晒されると厳しいみたいですが、そもそももう閉じ込めて焼くことが……」


 オウカが話す通りナブシウに基本的に弱点はない。

 熱くしてしまうしか突破方法はないのだが……


 こういう時は私達の軍師だよりだ。


「どう? ジャグナー」

「どう、か……相手は難攻不落の城のようなもの。しかも飲まず食わずで良いっぽいと来た。まともに落とすには……その城が建つ山ごと燃やすしかないな! よし、作戦はこうだ! まず――」






「「ええ!?」」

「正気!?」

「バカヤロウ相手が正気じゃねえんだ、こっちが正気の沙汰で落とせると思うなよ」


 あんまりなやり方に驚きはしたものの正直それしかないと言えるほど良い作戦だ。

 ただ……うう……本当にそれしかないのか。

 ないな。うん。


 本当……何もかもおかしいだけで。


「早速とりかかるぞ!」

「よし、どんどん素材出していこう」

「さすがに私の所持品だけでは足りないので魔法の設置もお願いします」

「周囲の地面、いけそうか見てきますね!」


 各々が作業へととりかかった!


 時間は恐ろしくかかる。

 ナブシウが抗議の声を上げる中時間規模で休み含めて丸1日。

 私の力を"率いる者"でみんなが借りて使っていったため恐ろしく私のエネルギーが奪われる。


 さらに"発力獣"でたぬ吉などに足りない行動力を与えたりして……

 最終的にためにためたストックは吹き飛んだ。


 そして作戦実行時間。





『おい盗掘者! 1日も時間稼ぎをして何をこそこそやっている! 我が神の寝床に居座ってもやがてお前らの食糧が尽きるのみ! 私の体力は尽きることなどないぞ!』

「……おまたせ、ナブシウ」


 寝ても覚めても散々念話で文句言うナブシウの作戦はわりとメンタル的にクるものがあった。

 念話にブロック機能がないのが本当に残念だ。

 眠い心をなんとかしゃっきりさせる。


 私のつぶやきに反応してかナブシウの念話が止まった。

 ナブシウは私達のつぶやきは拾えないが私からナブシウに呼びかけた時は確実に念話として拾っているらしい。

 それに作戦のキモは全て文字でやりとりした。


 キュウビ博士が作った受信機を通してログでの文字やり取り。

 これはこういう時にかがやくんだなあとジャグナーの使い方で初めて知った。

 だからナブシウは本当に私達が何をしでかすかはわからないだろう。


 ナブシウが反応出来るのは盗掘と侵入。

 そこらへんのルールはなんとなくわかっていたがテテフフに確認済み。

 なんでもかんでも探知したら疲れるだろうとは思っていた。


 それに主にやったことは神の寝床たるピラミッド内。

 ナブシウの性格的に神の寝床をガンガンさぐるなど畏れ多くて出来ないだろう。

 実際の所念話攻撃の内容が明らかに何をしかけているか知らないものだった。


 ピラミッド内はジュエルストームが来なくて楽だったため普段の姿。

 けれどこれから出かけるから再び『グラハリー』だ。

 どうやってナブシウのところまで降りるか……よし。


 (くう)魔法"ミニワープ"!

 距離が足らず空中に放り投げられる。

 急いで光魔法"フォールイース"!


 高いところからぐんぐんと下へ落ちていくのは脳裏に幼い頃の記憶がちらつく。

 二度とやるもんかと思いつつ結構やっているな!


(ダイジョーブ! わたし(・・・)はもう……)

(乗り越えている! だろう? ツバイ!)


 そう。苦手でも嫌いでもそれを自分で選んでいける。

 それこそ私が乗り越えた証なんだ。

 ううぅー! 地面が近い!


 発動! "フォールイース"!


 

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