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七百五十生目 降参

『私を倒すと? 神に賜ったこの身体を? そんなこと、できるはずがない!!』


 ナブシウを倒す算段は整った。

 あとは2つの魔法を唱えつつ有効射程に近づいて……

 確実に放つ!


 今現在彼我(ひが)距離はナブシウが豆粒に見えるほど。

 "見透す眼"で嵐を貫通してやっとそうで"鷹目"を使って相手をしっかりみている。

 こっちの声そのものは届いていないが向こうは念話してくるから発音すれば念話として向こうにも届いているのだろう。


 使う魔法は変質させるが2つ!

 土魔法"ストーンウォール"で石壁を。

 そして火魔法"フレイムウォール"で火の壁を!


 この2つをきっちり組み合わせる!

 そして唱え方の変質も決めている。

 "森の魔女"と知識によってくっつけたさいにどう変化するかも予測可能。


 あとは順番に唱えて……

 魔力をためるだけ!

 まずは"ストーンウォール"!


『近づいてくるか! ようやく裁かれる覚悟ができたようだな!!』

「何様のつもりだよっ!」


 まさに神様のつもり……か。

 実際神様だし。

 ただしナブシウを見ているとさらに巨大な……背後の存在を自身に投影しているように見える。


 古代の神か……

 偉大なのだろうがその虎の威を借る狐になっているのは困るね。

 私も虎というか蒼竜の力を借りてしまっているから余計に思う。


『私の怒りは我が神の怒り! 我が神の怒りは世界の怒り!! 私は世界の代行者なり!!』

「何をっ!」


 ナブシウは言葉に酔っているとしか思えない。

 "ストーンウォール"をストック。

 "フレイムウォール"を詠唱!


「キミはその古代神でも世界でもない! キミの怒りを、他人でごまかすな!」

巫山戯(ふざけ)るな盗掘者!!

私の守り手としての意思を否定する気かっ!』


 ダイヤモンドの砲撃!

 来ると思ったら速攻でこちらまで飛んできている!

 眼で追えても思考や身体の動きとは別だ!


 頭の横をかすめる!

 (エフェクト)が私の鎧と響き合い火花を散らす。

 衝撃はある! ……だけど耐える!


「……ぐっ!」

『ちいっ!』


 歩みを止めるな自分!

 気持ちは怯みたくなってしまう。

 けれど歩みを止めればそれこそ狙われる!


(行くぞ!)


 ドライの全力補助で肉体をひねるように駆ける!

 全身大鎧をつけているのに限度を越えた芸当。

 後で筋肉痛だな!


 "フレイムウォール"完了!

 両方の魔法をこね混ぜつつさらに接近!

 嵐の向こうにナブシウの影!


『盗掘者が何を狙おうと私に通じないと思え!』


 小さなダイヤモンドストームが私の方にたくさん並べられて来た!

 吹き飛ばされたらまた距離が……

 ならば!


 後ろを向きそこにあった砂山に突撃!

 スライディングで黄金に潜り込む二度とない贅沢!

 しっかり掘って中で待機……


 ……良し通り過ぎた!

 飛び出て再び向かう!


『何!? 盗掘者!』

「そこだぁ!」


 ついに射程範囲だ!

 嵐の向こうにしっかりとナブシウが見える。

 この距離ならば減衰せず放てる!


 ダイヤモンドの砲撃がしっかりとんでくるので鎧を拡張し盾のように使って威力を横へそらす。

 同時にその部分をリリースしてまともに受けない!

 だんだん覚えてきたぞ。


 練り上げた2つの魔力が今1つの魔法へと変化する!

 足の遅いナブシウでは回避不可能!

 発動! 炎の檻!


『なんだ!?』


 ナブシウの周囲を多くの土壁が覆っていく。

 その形は……ドーム状。

 さらに特徴的な穴……煙突もつくられる。


 同時にその土壁の内側では激しい炎が上がり始める!

 だが炎そのものは土壁に沿うように規則正しく青く燃えるのみだ。

 そう。


「即席焼却炉はどうだい!」

『こんなもの!』


 中からダイヤモンドの砲撃が放たれ炉に穴が開く。

 だが瞬時に穴がまた塞がれた。

 私が魔力を供給する限り多少の破壊など意味がない!


 ダメ押し!

 火魔法"ヒートストロング"!

 をナブシウへ!


『なっ、うっ! ぐうっ!?』


 本来この魔法は筋力を高め身体を温める魔法だ。

 彼には回復魔法すら殆ど通らないらしいが……

 今熱くなっていたところに不意打ちで込めたことでほんのわずかに効果が通ったらしい。


 "見透す眼"で透視するとナブシウが暴れダイヤモンドの砲撃を放ったところで私が瞬時回復。

 次に放とうとしてその場で膝が崩れる。

 これは勝負があったか。


「さあ、ここで降参をするならやめてあげる!」

『やむを得ない、か……』

『……! 気をつけて』


 テテフフが何かに気づいたらしく私に語りかける。

 気をつけてと言っても何を……

 そう言おうとしたところでナブシウは自身の足輪が自然に外れる。


 そして炉は内側からの光に包まれた……!!

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