七百四十八生目 崩壊
なにも効かず傷が入らないナブシウ。
まさにダイヤモンドの身体以上の力を持つ。
しかし私の想像通りならば……彼は暑くなり続けるのがとても苦手らしい。
そういえばこの黄金砂漠はテテフフのいる砂漠よりも遥かに気温が低かった。
昼夜通して温かい以上にならない。
テテフフがいる砂漠の魔物たちは当然暑ければ体内の熱を逃し寒ければ体内に熱を蓄える。
それが出来ないなら環境を利用してどうにかしのぐ。
そういうことはできるのだ。
しかしナブシウがその頑丈さと引き換えに……そういう熱排泄機能が劣っていたら?
試して見る価値はある!
ただそのためにはどうにかして焼き蒸さないと。
魔法を……組み立てて見るか。
彼に直接的な攻撃は魔法を含めてまるで効かない。
そのように考えて……魔法を組み合わせ組み立て直す!
だがその間にもダイヤモンドストームとナブシウの結晶砲弾にダイヤモンド竜巻が来る。
ダイヤモンドストームはできる限り大盾ゼロエネミーで防ぐ!
砂山を縫うように移動し……
偏差砲撃をなんとか避ける!
とにかく発射から着弾までが恐ろしく早い!
距離をとってナブシウだなんて豆粒程度にしかみえないほどなのに!
まあ今『グラハリー』で大きい分余計に良い的扱いだろう。
『どうした!! それだけか!! これは……このシチュエーションは我が神から聞いたことがあるぞ、ハントというやつだな。侵入者が狩られるもの、私が狩るものだ!!』
何発も飛んでくる!
砲撃のくせに割と連射が効くのがやっかいだ!
おそらく間隔としては約1秒に1回撃てる!
神に対してエネルギー切れを粘るのは明らかに分が悪い。
それにどうみても気にせずにどんどん放ってきている。
こっちも札を切らないと勝てない!
「ぐうう、なんでそんなに硬いんだ!」
『我が神から賜った力、身体、魂! 侵入者のようなハリボテとは違う!』
「いや、私だってそこそこ……うわっ!?」
危ない!
今の砲丸は私の頭を狙ってきた!
大盾ゼロエネミーが斜めにして弾かれてなんとかなった……
『むっ? 弾いただと? さっきから展開しているそれはなんだ! 我が神の怒り、愚弄する気か!』
「死にたくないだけだよ!」
どうやら頑丈さでこっちが優位性を見せてしまったらお怒りらしい……
すごく困るんだけれど。
『我が神の怒りが通じぬのは、我が神とその力を賜った我が身体のみで良い!』
「こっちはスレスレ技術でどうにかしてるんだよー!」
『煩い!! その盾、その身、黙らせてやろう!!』
ナブシウの周りが多くきらめく!
まさかあれ全部が砲撃か!
ためにためた攻撃全て飛んで来るとしたら……辺り一帯吹き飛ぶ!
大きめな砂山の向こうに隠れ大盾展開!
そのままできる限り角度をつけて……
確か習った防御術ではこう!
速すぎるから"無敵"で弱められないし"空蝉の術"狙いは危険。
徹底的にガードに徹する!
『私の硬さによる耐えることと勝負だ!!』
「ソレってどういう――」
言い切る前に砲撃が放たれた!
10をも越える砲撃同時発射は嵐を裂く強烈な音と共に。
光が一直線にこちらに向かい……
目の前の砂山を貫通吹き飛ばしして…………
私の眼前を何もかもを全て白く染めた。
「うわああああっ!!」
大盾ゼロエネミーを通し"防御"している私にもその威力が襲ってくる!
激しく後ろへ吹き飛ばされる……けど足が地面から離れないように耐える!!
大盾を必死に維持!
もしすこしでもどれかをミスしたら大打撃だ!
「う……ぐ……ぐ……が……!!」
支えることがしんどい。
正面受けはせず流しているのに……!
足が震え血が沸き立つ。
押されれば押されるほど踏ん張る足が背後に砂山を作っていく。
純金の重い砂山はいずれていの良いブレーキになり……
何かが割れる音がした。
「ぐあっ!?」
吹き飛ばされた!?
盾を貫いて余波がっ!
でも大鎧はなんとか砕けていない……!
激しくころがるけれど砂山により受け止められる。
痛ったあ……
全身がしびれ痛い。
どうなった?
……ゼロエネミーは!?
"ヒーリング"しつつさっき吹き飛ばされたところにかけて寄ると。
バラバラに地面に散った大盾ゼロエネミーがあった。
「ゼロエネミー!」
ああっ! まさか今ので壊れた!?
いつものように念力で持ち手を掴んで集合を呼びかけるが何も反応がない。
それもそうだ。
刃たちがヒビ割れ欠けているのだから。
「そんな……!」
破損した剣ゼロエネミーを空魔法"ストレージ"で亜空間にしまい込む。
多少黄金が混ざってしまうが今は選り分けている場合ではない!
カケラひとつ残さないように回収して……
ありがとう剣ゼロエネミー。
帰ったら直すからね……!